【F1 2017 続報】第8戦アゼルバイジャンGP「諦めなかったものの勝利」

2017.06.26 自動車ニュース
F1第8戦アゼルバイジャンGPを制したレッドブルのダニエル・リカルド(写真右から2番目)、2位に終わったメルセデスのバルテリ・ボッタス(同左端)、3位に入ったウィリアムズのランス・ストロール(同右端)。(Photo=Red Bull Racing)
F1第8戦アゼルバイジャンGPを制したレッドブルのダニエル・リカルド(写真右から2番目)、2位に終わったメルセデスのバルテリ・ボッタス(同左端)、3位に入ったウィリアムズのランス・ストロール(同右端)。(Photo=Red Bull Racing)拡大

2017年6月25日、アゼルバイジャンのバクー・シティ・サーキットで行われたF1世界選手権第8戦アゼルバイジャンGP。数々のクラッシュやトラブルが吹き荒れた今回、優勝とタイトルを争うルイス・ハミルトンとセバスチャン・ベッテルは数奇な流れに飲み込まれ、難しい状況でも諦めずに戦い続けた男たちに勝利の女神はほほ笑んだ。

レッドブルは、金曜日の2回のフリー走行でトップと好調なスタートを切ったが、2台ともウオールにヒット、またメカニカルトラブルに見舞われるなど順風満帆というわけではなかった。予選でクラッシュし10番グリッドからスタートしたリカルド(写真)は、ブレーキに付いた破片を取るために緊急ピットインしたことで17位まで落ちるも、次々と脱落するライバルたちを尻目に順調にポジションを上げ、ついにはトップへ。2016年マレーシアGP以来となる今季初勝利を手にした。再スタートでウィリアムズの2台を豪快に抜いて見せ場もつくった。(Photo=Red Bull Racing)
レッドブルは、金曜日の2回のフリー走行でトップと好調なスタートを切ったが、2台ともウオールにヒット、またメカニカルトラブルに見舞われるなど順風満帆というわけではなかった。予選でクラッシュし10番グリッドからスタートしたリカルド(写真)は、ブレーキに付いた破片を取るために緊急ピットインしたことで17位まで落ちるも、次々と脱落するライバルたちを尻目に順調にポジションを上げ、ついにはトップへ。2016年マレーシアGP以来となる今季初勝利を手にした。再スタートでウィリアムズの2台を豪快に抜いて見せ場もつくった。(Photo=Red Bull Racing)拡大
メルセデスのボッタス(写真)は、予選でチームメイトのルイス・ハミルトンに0.434秒ものギャップを築かれ2位となり、力の差を見せつけられた。レースではオープニングラップでキミ・ライコネンと接触、最下位まで落ちたが、セーフティーカーのおかげでラップダウンを解消することに成功。荒れたレースで表彰台まで挽回し、最後はストロールをゴールライン直前でオーバーテイク、2位の座を勝ち取った。(Photo=Mercedes)
メルセデスのボッタス(写真)は、予選でチームメイトのルイス・ハミルトンに0.434秒ものギャップを築かれ2位となり、力の差を見せつけられた。レースではオープニングラップでキミ・ライコネンと接触、最下位まで落ちたが、セーフティーカーのおかげでラップダウンを解消することに成功。荒れたレースで表彰台まで挽回し、最後はストロールをゴールライン直前でオーバーテイク、2位の座を勝ち取った。(Photo=Mercedes)拡大

来季暫定カレンダーに初の3連戦、フランスGPの名前も

6月19日、2018年シーズンの暫定F1カレンダーをFIA(国際自動車連盟)が発表した。今年より1レース増えて過去最多タイの21戦が予定され、さらには史上初めて3連戦が組み込まれるという、多忙極まる一年となるかもしれない。

3月25日にオーストラリアGPでスタートし、ちょうど8カ月後の11月25日に行われるアブダビGPでフィナーレを迎えるという、開幕戦と最終戦はおなじみのレースでかためられる。F1人気の低迷に苦しんだマレーシアGPは予定通り今季限りで来季は行われず、代わりに2008年を最後に途絶えていたフランスGPが復活。1990年までF1を開催していた南仏ポールリカールサーキットが舞台だ。さらに今年開催を断念していたドイツGPも再びカレンダーにその名を載せている。日本GPは10月7日に鈴鹿サーキットで開かれる。

年間レース数については、商業的理由からひとつでも多く開催したいという意向がある一方で、チーム側からは人的、費用的な負担増を歓迎しない声もあがっている。F1新オーナー、リバティ・メディアがどのような折り合いをつけるかという点からも、来季のスケジュールから目が離せないところだ。

話題を今シーズンに移すと、F1は最も新しいGP、昨季のヨーロッパGP改めアゼルバイジャンGPを迎えた。前戦カナダGPで今季3勝目を飾ったメルセデスのルイス・ハミルトン。同じく3勝してチャンピオンシップをリードするフェラーリのセバスチャン・ベッテル。12点差の首位攻防に注目が集まった。

バクー・シティ・サーキットでの初開催となった昨年、ハミルトンは苦戦をしいられ5位に終わったこともあり、今年はその雪辱を果たさんとしていた。対するベッテルは、今季は最下位でも4位と抜群の安定感を誇っており、ここでも優勝を目指せるだろうと思われた。そんなメルセデス対フェラーリの2強対決は、第8ラウンドに突入した。

先輩のリカルド(写真左)に教わった「シューイ」で自身初表彰台を祝うウィリアムズのストロール(同右)。カナダの大富豪である父親の後押しで、中堅ウィリアムズチームに巨額のマネーを持ち込んだ18歳の新人は、当初は度々経験不足を露呈し周囲の気をもませたが、前戦の母国カナダで初入賞を果たすと、アゼルバイジャンでは初めてチームメイトのフェリッペ・マッサを上回る予選8位を獲得。そしてレースになると2位という思いもよらぬ好位置でスポットライトを浴びることになった。最後にボッタスに抜かれ3位となったが、それでもプレッシャーに屈することなく走り切れたのは立派だった。(Photo=Red Bull Racing)
先輩のリカルド(写真左)に教わった「シューイ」で自身初表彰台を祝うウィリアムズのストロール(同右)。カナダの大富豪である父親の後押しで、中堅ウィリアムズチームに巨額のマネーを持ち込んだ18歳の新人は、当初は度々経験不足を露呈し周囲の気をもませたが、前戦の母国カナダで初入賞を果たすと、アゼルバイジャンでは初めてチームメイトのフェリッペ・マッサを上回る予選8位を獲得。そしてレースになると2位という思いもよらぬ好位置でスポットライトを浴びることになった。最後にボッタスに抜かれ3位となったが、それでもプレッシャーに屈することなく走り切れたのは立派だった。(Photo=Red Bull Racing)拡大

ハミルトン、通算66回のポールで歴代単独2位に

金曜日の2回のフリー走行ともレッドブルのマックス・フェルスタッペンがトップ。翌日の3回目ではメルセデスのバルテリ・ボッタスが最速タイムを記録する中で、いまひとつ帳尻を合わせられずにいたハミルトンだったが、予選になってようやく開眼した。

Q1、Q2のいずれでもハミルトンが1位。トップ10グリッドを決めるQ3では、最初のアタックで勢い余ってコースをはみ出しボッタスに次ぐ2番手。次のアタックに入ろうとした矢先、レッドブルのダニエル・リカルドがウオールにヒットしマシンをコース上に止めたことで赤旗が出され、セッションは中断した。3分33秒を残し予選再開。ハミルトンは、先んじてタイムアップを果たしたボッタスを0.434秒も突き放す圧巻のラップで、今シーズン5回目、通算66回目のポールポジションを獲得。歴代ポール記録でアイルトン・セナを抜き単独2位に躍り出た。

予選2位にはボッタスが入り、メルセデスは第3戦バーレーンGPに次ぐ今季2度目のフロントロー独占に成功。2列目はフェラーリが占拠し、キミ・ライコネン3位、ベッテルは4位だった。ライコネンはハミルトンに1.1秒も遅れを取るなど、予選ではメルセデスの速さが他を圧倒していた。

レッドブル勢はフェルスタッペン5位、リカルドは10位。フォースインディアのセルジオ・ペレス6位、エステバン・オコン7位、そしてウィリアイムズのランス・ストロール8位、フェリッペ・マッサ9位と、同じカラーのマシンが2台ずつ並んだ。

予選4位から、スタートで2位。ベッテル(写真)のレースは悪くはなかった。しかしセーフティーカーラン中、コーナーからの立ち上がりで加速が鈍かった首位ハミルトンに追突、その後に見せた「怒りの体当たり」はいただけなかった。スチュワードに危険なドライビングと判断され10秒のストップ&ゴーペナルティーを受け、結果4位。ハミルトンがわざと急減速した、と主張しているが、この点については特に審議されてはいないもようだ。(Photo=Ferrari)
予選4位から、スタートで2位。ベッテル(写真)のレースは悪くはなかった。しかしセーフティーカーラン中、コーナーからの立ち上がりで加速が鈍かった首位ハミルトンに追突、その後に見せた「怒りの体当たり」はいただけなかった。スチュワードに危険なドライビングと判断され10秒のストップ&ゴーペナルティーを受け、結果4位。ハミルトンがわざと急減速した、と主張しているが、この点については特に審議されてはいないもようだ。(Photo=Ferrari)拡大
圧巻のポールポジションからレース序盤をリードしたハミルトン(写真)。ベッテルに追突され、さらにはヘッドレストが浮いてしまうというめずらしいトラブルもあり、最終的に5位でレースを終えた。これまでタイトルを争うベッテルとは友好的な関係にあったが、果たして……。(Photo=Mercedes)
圧巻のポールポジションからレース序盤をリードしたハミルトン(写真)。ベッテルに追突され、さらにはヘッドレストが浮いてしまうというめずらしいトラブルもあり、最終的に5位でレースを終えた。これまでタイトルを争うベッテルとは友好的な関係にあったが、果たして……。(Photo=Mercedes)拡大

度重なるセーフティーカー、そして赤旗中断

週末を通して全チームが頭を悩ませていたのがタイヤ。ピレリがバクーに持ち込んだスーパーソフト、ソフト、ミディアムのタイヤはどれも硬めで、最適な温度まで高めることに各陣営が苦労していた。そうした足元の不安からか、51周レースではスピンやクラッシュが相次ぎ、セーフティーカー(SC)が度々出動、赤旗も出されるほどの大荒れの展開となった。

スタートでトップを守ったのはハミルトン。続く2位ボッタスは、ライコネンにアウトから抜かれた際にマシンを接触させてしまい緊急ピットイン、ポジションを大きく落とした。1位ハミルトン、2位ベッテル、3位ペレス、4位フェルスタッペン、5位ライコネンという順位でオープニングラップを終えた。

1位ハミルトン、2位ベッテルの2秒半後方ではペレスとフェルスタッペンが僅差で3位争いを繰り広げていたのだが、12周目に突如レッドブルがスピードを失い、次々と後続のマシンに追い抜かれていった。フェルスタッペンはガレージにマシンを止め、メカニカルトラブルで戦列を去った。レッドブルのもう1台、リカルドはといえば、ブレーキに何かの破片がかぶさっていたため早々にピットストップを行い、17位を走行していた。

コース上のダニール・クビアトのマシンを撤去するため、12周目に最初のSCが入り、ハミルトン、ベッテルら上位陣を含め続々とスーパーソフトからソフトタイヤに履き替えた。17周目に再スタートが切られると、今度は各所でマシンの破片が散乱したため、すぐさまSCの出番が回ってきた。

間もなく再スタートという時に「事件」は起きた。先頭のハミルトンがターンを曲がった後に加速せず、2位ベッテルはメルセデスに追突してしまった。「ブレーキテストをやりやがって!」とハミルトンへの怒りをあらわにするベッテルは、ハミルトンのマシンに横並びして体当たり。タイトルを争う2人が小競り合いをしているうちに、20周目にレースが再開してしまう。ベッテルはターン1で襲いかかってくるマッサを何とか振り払い2位を死守した。

リスタートして程なく、今度はフォースインディア同士のオコンとペレスが接触し、オコンはリタイア、ペレスもマシンを壊してしまう。さらにライコネンがタイヤをパンクさせるなどしたため、レースは短いSCの後、赤旗中断となった。

ホンダのパワーユニットの交換により、レース前からグリッド降格が決まっていたマクラーレン。フェルナンド・アロンソ(写真)は予選を16位、ストフェル・バンドールンは19位で終えるも、40グリッドダウンのアロンソは最後列の19番グリッドから、35グリッドダウンのバンドールンはアロンソのひとつ手前からスタートすることに。レースでは上位勢の脱落にも助けられ早々に入賞圏内に駒を進めたアロンソが9位でゴールし今季初入賞、バンドールンも12位完走。マクラーレンは、唯一の無得点チームという汚名を8戦目にしてようやく返上できた。(Photo=McLaren)
ホンダのパワーユニットの交換により、レース前からグリッド降格が決まっていたマクラーレン。フェルナンド・アロンソ(写真)は予選を16位、ストフェル・バンドールンは19位で終えるも、40グリッドダウンのアロンソは最後列の19番グリッドから、35グリッドダウンのバンドールンはアロンソのひとつ手前からスタートすることに。レースでは上位勢の脱落にも助けられ早々に入賞圏内に駒を進めたアロンソが9位でゴールし今季初入賞、バンドールンも12位完走。マクラーレンは、唯一の無得点チームという汚名を8戦目にしてようやく返上できた。(Photo=McLaren)拡大

リカルド、17位からトップへ

およそ25分の中断の後、23周目にSC先導でレース再開。順位は1位ハミルトン、2位ベッテル、3位マッサ、4位ストロール、5位リカルド。翌周SCがピットへ戻ると、“レイト・ブレーキングの鬼”リカルドがウィリアムズの2台を豪快に抜き去り3位に躍り出た。

1位ハミルトンは、ヘッドレストがしっかり装着されておらず、走行中に浮いてしまうというめずらしいトラブルと格闘していた。メルセデスは32周目にハミルトンをピットに呼び、この安全装備の再装着をせざるを得なかった。期せずしてトップの座が舞い込んできたベッテルだったが、先のハミルトンとの接触が「危険なドライビング」と判断され、10秒のストップ&ゴーペナルティーが言い渡された。34周目にピットに入ったベッテルがペナルティーを受けてコースに戻ると7位、ハミルトンは8位。そして首位には、リカルドが立っていた。

40周目、スタートで優勝争いから脱落したと思われていたボッタスが表彰台圏内の3位に上昇。残り11周で10秒以上先行する2位ストロールに照準を合わせた。42周目にはベッテルが4位に、ハミルトンも翌周5位にポジションアップを果たしたが、因縁の2人が表彰台に届くことはなかった。

ゴール目前、多くの注目を一身に背負って2位をひた走る18歳のルーキー、ストロール。背後には、1周1秒前後ずつ詰めてくるボッタス。息詰まる2位争いは、ファイナルラップの全開で駆け抜ける最終セクション、ゴール目前でメルセデスがウィリアムズをオーバーテイクしたことで決着した。

予選10位、予定外のピットストップで一時は17位まで順位を落としたリカルドが今季初優勝。スタート直後の接触で最後尾まで落ちたボッタスが2位。そして、大富豪の父親の財力のおかげでF1に乗れるとやゆされながらも、今回初ポディウムを勝ち取ったストロール。諦めずに戦い抜いた男3人の表情が実に晴れやかだった。

次戦オーストリアGPは7月9日に決勝が行われる。

(文=bg)

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