【F1 2020】第3戦ハンガリーGP「ハミルトン2連勝の一方でフェルスタッペンは“2位でも優勝”」

2020.07.20 自動車ニュース
F1第3戦ハンガリーGPを制したメルセデスのルイス・ハミルトン(写真中央)、2位に入ったレッドブルのマックス・フェルスタッペン(同左)、3位でレースを終えたメルセデスのバルテリ・ボッタス(同右)。(Photo=Mercedes)
F1第3戦ハンガリーGPを制したメルセデスのルイス・ハミルトン(写真中央)、2位に入ったレッドブルのマックス・フェルスタッペン(同左)、3位でレースを終えたメルセデスのバルテリ・ボッタス(同右)。(Photo=Mercedes)拡大

2020年7月19日、ハンガリーのハンガロリンク・サーキットで行われたF1世界選手権第3戦ハンガリーGP。いまやメルセデス勢に次ぐ速さでライバルを脅かすまでになったレーシングポイントだったが、ウエットコンディションでのスタートとなったレースでは“眠れる獅子”が突然目を覚まし、ピンクのマシンを表彰台から引きずり下ろした。

ウエットコンディションのなか、70周のレースがスタート。ポールシッターのハミルトン(写真先頭)がトップでターン1に入った。(Photo=Mercedes)
ウエットコンディションのなか、70周のレースがスタート。ポールシッターのハミルトン(写真先頭)がトップでターン1に入った。(Photo=Mercedes)拡大
ハミルトン(写真)が2戦連続でポール・トゥ・ウィンを達成。予選ではコースレコードを更新し、節目の通算90回目のポール獲得。さらにレースではハンガリーにおける8勝目をマークし、ミハエル・シューマッハーが持つ同一サーキットでの最多勝記録に並ぶという、記録の多い週末だった。これでボッタスからポイントリーダーの座を奪い取り、7度目のタイトル獲得に向けて態勢を整えた。次からは、ハンガリー同様に得意なコースである母国イギリス・シルバーストーンでの2連戦となる。(Photo=Mercedes)
ハミルトン(写真)が2戦連続でポール・トゥ・ウィンを達成。予選ではコースレコードを更新し、節目の通算90回目のポール獲得。さらにレースではハンガリーにおける8勝目をマークし、ミハエル・シューマッハーが持つ同一サーキットでの最多勝記録に並ぶという、記録の多い週末だった。これでボッタスからポイントリーダーの座を奪い取り、7度目のタイトル獲得に向けて態勢を整えた。次からは、ハンガリー同様に得意なコースである母国イギリス・シルバーストーンでの2連戦となる。(Photo=Mercedes)拡大

いま話題の中心は“ピンク・メルセデス”

F1でいま一番ホットな話題は、レーシングポイントが独り占めしているといっていいだろう。

レッドブル・リンクでの開幕2連戦を終えて最高位6位、22点を奪ってコンストラクターズランキング4位と成績こそ驚くほどではないものの、コースを走ればトップチームに比肩するほどの速さを見せている。1週間前のシュタイアーマルクGPでは、4位を走る3強の一角、レッドブルのアレクサンダー・アルボンをセルジオ・ペレスが脅かし、ペレスの僚友ランス・ストロールも「われわれは(1-2フィニッシュを飾ったメルセデスに次いで)2番目に速かった」と豪語するほどだった。

レース終了後、ライバルのルノーがレーシングポイントの今季型マシン「RP20」のブレーキダクトが違法ではないかとFIA(国際自動車連盟)に抗議し、今度はコース外でも注目を集めることに。もともと冬のテストから“ピンク・メルセデス”といわれたほど前年型「メルセデスW10」にソックリな今年のレーシングポイント。ルノーが着目したのは、本来ならオリジナルであるべきブレーキダクトがW10のものと酷似しているという点で、FIAも調査に乗り出すこととなった。

そして、大物ドライバーをめぐる移籍話だ。来季はレーシングポイントからアストンマーティンのワークスとなることが決まっており、イギリスの由緒あるブランド名を冠するからには、ビッグネームが欲しいところである。そこで白羽の矢が立ったのが、今季限りでフェラーリを追われる4冠王者、セバスチャン・ベッテル。ハンガリーGPではベッテルもレーシングポイントとの接触を持ったことを認めており、今後の動向に目が離せない状況となっている。

メルセデス、フェラーリ、レッドブルの3強時代が長く続いてきたF1に突如現れたピンクのダークホース。戦いの序列をかき乱してくれるとなれば、面白みはいよいよ増していくというものだが、その実力は果たしていかほどのものなのか。開幕3連戦の3戦目、ハンガリーGPは、レーシングポイントにとってもひとつの試金石となった。

レッドブルはハンガリーで苦戦を強いられ、フェルスタッペン(写真)は予選7位と低迷。今季型「RB16」は挙動が安定せず、フェルスタッペンも「セットアップだけの問題ではない。何かがうまく機能していない」と悩み顔。さらにスタート前にはぬれた路面でタイヤをロックさせ壁にヒット、マシンを壊すという緊急事態も発生した。メカニックの迅速な修理でギリギリ間に合ったのだが、これで運気が変わったか、レースが始まると一気に3位にジャンプアップ、ピットストップのタイミングで2位へ。終盤のボッタスの猛チャージにも耐えてチェッカードフラッグ。2戦連続の表彰台でドライバーズランキング3位へと躍進した。僚友アレクサンダー・アルボンは予選Q2敗退の13位から5位。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
レッドブルはハンガリーで苦戦を強いられ、フェルスタッペン(写真)は予選7位と低迷。今季型「RB16」は挙動が安定せず、フェルスタッペンも「セットアップだけの問題ではない。何かがうまく機能していない」と悩み顔。さらにスタート前にはぬれた路面でタイヤをロックさせ壁にヒット、マシンを壊すという緊急事態も発生した。メカニックの迅速な修理でギリギリ間に合ったのだが、これで運気が変わったか、レースが始まると一気に3位にジャンプアップ、ピットストップのタイミングで2位へ。終盤のボッタスの猛チャージにも耐えてチェッカードフラッグ。2戦連続の表彰台でドライバーズランキング3位へと躍進した。僚友アレクサンダー・アルボンは予選Q2敗退の13位から5位。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大
ポイントリーダーとしてハンガリーに来たボッタス(写真)は、予選で最大のライバル、チームメイトのハミルトンのタイムに0.107秒及ばず3年連続で2番グリッド。スタートではダッシュボード上の光に気を取られて出だしが鈍く、6位まで後退。その後3位まで挽回するも、2位フェルスタッペンを攻略することができずに終わった。ハミルトンに5点差をつけられ、チャンピオンシップは2位に落ちてしまった。(Photo=Mercedes)
ポイントリーダーとしてハンガリーに来たボッタス(写真)は、予選で最大のライバル、チームメイトのハミルトンのタイムに0.107秒及ばず3年連続で2番グリッド。スタートではダッシュボード上の光に気を取られて出だしが鈍く、6位まで後退。その後3位まで挽回するも、2位フェルスタッペンを攻略することができずに終わった。ハミルトンに5点差をつけられ、チャンピオンシップは2位に落ちてしまった。(Photo=Mercedes)拡大

ハミルトン90回目のポール レーシングポイントは2列目占拠

先の2戦の舞台、レッドブル・リンクはコーナー数が10しかなくエンジン全開率も高いサーキットだったが、ハンガロリンクは14の中低速コーナーが中心のテクニカルコース。各陣営の今季型マシンの適応力が試された。

金曜日のフリー走行、走り始めから絶好調だったのがメルセデスで、タイムもマシンの安定性も頭ひとつ抜けているのは誰の目にも明らか。そしてメルセデスに次いだのは、やはりレーシングポイント。本来ならチャンピオンチームに勝負を仕掛けたいレッドブル勢はマシンのバランスが取れず、スピンなども見られるほど苦戦。この戦力図のまま、予選に突入した。

メルセデス同士のポール争いを制したのはルイス・ハミルトンで、自身が持つ最多ポール記録を90回にまで伸ばし、ミハエル・シューマッハーが持つハンガロリンク最多ポールの7回に並んだ。バルテリ・ボッタスは0.107秒という僅差で敗れ2位。これでメルセデスは、フェラーリが持つフロントロー独占記録65回にも肩を並べた。

セカンドローはレーシングポイントの2台で、ストロール3位、ペレス4位。メルセデスとは1秒近くも離れていたが、昨年の同GP予選では2台そろってQ1敗退を喫していたチームにとっては、まさに大躍進である。3列目は3戦目にしてようやく2台ともQ3突破を果たしたフェラーリで、セバスチャン・ベッテル5位、シャルル・ルクレール6位。ストレートが少ない上に短いハンガロリンクのコース特性に救われたかっこうだった。

昨季のポールシッター、レッドブルのマックス・フェルスタッペンはトップから1.4秒差の7位、チームメイトのアレクサンダー・アルボンに至ってはQ2止まりの13位。レッドブルは2人のドライバーとも不安定なマシンの挙動に手を焼き、チームはその原因をつかみかねている状況だった。

マクラーレン勢は、ランド・ノリス8位、カルロス・サインツJr.9位。アルファタウリのピエール・ガスリーが10位におさまったが、パワーユニット不調を訴えQ3でタイムを計測せず、レースには新しいパワーユニットに交換して臨むこととなった。

いま話題の中心にいるレーシングポイント。前年のメルセデスに似ているとやゆされているまではよかったが、そのメルセデスに次ぐ速さで走れるとなればライバルも黙っていない。ルノーからはブレーキダクトの合法性を問う抗議が出されている。ハンガリーでも好調を維持し、予選ではランス・ストロール(写真)3位、セルジオ・ペレス(写真)4位と、メルセデスの2台に続いて2列目を占拠。レースではストロールが2位に上がるも、その後フェルスタッペンとボッタスに先を越され結果4位、表彰台を逃した。ペレスはホイールをスピンさせスタートで出遅れたことが響き7位フィニッシュ。(Photo=Racing Point)
いま話題の中心にいるレーシングポイント。前年のメルセデスに似ているとやゆされているまではよかったが、そのメルセデスに次ぐ速さで走れるとなればライバルも黙っていない。ルノーからはブレーキダクトの合法性を問う抗議が出されている。ハンガリーでも好調を維持し、予選ではランス・ストロール(写真)3位、セルジオ・ペレス(写真)4位と、メルセデスの2台に続いて2列目を占拠。レースではストロールが2位に上がるも、その後フェルスタッペンとボッタスに先を越され結果4位、表彰台を逃した。ペレスはホイールをスピンさせスタートで出遅れたことが響き7位フィニッシュ。(Photo=Racing Point)拡大
開幕2戦の舞台、レッドブル・リンクと違い、パワーユニットの優劣が出にくいハンガロリンクがフェラーリに味方してくれた。とはいえ、優勝争いからは程遠い場所での戦いとなったが……。今季3戦目にして初めて2台そろって予選Q3進出し、セバスチャン・ベッテル(写真)5位、シャルル・ルクレール6位。レースではタイヤ選択を2台で分け、状況にマッチしなかったソフトタイヤを与えられたルクレールは苦戦を強いられて入賞圏外の11位でゴール。ベッテルは6位。ちなみに2台とも周回遅れだった。(Photo=Ferrari)
開幕2戦の舞台、レッドブル・リンクと違い、パワーユニットの優劣が出にくいハンガロリンクがフェラーリに味方してくれた。とはいえ、優勝争いからは程遠い場所での戦いとなったが……。今季3戦目にして初めて2台そろって予選Q3進出し、セバスチャン・ベッテル(写真)5位、シャルル・ルクレール6位。レースではタイヤ選択を2台で分け、状況にマッチしなかったソフトタイヤを与えられたルクレールは苦戦を強いられて入賞圏外の11位でゴール。ベッテルは6位。ちなみに2台とも周回遅れだった。(Photo=Ferrari)拡大

スタート直前でレッドブルに“緊急事態”

日曜日のレース前に雨雲がサーキットを横切ったことでコースはウエットに。浅溝のインターミディエイトタイヤを履いてレコノサンスラップを走っていたフェルスタッペンのマシンが、突如タイヤをロックさせスリップ、壁に当たってフロント部分を壊すという緊急事態が起きた。グリッド上でクルーがフロントノーズやサスペンションを懸命に修理し、何とか出走することができたフェルスタッペン。もしここでピットスタートにでもなっていたら、レースの様相は大きく変わっていただろう。

雨はとっくにやんでいたが、多くがインターミディエイトを装着して70周レースがスタート。ハミルトンはトップでターン1に入るも、ダッシュボードに気を取られてしまったボッタスは鈍い出だしで一気に6位へと後退した。2位ストロールに次いだのは何とフェルスタッペン。4位ベッテル、5位ルクレールが続いた。

路面は急速に乾き、3周目にはルクレールやボッタス、翌周にはハミルトンやストロール、ベッテルらが続々とドライタイヤに交換。ドライへのスイッチが一巡すると、1位ハミルトン、2位フェルスタッペン、そして3位ケビン・マグヌッセン、4位ロメ・グロジャンと、フォーメーションラップ後にピットに飛び込んでいたハース勢が続き、5位ストロール、6位ルクレール、7位ボッタス、8位ベッテル、9位アルボン、10位ペレスと順位がシャッフルされた。

先頭のハミルトンはファステストラップを記録しながらリードを広げ、2位フェルスタッペンとのギャップは13周して10秒を超えていた。一方その後方では、ハースの2台が徐々にポジションを落とし、3位にストロール、4位にはボッタスが上がってきていた。メルセデスに追われる立場となったレーシングポイントだが、この時点ではストロールも屈することなく、1秒程度のギャップをキープし続けた。

前戦終了後、レーシングポイントのブレーキダクトの合法性を問う抗議に打って出たルノー。パワーユニットやギアボックスなどと違い、ブレーキダクトはオリジナルであることが義務付けられる“リステッドパーツ”にあたり、冷却やタイヤマネジメント、空力にとっても重要なパーツである。ルノーのもくろみは、「ブレーキダクトの外見のみならず、内部形状もメルセデスの前年型に似ていたら、2チーム間が何らかのつながりがあったことが認められるのでは」というもの。コース上で自分たちより格段に速くなったレーシングポイントへのけん制であり、ハンガリーGP終了後も再び抗議を行っている。ハンガリーGPでのルノーの戦績は、ダニエル・リカルド(写真)が予選11位から8位入賞、エステバン・オコンは予選順位と同じ14位だった。(Photo=Renault Sport)
前戦終了後、レーシングポイントのブレーキダクトの合法性を問う抗議に打って出たルノー。パワーユニットやギアボックスなどと違い、ブレーキダクトはオリジナルであることが義務付けられる“リステッドパーツ”にあたり、冷却やタイヤマネジメント、空力にとっても重要なパーツである。ルノーのもくろみは、「ブレーキダクトの外見のみならず、内部形状もメルセデスの前年型に似ていたら、2チーム間が何らかのつながりがあったことが認められるのでは」というもの。コース上で自分たちより格段に速くなったレーシングポイントへのけん制であり、ハンガリーGP終了後も再び抗議を行っている。ハンガリーGPでのルノーの戦績は、ダニエル・リカルド(写真)が予選11位から8位入賞、エステバン・オコンは予選順位と同じ14位だった。(Photo=Renault Sport)拡大
アルファタウリは、ピエール・ガスリーが予選Q3進出で10番グリッドを得るも、ホンダのパワーユニットの不調に足を引っ張られ、Q2の最後のアタックとQ3のタイム計測を諦めることに。ホンダはレースに向けてパワーユニットを交換し、発覚したデータ異常の原因を究明中という。ガスリーはギアボックス不調でこのレース唯一のリタイア。チームメイトのダニール・クビアト(写真)は、Q1敗退の予選17位から12位完走、ポイント獲得ならず。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
アルファタウリは、ピエール・ガスリーが予選Q3進出で10番グリッドを得るも、ホンダのパワーユニットの不調に足を引っ張られ、Q2の最後のアタックとQ3のタイム計測を諦めることに。ホンダはレースに向けてパワーユニットを交換し、発覚したデータ異常の原因を究明中という。ガスリーはギアボックス不調でこのレース唯一のリタイア。チームメイトのダニール・クビアト(写真)は、Q1敗退の予選17位から12位完走、ポイント獲得ならず。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大
過去2シーズンで最下位と低迷していたウィリアムズに復調の兆し。2018年のイタリアGP以来となる2台そろってQ2進出を果たし、ジョージ・ラッセル(写真)はトップ10グリッドを争うQ3まであと0.190秒と肉薄。ルーキーのニコラス・ラティフィも15番グリッドにつけた。しかしレースではライバルに対し十分な力を発揮できず、ラッセル18位。ラティフィは危険なピットアウトで他車に接触、タイヤをパンクさせてペナルティーも科され、最後尾19位で完走。なおラッセルもラティフィも来季のチーム残留が決まっている。(Photo=Williams)
過去2シーズンで最下位と低迷していたウィリアムズに復調の兆し。2018年のイタリアGP以来となる2台そろってQ2進出を果たし、ジョージ・ラッセル(写真)はトップ10グリッドを争うQ3まであと0.190秒と肉薄。ルーキーのニコラス・ラティフィも15番グリッドにつけた。しかしレースではライバルに対し十分な力を発揮できず、ラッセル18位。ラティフィは危険なピットアウトで他車に接触、タイヤをパンクさせてペナルティーも科され、最後尾19位で完走。なおラッセルもラティフィも来季のチーム残留が決まっている。(Photo=Williams)拡大

フェルスタッペン対ボッタスの2位争い

レース途中に再び雨が降ることが予想されていたものの、雨粒はなかなか落ちることなく、降ったとしてもパラパラ程度。その間にタイヤも摩耗が進み、各車我慢比べの様相を呈していた。

34周目、4位ボッタスがピットに入り、ミディアムからミディアムに換装。36周目には3位ストロールも同じくミディアムに替えてコースに戻ると、ボッタスが3位、ストロールは4位となっていた。37周目になると、今度は2位フェルスタッペンがハード、翌周には1位ハミルトンがミディアムを選択。これで1位ハミルトン、20秒離されて2位フェルスタッペン、そこから6秒差で3位ボッタス、メルセデスから11秒差で4位ストロールというオーダーとなった。

レース後半の見ものは、スタート失敗の汚名返上とばかりにハイスピードで猛追するボッタスと、2位を死守したいフェルスタッペンの勝負だ。45周目に2台のギャップは1.5秒、その2周後には1秒を切ってきたものの、バックマーカーを抜く間に再び2秒ほどに差が広がり追い抜くまでいかない。メルセデスは状況を打開するため、50周目にボッタスをピットに呼び、ハードタイヤを与えて3位のまま戻した。

2位フェルスタッペンと3位ボッタスの間隔は20秒。1周につき2秒速いペースで追い上げるボッタスは、残り5周でその差を5秒台にまで削ってきた。最速タイムを連発するメルセデスがレッドブルの真後ろにつけたのは残り2周となってから。しかし相手は気鋭のフェルスタッペン、簡単には抜かせてくれない。フェルスタッペンは辛くもピンチを脱し、2位でチェッカードフラッグを受けた。

トップのハミルトンはといえば、大量リードを築いていたがゆえに、念のためのタイヤ交換を67周目に済ませ、さらにファステストラップをも更新して完勝を遂げた。これでハンガリー8勝目となり、ミハエル・シューマッハーの持つ同一サーキットでの最多勝記録に並んだ。さらにこの勝利で僚友ボッタスからポイントリーダーの座を奪い取り、シューマッハーの最多タイトル記録7回にも肩を並べるべく、態勢を整えることができた。

ウィナーのハミルトン以上に破顔一笑だったのはフェルスタッペンだったかもしれない。スタートすら危ぶまれた状況からの2位は「勝ったも同然」。前日まであれだけ扱いづらかったマシンも「まるで新しくなったかのようで良かった」と笑顔で語っていた。苦戦の原因がつかめていない状況に楽観はできないが、短時間でマシンを修復したメカニック、抜きにくいコースのスタートでジャンプアップを果たしたドライバーと、レッドブルの総合力が結実したレースだった。

レーシングポイントは、ストロールがトップから57秒離されての4位、ペレスは7位でゴール。確かに一発の速さは誰もが認めるところだが、トップチームと伍(ご)するレベルまでには、まだ到達していないのかもしれない。

開幕戦からの怒涛(どとう)の3連戦を終えたF1サーカスは、1週間の中休みを挟んで、イギリス・シルバーストーンでの2連戦に向かう。第4戦イギリスGP決勝は、8月2日に行われる。

(文=bg) 

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