ディフェンダー・オクタ(後編)
2025.11.13 谷口信輝の新車試乗 ブーム真っ盛りのSUVのなかで、頂点に位置するモデルのひとつであろう「ディフェンダー・オクタ」。そのステアリングを握ったレーシングドライバー谷口信輝の評価やいかに?聞けば納得の足まわり
「かなりパワーがありますね」と、ディフェンダー・オクタの動力性能を高く評価したかと思えば、「乗り心地はちょっと硬いですね」と、その快適性に疑問を呈した谷口信輝。こうした言葉だけを聞いていると、彼がこのクルマを気に入ったのか、それとも好みに合わなかったのかを判断するのは難しい。そこでワインディングロードでの試乗を終えたところで、あらためてクルマの印象を語ってもらうことにした。
「いやいや、僕が印象について語る前に、このクルマがどういう背景でつくられたのか、オオタニさん、もう少し話を聞かせてくださいよ」
谷口がそう言うので、私は数カ月前に参加したディフェンダー・オクタの国際試乗会について説明した。試乗会の舞台は南アフリカの北部。携帯電話の電波も届かない都市部から遠く離れた地域で、私たちはひたすらアクセルペダルを踏み続けた。しかも、路面は硬く締まったダート路。そこを高速道路並みのペースで延々走るというのが、試乗会のメインメニューだった。こんな経験は、後にも先にもこれ一度きりだったが、ディフェンダー・オクタはそんな過酷な状況でも音を上げることなく、路面からの激しい振動を巧みに吸収しながら安定した走りを披露してわれわれを驚かせたのである。つまり、ダート路を高速で走り抜けることを、ディフェンダー・オクタは最も得意としているのである。
私の話を聞いて「なるほどねえ」と答えた谷口に「やっぱり、こういうのは好みじゃないですか?」と尋ねてみた。すると、「いやいや、全然そんなことありません。むしろ、足まわりの動き方とかは質が高いし、ダート路での高速走行を重視したセッティングと聞けば、ああそうなんだと思うだけ。なんにも悪いとは思っていませんよ」との答えが返ってきた。
「でもね、僕、いつかはランドローバー系のクルマを買うと思いますよ」
いきなり、谷口はそんな言葉を口にした。
「正直、このメーカーがつくるクルマは、どれに乗ってもポテンシャルが高いと思っていました。まあ、『イヴォーク』だけはちょっと方向性が違うような気がしましたが、レンジローバーに初めて乗ったときには、かなりロールス・ロイスに近いポジションにあると感じました。意外に思われるかもしれませんが、僕は、ロールス・ロイスみたいなゆったりとした乗り心地が結構、好きなんです」
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