【F1 2021】ハミルトン、ボッタスとフェルスタッペンを抜いて完勝
2021.05.03 自動車ニュース![]() |
2021年5月2日、ポルトガルのポルティマオにあるアウトードロモ・インテルナシオナル・ド・アルガルベで行われた、F1世界選手権第3戦ポルトガルGP。スタートからトップ3台による接戦が繰り広げられたが、やがて頭一つ抜けていたドライバーが前に出ると、完勝してしまうのだった。
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土曜のスプリントレースが決定 カナダGPは中止
ポルトガルGPを前に、2021年に一部開催地で試験的に導入されるスプリントレース、「スプリント・クオリファイイング(スプリント予選)」の計画内容が、FIA(国際自動車連盟)、F1、そして全10チームの間で合意に至った。
土曜日に通常レースの3分の1にあたる100kmの距離を走り、翌日の決勝に向けたグリッドを決定。1位3点、2位2点、3位1点とチャンピオンシップポイントも付与される。開催地は後日発表となるが、イギリス、イタリア、そしてブラジルの3レースの名前が挙がっている。また週末のスケジュールやタイヤ選択も、以下のように大きく変わることになる。
【金曜日】
- プラクティス1(60分):任意のタイヤ2セット
- 予選(Q1、Q2、Q3):ソフトタイヤ5セット
【土曜日】
- プラクティス2(60分):任意のタイヤ1セット
- スプリント・クオリファイイング(100km):任意のタイヤ2セット/タイヤ交換義務なし
【日曜日】
- 決勝レース:残りタイヤで出走
スプリントレース自体は、F1直下のF2シリーズなど他のカテゴリーでは実施されてきたが、F1にとっては新しい試み。しかし、導入に際して賛否があったのは事実だ。Q1、Q2、Q3と出走者を絞っていく現行の予選方式が不評だということはない。また日曜日の決勝レースがメインであることに変わりないがゆえに、スプリント予選で無理をして週末を台無しにするということも避けたいところ。誰がためのスプリント予選か? という疑問も残るが、取りあえずチャレンジしてショーアップに寄与するか見てみよう、という探求の姿勢は前向きに評価していいだろう。
なお、パンデミックの影響で6月のカナダGPが2年連続で中止に追い込まれ、昨季復帰したトルコGPが代替レースとしてカレンダー入りすることも決まった。史上最多23戦を開催するというF1の強い意向には変わりがないようだ。
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ボッタスが今季初ポール レッドブルは2列目
昨季24年ぶりに復活したポルトガルGP(関連記事)。2年目のアルガルベのコースは、再舗装直後の初年度よりはいくぶん路面も落ち着いたとはいえグリップが乏しく、ドライバーにとってはタイヤを作動温度にまでもっていくのに苦労する週末となった。
土曜日の予選Q3でトップタイムを記録したのは、メルセデスのバルテリ・ボッタス。今季初、通算17回目のポールポジションとなった。0.007秒差で通算100回目のポールを取り損ねたのはルイス・ハミルトン。メルセデスはターボハイブリッド時代の171戦で71回目の最前列独占を果たした。一方のレッドブル勢は苦しみ、アタック1発目のタイムでポールを狙えたものの、トラックリミットを越えてタイムを抹消されたマックス・フェルスタッペンが最終的に0.398秒遅れで3位、セルジオ・ペレスは4位と2列目に並ぶこととなった。
フェラーリは2台そろってQ3に進み、マラネロ入り3戦目にして初めてチームメイトを上回ったカルロス・サインツJr.が5位、シャルル・ルクレールは8位だった。アルピーヌのエステバン・オコンが善戦し6位、マクラーレンのランド・ノリスは3戦連続の7位だった。アルファタウリのピエール・ガスリー9位、角田裕毅は初コースでQ2どまりの14位。そして15レース連続でQ3落ちしていたアストンマーティンのセバスチャン・ベッテルが久々のトップ10内となる10位からスタートすることとなった。
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ハミルトン、2位から3位、そして1位へ
66周レースのスタートでトップを守ったボッタス。次いでハミルトン2位、フェルスタッペン3位、サインツJr.4位、ペレス5位という順位で2周目に入ったところで、アルファ・ロメオ同士が接触。ステアリングのスイッチと格闘し前方を注視していなかったキミ・ライコネンが、アントニオ・ジョビナッツィに当たってしまい、ライコネンのフロントウイングが壊れ破片が散らばったことでセーフティーカーが出動した。
7周目にレースが再開すると、前車との間合いをはかっていたフェルスタッペンがターン1でハミルトンをアウトからオーバーテイクし2位へ。だが、11周目になると今度はハミルトンがズバッと抜き返し2位奪還に成功。そして20周目になると、いよいよ僚友に牙をむいたハミルトンが堂々首位に立つのだった。
いくらアルガルベが抜きやすいサーキットとはいえ、フェルスタッペン、ボッタスを相手に躊躇(ちゅうちょ)なく勝負を仕掛け、頂上に上り詰めたのだから、さすがは7冠王者である。
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ファステストラップ1点の取り合い
その後、メルセデス1-2をフェルスタッペンが追う展開が続いたが、タイヤ交換を機に順位が変わることになる。
36周目、3位フェルスタッペンが最初にピットに入り、ミディアムからハードタイヤに換装。翌周にメルセデスが反応し、ボッタスがハードを与えられてフェルスタッペンの前でコースに戻ったのだが、メルセデスのタイヤはまだ熱が入りきっておらず、ボッタスがふらついている間に、フェルスタッペンが2位に躍り出たのだった。
この間、ハミルトンがハードに履き替え、3秒間隔でハミルトン、フェルスタッペン、ボッタスという並びとなったものの、52周目までタイヤ交換を我慢したペレスが暫定トップに居座り、少しでもハミルトンの頭を抑えようと奮闘した。
1位ハミルトン、2位フェルスタッペン、3位ボッタス、4位ペレス。レース終盤に順位が膠着(こうちゃく)すると、今度はファステストラップの1点を狙っての攻防が始まった。ソフトタイヤで最速だったペレスに最初に挑んだのは3位ボッタスで、順位を失わない十分なマージンを築いていたためピットに入り、残り2周でファステストラップを記録。その動きを見てフェルスタッペンもタイヤをフレッシュにし、最終ラップで見事最速タイムを奪い去った。しかし、フェルスタッペンはまたもやトラックリミット越えというミスでその栄誉を剝奪され、ボーナスの1点はボッタスに渡ったのだった。
3戦を終え2勝したハミルトンと、前戦エミリア・ロマーニャGPで優勝したフェルスタッペンは、わずか8点差でチャンピオンシップ首位を争っている。終盤に見られたファステストラップ1点の取り合いも、こうした激戦のなかで1点でも多く取っておきたいという、メルセデス、レッドブル両陣営の思惑が絡んでのことであろう。
ポルトガルの次は、同じイベリア半島のスペインGP。決勝は1週間後の5月9日に行われる。
(文=bg)