地図だけでは分からない情報をGPSから

そんなラストワンマイルのルート最適化に特化したサービスが、オプティマインドの『Loogia(ルージア)』だ。同社は名古屋大学発のベンチャー企業で、昨2019年秋にトヨタ自動車など4社から10億円以上の資金を調達したことでも話題を集めている。

ルージアはAIを使って住所や時間指定等の配送情報から最適なルートを導く。計算の基本は組み合わせ最適化だ。例えば3つの店舗に配送するとしたら、巡回パターンは「1-2-3」「1-3-2」「2-1-3」「2-3-1」「3-1-2」「3-2-1」の全6通りが考えられるので、この中から時間指定や交通事情などの要素を加味して最適なものを選ぶ。しかし、配送先が増えるほどに計算は複雑になる。配送先が5カ所ならば巡回パターンは120通り。10カ所ならば362万超と、巡回パターンが爆発的に増えていくためだ。

そこで採用されたのがメタヒューリスティクスという最適解を効率的に導く手法。これにより複雑な問題も短時間で解くことができる。同社が行ったルート作成の実験では、28カ所に31個の荷物を届けるルートを作成するのに、新人ドライバーは44分かかったが、ルージア使用では6分に短縮できた。実際の移動時間も、新人ドライバー作成のルートでは57分のところ、ルージア版では45分となり、合計で50分の時間短縮を実現した。

また、ルージアのアルゴリズムはラストワンマイルに特化して開発されたもので、Uターン抑制や左付け優先といった特殊なルートを提示できる。さらに、実際に走行した車両のGPSデータを学習させることで、機能が強化される。例えば、地図では配送先の出入り口や駐車可能スペースまでは分からない。商業施設の場合、来客用駐車場は大通りに面していても、配送トラックの出入り口は裏側といったケースもある。しかし、走行履歴を解析すれば地図だけでは分からなかった現場の情報が分かり、どこに車両を着ければよいのか、よりよい配送ルートを導くことができる。

Eコマース市場は依然として右肩上がりだが、物流の担い手不足は深刻さを増している。こうしたツールで課題が解決されるとしたら、一利用者としても大歓迎だ。しかも、現在は新型コロナウイルスの影響でEコマースの利用が増加中。こんな状況にあっても通常通り業務を遂行してくれる物流業者の皆さまに、この場を借りてお礼をお伝えしたい。本当にありがとうございます!

(文=林 愛子/写真=ナビタイムジャパン、日産自動車/編集=藤沢 勝)

オプティマインドの「ルージア」はすでに日本郵便などが一部地域で試行導入している。
オプティマインドの「ルージア」はすでに日本郵便などが一部地域で試行導入している。拡大
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