BMW i3(後編)
2016.09.01 谷口信輝の新車試乗 SUPER GTや86/BRZ Raceなど、数々のモータースポーツシーンで活躍中のレーシングドライバー谷口信輝が、本音でクルマを語り尽くす! 今回も引き続き「BMW i3」に試乗する。“次世代プレミアム”をうたう電気自動車(EV)の意欲作に興味津々の谷口。従来の物差しでは測りきれないEVの走りを、谷口はどう表現するのだろうか。“モーターブレーキ”でフロント荷重を補う
「アクセルを離しただけで結構な減速Gが立ち上がりますよね」
i3がスロットルオフ時に強い回生ブレーキを利かせ、フットブレーキを使わなくとも十分な制動力が得られることのメリットについて谷口が説明を始めた。
「あれのおかげで、コーナー進入時にアクセルを離すと自動的に前輪に荷重がのって、安心してコーナーに入っていけるんですよ。アクセルを離して、エンジンブレーキによって生じるわずかなフロント荷重でコーナーに飛び込むのは、レーシングドライバーなら平気です。でも、一般の方だと少しブレーキペダルを触り、フロント荷重をドライバーが作らないと、コーナーに入るのが怖いのではないでしょうか。その点、i3はアクセルを離した時の“エンジンブレーキ”が強いので、安心感があっていいですよね」
ここで谷口はi3のフロントに回り込み、ボンネットを開けてみた。なかには少しばかりの荷物スペースがあったものの、当然のことながらエンジンは見当たらない。
「そうか、ここになにも入っていないんだよね」
なるほど、モーターはリアに搭載されているほか、高圧バッテリーは床下の低い部分に広く敷き詰めるようにして並べられているので、フロントにあまり重いモノを積んでいないのは事実である。
「だからフロント荷重が不足気味になるけれど、あのアクセルの設定でちゃんと荷重がかかるようになっている。うまい考え方ですよね」
続いてドアを開けてインテリアをチェックする。
「あれー、ちょっと内装はバンみたいでガッカリかな」
それらの素材もリサイクルされたもの、もしくは環境負担の少ない天然素材で作られていて、製造時や廃棄時のCO2排出を抑制しているのだが、谷口にはそれよりもクオリティー感が残念だったようである。
試しに後席に腰掛けてみてはどうかと勧めたところ、長身の谷口は「いやいや、無理でしょ。座れないですよ」と言いつつ、観音開きのドアを開いてリアシートに乗り込んでくれた。
「あれ、座れた。いや、もちろん狭いですよ。みんなで『レッツゴー!』って遠出するときには使えないかもしれない。でも、ちょっとその先まで行く知り合いに乗せてもらうというシチュエーションだったら、これで十分。全然、文句ありません」
では、エクステリアはどうか?
「僕ね、このデザインはキライじゃありませんよ。街中に溶け込もうとして頑張っているデザインでは全然ないけれど、未来感が表現されていていいですよね」
i3の細部をチェックしていると、今度はそのモノコックがカーボンコンポジット製であることに谷口は気づいた。
「すごいね、カーボン使って軽くしているんだ。で、車重は何kg?」
レンジ・エクステンダー付きで1390kgだと伝えると、谷口は、「おお、これだけ大きいクルマだったら、結構軽いほうじゃないんですか?」と答えてくれた。
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