【ニューヨークショー2018】米国市場は先進化よりも高級化が優先!?

2018.04.02 自動車ニュース
毎年、3月末から4月にかけて開催されるニューヨークモーターショーは、マンハッタンのウエストサイドにあるジャビッツトレードセンターを会場としている。
毎年、3月末から4月にかけて開催されるニューヨークモーターショーは、マンハッタンのウエストサイドにあるジャビッツトレードセンターを会場としている。拡大

毎年春に開催される、ニューヨークモーターショー。マンハッタンのウエストサイド、10番アベニューと37番ストリートが交差する地点にある、ジャビッツトレードセンターが会場である。例年通り各ブランドがラグジュアリー寄りな高付加価値商品をお披露目する一方で、取材を進めていくと、次世代技術搭載車の本格普及には、まだまだ時間を要すであろうと思われるシーンも見受けられた。

フォードブースの様子。GM、FCAを合わせたいわゆるデトロイトスリーは、プレミアムカーやスポーツカーを展示の中心に据えた。
フォードブースの様子。GM、FCAを合わせたいわゆるデトロイトスリーは、プレミアムカーやスポーツカーを展示の中心に据えた。拡大
こちらはレクサスブースの様子。2018年のジュネーブで発表したコンパクトクロスオーバーSUV「UX」や「GS F」の特別仕様車(写真手前)などが主役を務めた。
こちらはレクサスブースの様子。2018年のジュネーブで発表したコンパクトクロスオーバーSUV「UX」や「GS F」の特別仕様車(写真手前)などが主役を務めた。拡大
ポルシェUSAは旧モデルのレストア事業「ポルシェ クラシック」を強化する方針をアピールした。
ポルシェUSAは旧モデルのレストア事業「ポルシェ クラシック」を強化する方針をアピールした。拡大

集客数全米ナンバーワンのショー

それにしても、マンハッタンの再開発の速さには驚かされる。毎年何度か訪問しているのだが、街の雰囲気がどんどんきれいに、そして豪華に変わっていく。

こうした街の変化に象徴されるように、アメリカ経済は2008年のリーマンショックから徐々に持ち直し、近年の株高による相乗効果も合わせて、全米に投資マネーがばらまかれた。その結果、アメリカの自動車販売台数はリーマンショック時の1000万台レベルから過去最高の再来となる1700万台規模まで回復。自動車販売の好調さは2017年に頭打ちになったものの、いまだにアメリカ人の自動車購買意欲は強い。

自動車販売の実態を知るうえで、モーターショーの取材は有効な方法だ。アメリカ市場では1月の北米国際自動車ショー(通称:デトロイトショー)で、地場のデトロイトスリーを筆頭に、欧米韓、さらに最近は中国メーカーが新型車のワールドプレミアを行う。

続く2月のシカゴモーターショーは、北米向けSUVやピックアップトラックのお披露目の場として活用されることが多い。

次に3月末から4月上旬にかけて行われるのが、こちらニューヨークショー。秋口になると、11月にロサンゼルスモーターショーがあり、自動運転や電気自動車(EV)など次世代技術関連の発表もある。また、さらにローカルなモーターショーは、マイアミ、ダラス、ボルティモアなど全米各地でほぼ毎月のペースで行われている。

こうした北米の各種モーターショーの中で、実はニューヨークショーが最も集客人数が多い。

自家用車を持たない人が多いマンハッタンでの開催だが、業界関係者を含めて「ショーのついでにニューヨークでいろいろ遊びたい」という人が多いのだ。

トヨタはクロスオーバーSUV「RAV4」の新型を世界初公開した。
トヨタはクロスオーバーSUV「RAV4」の新型を世界初公開した。拡大
スバルは“世界で最も売れているスバル車”である「フォレスター」の新型を披露した。
スバルは“世界で最も売れているスバル車”である「フォレスター」の新型を披露した。拡大
日産は「アルティマ」や「リーフ」といった新型車に加えて、今年からエントリーしているフォーミュラEへの参戦車両を展示した。
日産は「アルティマ」や「リーフ」といった新型車に加えて、今年からエントリーしているフォーミュラEへの参戦車両を展示した。拡大

商品ぞろえも高級車が最優先

そんなニューヨークショーの特徴は、高級な雰囲気の中で高付加価値なプレミアムカーやスポーツカーを見せることだ。

2018年のデトロイトスリーは、キャデラックとリンカーンがさまざまな趣向を凝らして来場者に高級ブランドとしての魅力を訴求した。

日系プレミアム御三家のレクサス、インフィニティ、アキュラは、今回は主だった新車発表はなかったものの、全米の有力ディーラー幹部を招いて、今後のブランディング戦略を練った様子だ。

また、販売好調のジャーマンスリーは個別レセプションを開いて、北米市場におけるプレミアムブランド拡張のために、今後どのようなモデルが必要かといったディスカッションをディーラー幹部と繰り返していた。

その他、マスマーケットと呼ばれる中間ブランド向けでは、ここ数年で急速に進んでいるセダンからSUVへの市場シフトを捉えて、トヨタが「RAV4」、スバルが「フォレスター」の新型を世界初公開。両車とも世界戦略車であるが、販売台数ではアメリカを最重要市場として位置付けており、先代モデルと比べて外観で高級なイメージが増し、またインテリアでもダッシュボードやドアパネルの素材の質感が高級車レベルに引き上げられた。

自動運転システム開発を手がけるウェイモとジャガーがタッグを組んだ、電気自動車「Iペース」の自動運転実験車両。
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ダイムラーは「メルセデス・ベンツCクラス」のマイナーチェンジモデルなどを持ち込んだ。
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こちらはフォードとドミノ・ピザの協業による、ピザの自動宅配システムの実験車両。
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自動運転、EV、コネクテッドカーの訴求は難しい

しかし次世代車については、展示はあるものの、新しい話題が少なかったこともあり、メディアでの取り扱いも決して多くなかった。

そうした中で目立ったのは、ジャガーの量産型EV「Iペース」を使い、グーグルからスピンアウトしたウェイモと連携した自動運転実験車両だ。3月中旬にはライドシェアリング大手、ウーバーの自動運転実験車両が、アリゾナ州で実験走行中に人身死亡事故を起こしたことが世界各国で報道された。そのため、完全自動運転の普及を疑問視する報道が多い中で、ジャガーは自社としての方針を明確に打ち出した形だ。

EVについては、ジャーマンスリーが既存のプラグインハイブリッド車を各セグメントでの上級グレードとして強調。新開発のEVやEVに関する技術展示はなかった。

アメリカのカーディーラー数社の幹部に直接話を聞いてみたところ、「自動運転、EV、コネクテッドカーなど次世代車には興味がない」「次世代車に対するユーザーの関心が低く、それを売りにしても販売台数は増えない」といった声が多かった。これがアメリカ市場の現実である。

続くニューヨークショーのプレスデー2日目は朝から小雨模様。マンハッタンの摩天楼の上層階は霧の中だった。

(文と写真=桃田健史)

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