「MSRロードスター12R」が『グランツーリスモ7』に登場! その走りを“リアルドライビングシミュレーター”で体験せよ
2025.09.26 デイリーコラム話題の“特別なロードスター”がデジタルの世界に登場
2025年9月23日、PlayStation©5/PlayStation©4用のソフトウエア『グランツーリスモ7』に、「マツダ スピリット レーシング・ロードスター12R(以下、12R)」が登場することが、ポリフォニー・デジタルとマツダの双方から発表された(マツダの発表は9月24日)。
12Rは、2025年1月の東京オートサロンでマツダが発表した、メーカー自製のコンプリートカーだ(参照)。開発を担うのはマツダのモータースポーツサブブランドであるMAZDA SPIRIT RACING(マツダ スピリット レーシング)で、販売台数は200台のみ。価格は700万円台の後半で、2025年秋に予約受け付けを始め、年内の発売を目指すという。
その内容は、メーカーだからこそできる特別なものだ。エンジンは「ロードスターRF」等に搭載される2リッターユニットをベースに、専用のカムシャフトやシリンダーヘッド、ピストン、エキゾーストマニホールドを使って、最高出力を200PSに引き上げている。ロードスターRFの最高出力は184PSであるから、小排気量の自然吸気エンジンで16PSもパワーを高めているのだ。さらに、車体にはアルミ製タワーバー、専用ホイールを装着。エクステリアには専用のエアログレー塗装と新規開発のエアロパーツ、専用デカールを採用。インテリアにはフルバケットシートにアルカンターラの内装がおごられている。
また専用アクセサリーとして、チタン製のスポーツマフラーと、スリットローターおよびスポーツパッドからなるブレーキセット、強化ブッシュとショートタイプバンプストップのスポーツアライメントキット、「MAZDA SPIRIT RACING」のロゴ入り4点式ハーネスも用意されるという。
つまり、ベースモデルよりパワフルなエンジンを搭載し、内外装をスペシャルに仕上げたという内容で、硬派な向きの要望に応える足まわりも用意されるというわけだ。ファンであれば一度は夢見た、速くて特別なロードスターを、メーカー自身が仕上げた格好になる。そんなスペシャルな一台が、高精度なリアルドライビングシミュレーターに登場するというわけだ。
拡大 |
拡大 |
拡大 |
マツダと『グランツーリスモ』の深い関係
そもそも、マツダとグランツーリスモシリーズの関係は意外に深い。草の根からのモータースポーツ普及に力を入れるマツダは、グランツーリスモを舞台とするeスポーツの大会を開催している。それが、2022年から毎年初冬に開催されている「MAZDA SPIRIT RACING GT CUP」だ。
この大会でユニークなのは、上位入賞者に対して、リアルにサーキットで走る機会を用意していることである。2022年は18人、2023年と2024年は27人を、マツダが用意したロードスターでの走行会に招待。さらに、この走行会でふるいにかけられた数人のドライバーは、マツダの用意したマシンで「マツ耐(マツダ・ファン・エンデュランス)」に出場できるというものだ(参照)。それもあって、MAZDA SPIRIT RACING GT CUPのエントリー数は2022年の約6000人から、2023年の約7500人、そして2024年の約9000人と右肩上がりに伸びている。eスポーツを通じてモータースポーツを志向する人々を増やす。そんなマツダの挑戦が、グランツーリスモというゲームというフィールドで展開されているのだ。
また過去を振り返れば、グランツーリスモにはマツダの特別なクルマが何台も登場している。2014年の「ビジョンLM55」、2020年の「RXビジョンGT3」、2021年の「RXビジョン」、2022年の「ロードスターNR-A」、2023年の「マツダ3 Gr.4」といった具合だ。さらに最新のグランツーリスモ7のパッケージにはRXビジョンGT3が使われている。これも、マツダとグランツーリスモの深い関係を象徴するものだろう。
記者はこの4月、横浜にあるマツダのR&Dセンターで実施された、12Rのスキャニングの現場を見学することができた。実車の12Rを、グランツーリスモの制作チームが3Dスキャンしていたのだ。
用意された12Rには、小さな丸い点のシールが全体に貼られていた。それに合わせてスキャナーでボディーのサイズや形状を計測していくのだ。この作業はエクステリアやインテリアはもちろんのこと、ホイールを外してブレーキやサスペンションなどの足まわりでも実施。さらに車体の下回りまで、入念にスキャンしていた。こうした作業を経て、画面の向こうにリアルなマシンが再現されるのだ。
ファンであれば、ぜひともグランツーリスモ7のなかで12Rを手に入れてほしい。リアルワールドでは、200台という販売台数や700万円台後半の価格が高いハードルとなるけれど、シミュレーターであれば誰でも簡単に手に入る。200台がどういったかたちで販売されるかはわからないが、抽選で外れたり、注文が間に合わなかったりして希代の一台をとりもらしてしまったアナタ、せめてバーチャルの世界でだけでも、ガレージに12Rを収めてはいかがだろう。
(文=鈴木ケンイチ/写真=マツダ、ポリフォニー・デジタル/編集=堀田剛資)

鈴木 ケンイチ
1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。
-
アルファ・ロメオやDS、マセラティの未来やいかに? ステランティスが発表した新戦略を読み解く 2026.6.26 再起を図るステランティスが、新CEOのもとで新しい次世代戦略を発表。地域主導とブランド構成の再構築を軸とした改革によって、私たちが親しんだアルファ・ロメオやDS、マセラティなどはどうなるのか? 欧州通のジャーナリストが考察する。
-
新型「マツダCX-5」が登場 絶版となった先代ディーゼル車の中古価格はどうなる? 2026.6.25 新型「マツダCX-5」の販売が開始され、これまでCX-5の人気をけん引してきたディーゼル車が絶版となった。となれば、先代ディーゼル車の中古車価格は下落か、それとも高騰か。下町の中古車評論家が今後の相場を予想する。
-
国内には2台のみ!? ピニンファリーナの幻の傑作クーペにイベントで遭遇 2026.6.24 「今回はすごいレア車が来ますよ」と聞いて出向いた旧車イベント。そこに展示されていたのはまさにレア車中のレア車、日本には存在しないと思っていたほどの一台だった。フィアットがフルラインメーカーだった時代のある大型クーペにまつわるストーリーをお届けする。
-
「マツダ2」の生産終了と新型「CX-3」のタイ生産を公表 マツダの次世代コンパクトカー戦略を探る 2026.6.22 「マツダ2」を2026年8月に生産終了し、新型「CX-3」をタイで生産すると公表しているマツダ。コンセプトカー「ビジョンXコンパクト」をベースとするデザインが採用されるとうわさされる、マツダの次世代コンパクトカー戦略を探る。
-
これがスバルの生存戦略! 最新BEV「トレイルシーカー」の工場にみる日本メーカーの生きる道 2026.6.19 話題の最新BEV「スバル・トレイルシーカー」「トヨタbZ4Xツーリング」を生産する、スバルの矢島工場を見学。高度な混流生産を可能にした彼らの独自技術と、その狙いとは? 市場の変化をチャンスに変える、生き残りをかけたスバルの技術革新をリポートする。
-
NEW
第874回:自動運転からワイパーまで! 自動車を支えるメガサプライヤー ボッシュのあくなき挑戦
2026.6.27エディターから一言世界屈指のメガサプライヤー、ボッシュが開発中の新技術を披露! 市街地での高度な運転支援技術に、日本の方言にも対応した対話型AI、サーキット走行のノウハウを教えてくれるコーチング機能等々……興味深いその中身をリポートする。 -
NEW
ヒョンデ・ネッソ ラウンジ+(FWD)【試乗記】
2026.6.27試乗記ヒョンデの水素燃料電池車「ネッソ」がフルモデルチェンジ。……といっても多くの方にはなじみがないかもしれないが、デザインが一気にモダンになったほか、満タンからの走行可能距離が25%近くも拡大するなど長足の進歩を果たしている。300km余りをドライブした。 -
これから『webCG』に期待することは? アンケートご協力のお願い
2026.6.26From Our Staff皆さまは日ごろ、自動車情報サイト『webCG』をどのように利用していて、どんな記事やサービスの提供を期待されるでしょうか? webCGに関する意識調査のアンケートに、ご協力をお願いいたします。 -
アルファ・ロメオやDS、マセラティの未来やいかに? ステランティスが発表した新戦略を読み解く
2026.6.26デイリーコラム再起を図るステランティスが、新CEOのもとで新しい次世代戦略を発表。地域主導とブランド構成の再構築を軸とした改革によって、私たちが親しんだアルファ・ロメオやDS、マセラティなどはどうなるのか? 欧州通のジャーナリストが考察する。 -
モルビデリC252V(6MT)
2026.6.26JAIA輸入二輪車試乗会2026イタリアのモルビデリが中国の資本のもとで復活! 試乗した250ccクラスのクルーザー「C252V」は、かつての中国製品のイメージとは一線を画す、完成度の高いマシンに仕上がっていた。再生とともにグローバルブランドへと脱皮した、名門の実力に迫る。 -
第967回:初代「トヨタ・クラウン」や“ヨタハチ”が「ミッレミリア」を走った!
2026.6.25マッキナ あらモーダ!イタリアの歴史あるヒストリックカーラリー「ミッレミリア」に、日本のクルマが初めて参加! 石畳の道を行く初代「トヨペット・クラウン」に「トヨタ・スポーツ800」「2000GT」「スープラ」の姿を、現地在住の大矢アキオがリポートする。





































