ぶつかってからでは遅いんです!
雪道をサマータイヤで走る危険性とは!?
2018.01.29
デイリーコラム
雪道ではタイヤがすべて
先だっての東京地方の大雪。案の定というか、雪の中をサマータイヤのクルマで出掛けて立ち往生するクルマが続出。交通渋滞の原因となり、大勢の人に迷惑をかけていた。
しかし不思議だ。事前に「明日は雪が降る」とテレビなどで散々報道されていたのに、なぜサマータイヤのまま出発したのだろう? 報道に気付かなかった? 降る前に帰る予定だった? 少々の雪なら走れると思った? どうしてもクルマで出掛ける必要があった? いずれにせよ、タイヤのことを理解していないのだと思う。履いているタイヤによって、クルマの走行性能がどれだけ変わるのか、サマータイヤがどれだけ雪に弱いのかを知らないのではないだろうか。
ちなみに筆者は、ちょうど東京が雪に見舞われた日の午後に帰京した。その前にいたのは青森。スバルの雪上試乗会に参加していたのだ。「インプレッサ」と「XV」のステアリングを交互に握り、八甲田山を抜けて安比高原までの峠道を走った。この日も朝から雪。路面だけでなく、周囲も一面の銀世界だ。しかし、足元は最新のスタッドレスタイヤだから不安は一切なかった。安比高原のスキー場では、スバルが「ゲレンデタクシー」を実施していた。聞けば、わざわざ路面に水をまいて凍らせているのだとか。その上に雪が積もった急こう配のゲレンデを、スバル車は何事もなかったように50km/h以上で駆け上がる。優れたトラクション性能も見逃せないが、もちろん最新のスタッドレスタイヤがあっての芸当。これがサマータイヤでは、どんなクルマでも不可能だ。
サーキットなどでは、スポーツタイヤのグリップ力はすごい。体を持っていかれそうなほどの強烈な横Gを受け止め、クルマをグイグイと曲げていく。しかし、そんなスポーツタイヤも、ほんのわずかな雪であっという間にグリップを失う。筆者も、春先に季節外れの積雪があったとき、見た目にはわからないようなわずかなこう配を登ることができなかった経験がある。要は、同じクルマでもタイヤによって走れる路面が違うということ。サマータイヤは、雪にものすごく弱いのだ。
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クルマは置いて帰るのが正解
ご存じの方も多いと思うが、サマータイヤが雪に弱いのはタイヤと路面との間に水の膜ができてしまうため。水に浮いていてはグリップを利かせることができない。そのために滑るのだ。一方、スタッドレスタイヤは、そうした水を除去するための小さな溝などを採用し、さらにゴムを低温でも柔らかさを保って路面に密着しやすいものとしている。特に日本は、気温が0度前後で上下する地域が多いため、溶けた雪が凍ってアイスバーンとなり、世界でも特に厳しい路面となる。そんな状況でも普通に走れるようにと、日本のスタッドレスタイヤは進化を重ねてきた。
そういうわけで、どのような理由があろうとも、本格的に雪が降ってきたらサマータイヤのクルマはギブアップするしかない。最悪なのは、「あと少し、あと少し」とサマータイヤのまま走り続けることだ。頑張るだけ頑張って、最後は道をふさぐ格好で立ち往生。また、タイヤがグリップを失ってガードレールや他車にぶつかれば、修理費で万単位のお金が飛んでいく。本格的に雪が降ってきたらさっさと諦めて、料金のできるだけ安い駐車場にクルマを置いて、歩いて(電車で)帰るのが正解だ。どうせ東京ならば、雪は2日と続かないはず。ひと晩預けて翌日にピックアップしても、数千円の出費といったところではないだろうか。
立ち往生や衝突など、雪で痛い目にあわないとわからないというのでは、いい大人としてあまりに残念だ。雪が降ったらサマータイヤのクルマは諦める。なんとも簡単な理屈だが、これを理解できない人が多いのが不思議で仕方ない。
(文=鈴木ケンイチ/編集=藤沢 勝)
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鈴木 ケンイチ
1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。
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