【SUPER GT 2016】鈴鹿1000kmレースでZENT CERUMO RC Fが勝利

2016.08.28 自動車ニュース 小林 祐介
鈴鹿1000kmを制した、立川祐路/石浦宏明組のNo.38 ZENT CERUMO RC F。
鈴鹿1000kmを制した、立川祐路/石浦宏明組のNo.38 ZENT CERUMO RC F。 拡大

2016年8月28日、SUPER GTの第6戦が鈴鹿サーキットで開催され、GT500クラスはNo.38 ZENT CERUMO RC F(立川祐路/石浦宏明)が、GT300クラスはNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)が勝利した。

勝利をよろこぶ、LEXUS TEAM ZENT CERUMOの3人。写真左から、立川祐路、高木虎之介監督、そして石浦宏明。


	勝利をよろこぶ、LEXUS TEAM ZENT CERUMOの3人。写真左から、立川祐路、高木虎之介監督、そして石浦宏明。
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GT500クラスのスタートシーン。No.15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTを先頭に、長い戦いの火ぶたが切られた。
GT500クラスのスタートシーン。No.15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTを先頭に、長い戦いの火ぶたが切られた。 拡大
No.36 au TOM'S RC F(伊藤大輔/ニック・キャシディ)。予選11位からのスタートで、2位入賞を果たした。
No.36 au TOM'S RC F(伊藤大輔/ニック・キャシディ)。予選11位からのスタートで、2位入賞を果たした。 拡大

■執念の逆転劇

「こんなに疲れた1000kmレースは初めて」
第6戦鈴鹿大会を制したNo.38 ZENT CERUMO RC Fの立川祐路は、レース後の記者会見で開口一番、そう語った。この言葉を裏付けるかのように、チームメイトの石浦宏明は次のように証言した。
「昨日の予選を8位で終えたとき、立川さんが『とにかく悔しい。このままじゃ終わらせない』と言っていたんですが、(立川が担当した最初のスティントで)トップに立ったのを見て、『そこまで悔しかったのか』と驚くとともに、僕もそれに負けないような走りをしなければいけないと思いました」

立川はレースをリードしていたNo.15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GT(武藤英紀/オリバー・ターベイ)を22周目に追い詰めると、シケインへのブレーキングでパスしてトップに浮上。その後はピットストップのタイミングで見かけ上のポジションが後退したことがあったほか、同じレクサス陣営のNo.36 au TOM'S RC F(伊藤大輔/ニック・キャシディ)に一時的に首位の座を奪われたものの、終始トップ争いを繰り広げた末に優勝を果たしたのである。

同じ記者会見で、ほっとした表情を浮かべた石浦がこんな言葉を付け加えた。
「昨年INGING(インギング)に移籍して、スーパーフォーミュラではチャンピオンになりましたが、SUPER GTではこれまで優勝がなかった。(最多勝ドライバーの)立川さんと組んでこれまで勝てないことに、僕自身も釈然としない思いを抱いていました」 
そんな気持ちも、今回の勝利ですっかり消え去ったことだろう。

さらにNo.36 au TOM'S RC Fが2位入賞にこぎ着け、レクサス陣営は1-2フィニッシュを果たしたが、だからといって今回のレースで彼らの実力が抜きんでていたと考えるのは早計。
実際には、今季初めて勝利を逃したとはいえ、鈴鹿でも日産GT-Rのパフォーマンスは、ライバル勢を1枚も2枚も上回っていたのである。

No.46 S Road CRAFTSPORTS MOLA GT-R(本山 哲/高星明誠)は、予選2位から4位フィニッシュ。表彰台こそ逃したが、その強さを見せつけた。
No.46 S Road CRAFTSPORTS MOLA GT-R(本山 哲/高星明誠)は、予選2位から4位フィニッシュ。表彰台こそ逃したが、その強さを見せつけた。 拡大
GT300クラスの予選トップは、No.18 UPGARAGE BANDOH 86。これにNo.31 TOYOTA PRIUS apr GTが続いた。
GT300クラスの予選トップは、No.18 UPGARAGE BANDOH 86。これにNo.31 TOYOTA PRIUS apr GTが続いた。 拡大
GT300クラスを制したのは、No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)。今季初勝利となった。
GT300クラスを制したのは、No.61 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)。今季初勝利となった。 拡大
予選2位のNo.31 TOYOTA PRIUS apr GTは、最終的に同じ2位でゴールした。
予選2位のNo.31 TOYOTA PRIUS apr GTは、最終的に同じ2位でゴールした。 拡大

■勝てずとも強い「GT-R」

その片りんは、予選でNo.46 S Road CRAFTSPORTS MOLA GT-R(本山 哲/高星明誠)が2位に、No.12 カルソニックIMPUL GT-R(安田裕信/J.P・デ・オリベイラ)が3位に入ったことにも表れていたが、最も驚くべきは、No.1 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ)の大健闘だった。

50ポイントを獲得してタイトル争いをリードしている彼らは、今回100kgものハンディウェイトを搭載していたため、予選こそ12位に沈み込んだものの、決勝が始まるとジワジワとポジションを上げていき、レース終盤の170周目にはNo.6 WAKO'S 4CR RC F(大嶋和也/アンドレア・カルダレッリ)をオーバーテイクして4番手に浮上。不利をはねのけて上位入賞を果たすかに思われた。
ところが、4番手を守っていたファイナルラップに思いがけずペースが落ち、バックストレートでマシンが止まってしまう。どうやらガス欠に陥ったようだが、それでも7番手以下のチームを周回遅れにしていたため、6位完走と認められることとなった。

結果的に3位に終わったNo.46 S Road CRAFTSPORTS MOLA GT-Rにしても、序盤にペースが伸び悩んだために予定外のピットストップを行ったほか、中盤には黄旗追い越しによる10秒間のピットストップを消化しながら3位に食い込んだのだから、そうした要因がなければ優勝したとしてもおかしくはない。前戦の覇者であるNo.12 カルソニックIMPUL GT-Rはトップを走行中の60周目にマシンから火が出てリタイアに終わったものの、やはり優勝のチャンスは十分にあったというべきだろう。

予選でNo.15 ドラゴ モデューロ NSX CONCEPT-GTがポールポジションを獲得したほか、No.8 ARTA NSX CONCEPT-GT(松浦孝亮/野尻智紀)が5番グリッド、No.17 KEIHIN NSX CONCEPT-GT(塚越広大/小暮卓史)が6番グリッドからスタートしたホンダ勢は、路面上のゴム滓(かす)がタイヤ表面にこびりついてペースが落ちるピックアップの症状に苦しめられ、13番グリッドからスタートしたNo.100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT(山本尚貴/伊沢拓也)の7位が最上位という結果に終わった。

GT300クラスでは、4番グリッドからスタートしたNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORTが終始安定した速さを見せて快勝。No.31 TOYOTA PRIUS apr GT(嵯峨宏紀/中山雄一)が2位、No.10 GAINER TANAX GT-R(アンドレ・クート/冨田竜一郎)が3位となった。
次戦、第7戦タイ大会は、10月8~9日に開催される。

(文=小林祐介/写真提供 GTA)

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