【F1 2021】荒れたレースでフェルスタッペン勝利 ハミルトンは命拾い

2021.04.19 自動車ニュース
F1第2戦エミリアロマーニャGPを制したレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン。フェルスタッペンにとって通算11勝目。パワーユニットサプライヤーのホンダにとっては、1991年にアイルトン・セナが勝って以来となるイモラでの勝利となる。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
F1第2戦エミリアロマーニャGPを制したレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン。フェルスタッペンにとって通算11勝目。パワーユニットサプライヤーのホンダにとっては、1991年にアイルトン・セナが勝って以来となるイモラでの勝利となる。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

2021年4月18日、イタリアのイモラにあるアウトドローモ・インテルナツィオナーレ・エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリで行われたF1世界選手権第2戦エミリア・ロマーニャGP。レース直前に降った雨により、スピンやクラッシュが続出し、セーフティーカーに赤旗中断と荒れた展開に。そんな難しい状況で、開幕戦に続き2人のトップドライバーがしのぎを削った。

実質上の最初のターン「タンブレロ」で、ポールシッターのルイス・ハミルトン(写真左)からトップを奪うフェルスタッペン(同右)。予選ではセルジオ・ペレス(同後ろ)に先を越され3位となり、2018年の最終戦アブダビGP以来初めてチームメイトに負けたことになったが、レースではこの決定的なオーバーテイクに加え、荒れた展開でも集中力を切らさなかったことが今季初優勝につながった。193戦目にして初のフロントローにつけたペレスは、スピンやペナルティーにより順位を落とし、好機を生かせず11位完走。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
実質上の最初のターン「タンブレロ」で、ポールシッターのルイス・ハミルトン(写真左)からトップを奪うフェルスタッペン(同右)。予選ではセルジオ・ペレス(同後ろ)に先を越され3位となり、2018年の最終戦アブダビGP以来初めてチームメイトに負けたことになったが、レースではこの決定的なオーバーテイクに加え、荒れた展開でも集中力を切らさなかったことが今季初優勝につながった。193戦目にして初のフロントローにつけたペレスは、スピンやペナルティーにより順位を落とし、好機を生かせず11位完走。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大
通算99回のポールポジションを奪い、「まさかレッドブルを抑えてポールを取れるなんて」と驚きを隠さなかったハミルトン(写真前)。レースではスタートで2位に転落、そして自らのミスでコースオフを喫し万事休すかと思われたが、チームメイトのバルテリ・ボッタスが絡んだ大クラッシュによる赤旗に救われるとは……。中断後、9位から次々と前車を追い抜き、残り4周で2位に返り咲いたハミルトンは、今回記録したファステストラップの1点分だけチャンピオンシップをリードしている。(Photo=Mercedes)
通算99回のポールポジションを奪い、「まさかレッドブルを抑えてポールを取れるなんて」と驚きを隠さなかったハミルトン(写真前)。レースではスタートで2位に転落、そして自らのミスでコースオフを喫し万事休すかと思われたが、チームメイトのバルテリ・ボッタスが絡んだ大クラッシュによる赤旗に救われるとは……。中断後、9位から次々と前車を追い抜き、残り4周で2位に返り咲いたハミルトンは、今回記録したファステストラップの1点分だけチャンピオンシップをリードしている。(Photo=Mercedes)拡大

ハイレーキ対ローレーキ論争と来季の新レース発表

開幕戦バーレーンGPでは、速さで勝るレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンに、メルセデスのルイス・ハミルトンがタイヤ交換作戦で勝負を仕掛けてまずは1勝を奪った。レッドブルの躍進、メルセデスのつまずきというプレシーズンテストの戦力図そのまま、コース上で2強チームが手に汗握る接戦を繰り広げたのだが、その裏では、2021年レギュレーションの影響を巡る“舌戦”もあった。

今季型マシンは原則前年のキャリーオーバーとなるが、ダウンフォース削減のためマシン後端に変更が加えられた。この変更がマシンコンセプトを異にするチーム間で明暗を分けたのではないかとする発言が、チーム首脳やドライバーから聞かれたのだ。いわく、このルール変更はマシンフロアの前傾角が大きめの「ハイレーキ」マシンに有利に働き、傾斜の緩い「ローレーキ」勢にはハンディになっていると。

ハイレーキの代表格はレッドブル、ローレーキはメルセデスとアストンマーティン。特に強い不満をあらわにするのは、バーレーンGPでも中位に埋もれていたアストンマーティンで、オットマー・サフナウアー代表は「ルール変更はローレーキに不利。ハイレーキより1秒遅くなった」と主張、そのルール改定のプロセスにも疑義を唱えていたほどだった。しかし、ルールは全チーム共通であり、決まった以上はそれに従うしかないのも事実。どちらの利になるかも結果論でしかない。今季はマシン開発が制限されていることもあり、そうした焦りもあっての発言なのかもしれない。

かような話題に始まった2021年シーズンだが、早くも来季の新レースのニュースが舞い込んできた。かねてうわさになっていた「マイアミGP」の開催が4月18日に発表されたのだ。NFLマイアミ・ドルフィンズの本拠地、ハードロック・スタジアム周辺に新設される5.41kmのコースが舞台。市場開拓に野心を燃やすF1は、オースティンに加えアメリカでの年2回開催に踏み切ることとなった。

切れ味抜群の走りでポールを狙ったのがマクラーレンのランド・ノリス(写真)。しかし予選Q3で、コースの走行可能範囲であるトラックリミットを越えてしまい最速タイムが取り消され、キャリアベストの3位が幻となり、7番グリッドからスタートすることに。しかし雨で荒れたレースでは赤旗中断後に2位に躍進。最後にハミルトンに抜かれ3位となったが、自己ベストタイの成績には満足していた。ハミルトンとノリス、2人のイギリス人ドライバーがポディウムにのるのは、2012年中国GP(ハミルトンとジェンソン・バトン)以来となる。若いノリスにお株を奪われがちなダニエル・リカルドは、予選順位と同じ6位完走。まだ新チームに慣れていない様子である。(Photo=McLaren)
切れ味抜群の走りでポールを狙ったのがマクラーレンのランド・ノリス(写真)。しかし予選Q3で、コースの走行可能範囲であるトラックリミットを越えてしまい最速タイムが取り消され、キャリアベストの3位が幻となり、7番グリッドからスタートすることに。しかし雨で荒れたレースでは赤旗中断後に2位に躍進。最後にハミルトンに抜かれ3位となったが、自己ベストタイの成績には満足していた。ハミルトンとノリス、2人のイギリス人ドライバーがポディウムにのるのは、2012年中国GP(ハミルトンとジェンソン・バトン)以来となる。若いノリスにお株を奪われがちなダニエル・リカルドは、予選順位と同じ6位完走。まだ新チームに慣れていない様子である。(Photo=McLaren)拡大

上位3台の差はわずか0.087秒 ポールはハミルトン

当初4月に予定されていた中国GPがパンデミックを理由に延期となり、空いた日程を埋めるかたちでエミリア・ロマーニャGPが復活。昨年14年ぶりにF1に戻ったイモラでのレースが2年連続で開かれることになった。

コース幅が狭く、間近に壁とグラベルが待ち構えるこのオールドコースで、アルファタウリの角田裕毅が手痛いミスをしでかした。予選Q1アタック中に「バリアンテ・アルタ」で挙動を乱しリアをしたたかにウォールにヒット。角田は最後尾スタートとなってしまった。

ポール争いは、開幕戦よりも走りに安定感が加わったメルセデス勢と、レッドブル勢の一騎打ち。ハミルトンが最速タイムをたたき出し、彼の持つ歴代最多ポール記録はいよいよ「99」と大台目前となった。予選2位はレッドブルの2台だが、セルジオ・ペレスが自身初のフロントロースタートとなる2位、ミスでタイムを失ったフェルスタッペンは3位だった。3台が0.087秒の中にひしめく、まさに激戦だった。

2戦連続でフェラーリのシャルル・ルクレールが4位、同じく開幕戦に続いてアルファタウリのピエール・ガスリーが5位。マクラーレン勢は、ダニエル・リカルドが6位となるも、ランド・ノリスは、トラックリミットを越えたことで最速タイム取り消しとなり、3位を逃し7位となった。メルセデスのバルテリ・ボッタスはリアの挙動に苦しみ8位、アルピーヌのエステバン・オコン9位、アストンマーティンのランス・ストロールは10位で予選を終えた。

フェラーリは一発の速さは徐々に取り戻しており、シャルル・ルクレール(写真前)が2戦連続の予選4位、カルロス・サインツJr.(同後ろ)は一周をまとめきれずに11番グリッドからレースに臨むことに。決勝ではルクレールがウエットで健闘し一時は2位につけるも、最終的に表彰台目前の4位でゴール。スピンも多かったサインツJr.も5位入賞を果たした。(Photo=Ferrari)
フェラーリは一発の速さは徐々に取り戻しており、シャルル・ルクレール(写真前)が2戦連続の予選4位、カルロス・サインツJr.(同後ろ)は一周をまとめきれずに11番グリッドからレースに臨むことに。決勝ではルクレールがウエットで健闘し一時は2位につけるも、最終的に表彰台目前の4位でゴール。スピンも多かったサインツJr.も5位入賞を果たした。(Photo=Ferrari)拡大

レース直前に雨! スタートでフェルスタッペンがトップに

レース直前に降った局地的な雨で、4.9kmのコースは半分がウエット、半分はドライという難しいコンディションに。多くが浅溝のインターミディエイトを履いて、63周のレースがスタートした。フェルスタッペンがハミルトンに並びかけ、ぬれた路面の「タンブレロ」でレッドブルが前、押し出されたかっこうのハミルトンは縁石に乗り上げフロントウイングのエンドプレートにダメージを負いながら2位、ルクレール3位、ペレス4位、リカルドは5位に上がり、最後尾の角田は14位までジャンプアップした。

オープニングラップ中にニコラス・ラティフィのウィリアムズがクラッシュしたことで最初のセーフティーカー。この徐行中に4位ペレスがコースオフしたのだが、コースに戻った後に抜かれたマシンを抜き返したことで10秒のストップ・ゴーペナルティーを受けることになった。その後4位まで挽回するも再びスピンを喫し、予選2位から結果11位完走という残念な週末となってしまった。

7周目にレースが再開すると、トップのフェルスタッペンは1周で2位ハミルトンに3.3秒ものリードを築き、ファステストラップで逃げにかかった。一方、手負いのハミルトンも10周を過ぎてようやく最速タイムを連発し反撃開始。2台の丁々発止の戦いが序盤から繰り広げられ、やがてその差は27周目に1.3秒まで詰まった。

28周目、フェルスタッペンが最初に動き、ドライのミディアムタイヤに変更。翌周ハミルトンが同じ動きをとると、引き続きレッドブルが前、メルセデスは5秒差で2位という間隔となった。

アルファタウリの角田裕毅(写真)にとって、GP2戦目は学ぶことが多い週末となった。最初のプラクティスでコースオフ、その後パワーユニットの電気系異常よるパーツ交換を挟み、予選Q1では手痛いミスで壁にヒット、ギアボックスが真っ二つに割れるほどマシン後部を大破させ最後尾スタート。レースでは赤旗中断前に10位まで挽回するも、早々に単独スピンを喫し、さらにトラックリミットを度々越えてペナルティーを受け、結果12位。僚友ピエール・ガスリーは2戦連続で予選5位と好位置を得たが、レースでは序盤にフルウエットタイヤで苦戦しズルズルと後退、その後ポジションをなんとか上げて7位完走。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
アルファタウリの角田裕毅(写真)にとって、GP2戦目は学ぶことが多い週末となった。最初のプラクティスでコースオフ、その後パワーユニットの電気系異常よるパーツ交換を挟み、予選Q1では手痛いミスで壁にヒット、ギアボックスが真っ二つに割れるほどマシン後部を大破させ最後尾スタート。レースでは赤旗中断前に10位まで挽回するも、早々に単独スピンを喫し、さらにトラックリミットを度々越えてペナルティーを受け、結果12位。僚友ピエール・ガスリーは2戦連続で予選5位と好位置を得たが、レースでは序盤にフルウエットタイヤで苦戦しズルズルと後退、その後ポジションをなんとか上げて7位完走。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大
2021年のテクニカルレギュレーションでは、ダウンフォース削減のためディフューザーなどリアセクションが変更されている。F1マシンは、フロア下の空気を後端のディフューザーで“引き抜いて”ダウンフォースを発生させているが、今季は後輪前のフロアの面積が絞られ、かつ横からの乱流を防ぐシーリング効果も低減された。これら変更が、前傾が強めのハイレーキマシンに有利に、逆にローレーキに不利に働いている、というのがシーズン序盤の話題となっている。(Photo=Ferrari)
2021年のテクニカルレギュレーションでは、ダウンフォース削減のためディフューザーなどリアセクションが変更されている。F1マシンは、フロア下の空気を後端のディフューザーで“引き抜いて”ダウンフォースを発生させているが、今季は後輪前のフロアの面積が絞られ、かつ横からの乱流を防ぐシーリング効果も低減された。これら変更が、前傾が強めのハイレーキマシンに有利に、逆にローレーキに不利に働いている、というのがシーズン序盤の話題となっている。(Photo=Ferrari)拡大

ハミルトン痛恨のコースオフ それを救ったのは……

タイヤ交換後も追撃を止めなかったハミルトンだったが、周回遅れを処理中に痛恨のコースオフ、壁にマシンを軽く当ててフロントウイングを壊してしまった。泥にまみれたメルセデスはコースに復帰できたものの、これでハミルトンのレースもおしまいか、と思われた。その直後、もう1台のメルセデス、ボッタスがウィリアムズのジョージ・ラッセルと接触し大クラッシュ、2度目のセーフティーカーの後に赤旗中断となった。自らのミスにショックを隠しきれないハミルトンにとって、この約30分間の中断は、リセットと挽回へのチャンスをもたらした。

35周目にローリングスタートでレース再開。1位フェルスタッペン、2位ルクレール、3位ノリス、4位ペレス、そしてハミルトンは9位、角田は10位から後半戦に突入した。すぐさまノリスが2位、ハミルトンは8位に上がる一方、角田はスピンして15位まで脱落。その後アルファタウリのルーキーは、トラックリミットを度々越してペナルティーを受けながら、自身2戦目を12位で終えることになる。

失いかけたレースを赤旗で取り戻したハミルトンは、ストロールをかわして6位、リカルドを抜き5位、そして50周目にサインツJr.、55周目にはルクレールをも抜き、表彰台圏内に復活した。そして60周目、ついにノリスもパスしたハミルトンは2位に返り咲くのだった。

その間22秒ものリードを築いた首位フェルスタッペンが堂々とチェッカードフラッグ。スタートでのトップ奪取から集中を切らさなかったレッドブルのエースが、開幕戦で取り損ねた今季初Vを収めた瞬間だった。

運を味方につけ2位でゴールしたハミルトンがファステストラップを記録したことで、チャンピオンシップではハミルトンが1点だけリードを保つことができたが、2戦連続の2人の接戦に、シーズンの今後への期待は高まるばかりである。

次戦は、イモラに続き2年連続開催となるポルティマオでのポルトガルGP。決勝は5月2日に行われる。

(文=bg)

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