ルノー・日産・三菱、グーグルとの提携で電脳化を加速
2018.10.19 自動車ニュース![]() |
日産自動車は2018年10月19日、横浜のグローバル本社において、同年9月18日に発表したルノー・日産自動車・三菱自動車と米グーグルとの次世代インフォテインメント開発での提携および、中期計画「アライアンス2022」のコネクティッドカー戦略について、あらためて説明を行った。
![]() |
今回、説明を行うにあたって、本年度よりルノー・日産自動車・三菱自動車のコネクティッドカー開発責任者に就任した、アライアンスグローバルバイスプレジデントのカル・モス氏がフランスから来日。報道関係者向けのラウンドテーブルで、3社によるアライアンスがグーグルとの提携で共に目指す「共通の車載インフォテインメントシステム」と「共通の車載コネクティビティーシステム」のあり方や、開発の重要性を紹介した。モス氏はさらに、アライアンス2022の下で開発されるコネクティッドカーがもたらす、先進的で利便性の高いサービスの提供によってユーザーが享受できるメリットなどを説明した。
カル・モス氏は、ゼネラルモーターズの「オンスター」(事故の際、関係当局に自動連絡を行うほか、盗難の被害にあった場合には車両位置情報の提供やエンジン停止などを行うテレマティクスサービス)や、メルセデス・ベンツの市販車に最近実装された、AI技術を活用するインフォテインメントシステム「MBUX」の開発を主導した人物で、アライアンス2022のコネクティッドカー戦略においてもリーダーシップが期待されている。
アライアンス3社とグーグルによって共同開発される、世界で最も普及している「Android」をベースとした新世代のインフォテインメントシステム搭載車両は、2021年から提供が開始される予定だ。「スマートフォンと異なり、クルマは信頼性が最も重要。何かのトラブルで(車載インフォテインメントシステムが)使えなくなるなどということがあってはならない。信頼性の向上にはやはり時間がかかる」(カル・モス氏)と、導入まで3年を要する点について説明した。
この次世代インフォテインメントシステムでは、運転者や同乗者が「Googleマップ」によるナビゲーションや「Google Play」ストア上にある車載用アプリを利用可能。現在のスマホ用アプリと同様に、誰でも自由に(知識さえあれば)車載アプリを開発でき、従来にない自由な発想で開発されたアプリの登場も期待されている。また、内蔵の「Googleアシスタント」を活用した音声による電話やメールへの応対、メディアの操作や情報の検索、車内機能の管理などもできるようになるという。
さらにこのシステムは、3社が共同で使用する「アライアンスインテリジェントクラウド」との組み合わせによって、ソフトウエアのアップグレードや車両診断も可能になる。「2022年には、われわれアライアンス3社が販売する新車車両のうち90%をコネクティッドカーとするのが目標」とモス氏は語るが、ユニークなのは、具体的なシステムは公表されていないが、「新車だけでなく、販売済みの車両でもアライアンスインテリジェントクラウドによって、新サービスを受けられるように開発を進めている」(モス氏)という点だ。
「ユーザーにとって役立つサービスの提供は、商品力の向上や他社との差別化にもつながり、何よりもクルマの使用がより楽しくなるはず」とモス氏は言う。新世代インフォテインメントを搭載する車両の登場や普及はもう少し先になるが、自動運転や次世代パワートレインとともに、クルマの電脳化は今後注目したい技術のひとつになるといえるだろう。
(文=櫻井健一)