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ジャガーEペースS D200(4WD/9AT)

正体はスポーツカー 2021.11.06 試乗記 電動化の時代に合わせ、車体の構造からパワーユニットまで手が入れられたジャガーの都会派SUV「Eペース」。その最新型ではどんな走りが味わえるのか? ディーゼルの上級グレードに試乗して確かめた。

同じに見えて中身が違う

全長4410mm。最もボディーの短いジャガーがEペースである。「Fペース」の弟分にあたるコンパクトSUVだ。2018年に出たときは“ベイビージャガー”と呼ばれた。

4410mmといえば、「トヨタ・カローラ クロス」よりも8cm短い。だが、全幅はガッツリ1900mmある。左右ドアミラーを入れると、2088mmに達する。大型犬の子犬みたいな、日本車にはないプロポーションだ。

そのなかで、ファットな20インチタイヤが“走り”を主張する。今回あらためて接していて、骨太で筋肉質のこのスタイリングがEペースの大きな特徴であり、また魅力でもあると思った。

EペースというとEVみたいだが、ジャガーの100%EVは「Iペース」だ。まぎらわしいが、Eペースにもこのほどプラグインハイブリッドが加わった。それに対応してプラットフォーム(車台)が刷新されたのが最新型Eペースのニュースである。見た目は変わらなく見えても、骨格は新しい。

試乗したのは「D200」。これまで日本でのEペース販売の半分を占めていた「D180」に代わる2リッター4気筒ディーゼルモデルだが、204PSへのパワーアップとともに、今回、ガソリンモデルに先んじて48Vマイルドハイブリッド機構がインストールされた。

「Eペース」は、ジャガーのラインナップにおいて最もコンパクトなSUV。2021年2月に受注が始まった大幅改良モデルには、「PTA」と呼ばれる最新アーキテクチャーが採用されている。
「Eペース」は、ジャガーのラインナップにおいて最もコンパクトなSUV。2021年2月に受注が始まった大幅改良モデルには、「PTA」と呼ばれる最新アーキテクチャーが採用されている。拡大
非対称型のセンターコンソールが目を引くインテリア。マイナーチェンジによるデザインの変更点は、シフトレバーや空調スイッチ周辺部にとどまっている。
非対称型のセンターコンソールが目を引くインテリア。マイナーチェンジによるデザインの変更点は、シフトレバーや空調スイッチ周辺部にとどまっている。拡大
上質なレザーで仕立てられたシート。前席のヘッドレストには猛獣ジャガーをかたどった“リーパーロゴ”がエンボス加工されている。
上質なレザーで仕立てられたシート。前席のヘッドレストには猛獣ジャガーをかたどった“リーパーロゴ”がエンボス加工されている。拡大
フロントフェンダー部のサイドベントにもリーパーロゴが配置される。これもマイナーチェンジで新たに採用された意匠のひとつだ。
フロントフェンダー部のサイドベントにもリーパーロゴが配置される。これもマイナーチェンジで新たに採用された意匠のひとつだ。拡大

走らせてみると意外に……

輸入SUVのなかでも、Eペースはかなり骨っぽいクルマだ。ハンドルもペダル類も軽いほうではなく、運転操作は手応え足応えに富む。

分厚いドアの開閉もかなり重い。開けたドアの内側にいて、自然に閉まる力で挟まれても、ムギューっとなる。そもそも車重は1980kgある。長さ4.4mでほぼ2tというのも、なかなか珍しい「長さto重さレシオ」である。

中身の詰まった、そんな固太りボディーに対しても、204PSの2リッタークリーンディーゼルはパワフルだ。発進時の“せり出し感”はトルクに勝るディーゼルならでは。右足を踏み続ければ、レッドゾーンの始まる4100rpmまで滑らかに回り、車重を感じさせない力強さをみせる。

48Vのマイルドハイブリッドシステムは、欧州メーカーに共通する手法だ。すなわち、ベルト駆動のスタータージェネレーターと、小型リチウムイオン電池を組み合わせ、減速時のエネルギー回収やエンジン始動や、若干の電動アシストを行う。

赤信号に向けて減速してゆくと、停車する前にエンジンが停止する。17km/hを切るとアイドリングストップに入るという。ディーゼルといっても静かで滑らかだから、その動作に違和感はない。ハイブリッド感もごくマイルドなハイブリッドである。

流麗なシルエットが印象的な「Eペース」のサイドビュー。ルーフ上には75kgまでの荷物(クロスバーを含む)が積載可能。
流麗なシルエットが印象的な「Eペース」のサイドビュー。ルーフ上には75kgまでの荷物(クロスバーを含む)が積載可能。拡大
2リッターのディーゼルエンジンは、48Vマイルドハイブリッドシステムとの組み合わせにより14.3km/リッター(WLTCモード)の燃費性能を実現している。
2リッターのディーゼルエンジンは、48Vマイルドハイブリッドシステムとの組み合わせにより14.3km/リッター(WLTCモード)の燃費性能を実現している。拡大
12.3インチのフルカラー液晶メーター。オプションとして用意される。
12.3インチのフルカラー液晶メーター。オプションとして用意される。拡大
今回は300kmほどの道のりを試乗し、燃費は満タン法で11.2km/リッター、車載の燃費計で10.2km/リッターを記録した。
今回は300kmほどの道のりを試乗し、燃費は満タン法で11.2km/リッター、車載の燃費計で10.2km/リッターを記録した。拡大

“人車一体感”はアップ

Eペースの足まわりは、見た目そのまま、筋骨隆々だ。ズシリと重いが、ストローク感もたっぷりあって、速度を問わず、乗り心地はフラットで頼もしい。兄弟分の「レンジローバー イヴォーク」よりもシャシーのフトコロが深い感じがする。

高速道路の乗り心地も快適だ。ATはZF製の9段。100km/hだと9速トップでわずか1500rpm。100km/hのままパドルでシフトダウンしていくと、1800、2200、2500と微増を続け、5速3100rpmまで落とせる。それでもうるさいというほどではない。

約300kmを走って、燃費は11.2km/リッター(満タン法)だった。2t弱の四駆SUVが1リッターの化石燃料でこれだけ走るのだから、ワルくないと思う。このところ燃料の高騰が著しいが、D200はガソリンエンジンのEペースより2割安い軽油でイケるのは言うまでもない。

撮影ロケからの帰りは高速に乗らず、峠越えの下道を走った。Eペースは進んでそういうことをしたくなるSUVである。車重は以前乗ったガソリンの「P250」より70kg重いが、トルクとレスポンスに勝るディーゼルマイルドハイブリッドのおかげで、むしろ人車一体感は増したように感じた。

最新の「Eペース」には、路面状況を瞬時に検知してグリップ力を調整するという「AdSR」機能が搭載されている。
最新の「Eペース」には、路面状況を瞬時に検知してグリップ力を調整するという「AdSR」機能が搭載されている。拡大
「Eペース」のトランスミッションは9段AT。ステアリングホイールの奥にはシフトパドルも備わる。
「Eペース」のトランスミッションは9段AT。ステアリングホイールの奥にはシフトパドルも備わる。拡大
センターコンソールには11.4インチのタッチ式ディスプレイが備わる。表示パネル付きの空調ダイヤルも特徴的。
センターコンソールには11.4インチのタッチ式ディスプレイが備わる。表示パネル付きの空調ダイヤルも特徴的。拡大
試乗車はつやのあるブラックに塗られた20インチホイール(オプション)を装着していた。タイヤはピレリの「Pゼロ」。
試乗車はつやのあるブラックに塗られた20インチホイール(オプション)を装着していた。タイヤはピレリの「Pゼロ」。拡大

ありそうでないSUV

Eペースの場合、SUVのSはスポーツカーである。硬派のリアルスポーツカーをワイドトレッド/ショートホイールベースのSUV型で実現したようなキャラクターは、この最新ディーゼルモデルでも変わらない。

外装のフェイスリフトだけでなく、内装も変わった。これまでスポーツカーの「Fタイプ」そっくりだった運転席まわりのデザインも刷新されている。

ATセレクターはガングリップ型からコブシ型に変わり、そのレザー表皮にはクリケットボールステッチを施した、とある。グーグル検索で初めてクリケットボールのアップを見て、なるほどと思った。外車は勉強になりますね。

Eペースはドライバーズカーだが、リアシートも快適だ。座面が高く、見晴らしがいい。試乗車には90cm四方のグラスルーフが付いていて、採光も最高だった。

このクラスの輸入SUVがほしい。でも、ドイツ車系やランドローバー印はいっぱい走ってるし、なんていう人にEペースはお薦めだ。平日はもっぱら奥さまが買い物の足にする、となると、ちょっとスポーティーにすぎると思うが、そこがEペースのポジションである。

国内導入から3年半がたち、都内を走っていると、けっこうEペースをいいペースで見かける。ルックスが個性的だけに、いま路上で一番目立つジャガーかもしれない。乗っているのは年配者より若い層が多いように思う。サルーンとスポーツカーのメーカーだったジャガーの間口を大きく広げたモデルには違いない。自動車メーカーがSUVに熱中するのもわかる。

(文=下野康史<かばたやすし>/写真=峰 昌宏/編集=関 顕也/取材協力=河口湖ステラシアター)

運転支援システムも強化された「Eペース」の改良モデル。ACCのスイッチがステアリングスポーク上に並ぶ。
運転支援システムも強化された「Eペース」の改良モデル。ACCのスイッチがステアリングスポーク上に並ぶ。拡大
ガングリップ型だったシフトレバーは、塊感のあるデザインに変更。クリケットのボールを模したというステッチが施されている。
ガングリップ型だったシフトレバーは、塊感のあるデザインに変更。クリケットのボールを模したというステッチが施されている。拡大
後席の3分割(40:20:40分割)可倒機能はオプション扱い。前席のヒーターや12ウェイの調節機構とセットで提供される。
後席の3分割(40:20:40分割)可倒機能はオプション扱い。前席のヒーターや12ウェイの調節機構とセットで提供される。拡大
ボディーカラーは3種類の新色を含む全11種類と豊富。写真の色は「カルデラレッド」で4万5000円のオプション。
ボディーカラーは3種類の新色を含む全11種類と豊富。写真の色は「カルデラレッド」で4万5000円のオプション。拡大

テスト車のデータ

ジャガーEペースS D200

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4410×1900×1650mm
ホイールベース:2680mm
車重:1980kg
駆動方式:4WD
エンジン:2リッター直4 DOHCディーゼル ターボ
トランスミッション:9段AT
最高出力:204PS(150kW)/3750rpm
最大トルク:430N・m(43.8kgf・m)/1750-2500rpm
タイヤ:(前)235/50R20 104Y/(後)235/50R20 104Y(ピレリPゼロ)
燃費:14.3km/リッター(WLTCモード)
価格:650万円/テスト車=875万5000円
オプション装備:有償ボディーカラー<カルデラレッド>(4万5000円)/コンビニエンスパック(18万6000円)/プレミアムアップグレードインテリアパック(15万3000円)/MERIDIANサウンドシステム(16万2000円)/Wi-Fi接続<データプラン付き>(8万2000円)/自動防眩(ぼうげん)ドアミラー<電動格納、ヒーター&アプローチライト&メモリー付き+運転席側自動防眩>(0円)/20インチ“スタイル5051”5スプリットスポーク<グロスブラックフィニッシュ>(22万3000円)/ブラックエクステリアパック(10万2000円)/固定式パノラミックルーフ(19万4000円)/プライバシーガラス(6万8000円)/ルーフレール<グロスブラック>(7万4000円)/フロントフォグランプ(3万円)/ピクセルLEDヘッドライト<シグネチャーDRL、フロント&リアアニメーション方向指示器付き>(22万8000円)/コールドクライメートパック(6万7000円)/テクノロジーパック(35万5000円)/コントラストルーフ<ブラック>(8万4000円)/ダイナミックハンドリングパック(22万9000円)/12ウェイ電動フロントシート<ヒーター、運転席メモリー、2ウェイマニュアルヘッドレスト付き>+40:20:40分割可倒式リアシート<センターアームレスト付き>(14万6000円)

テスト車の年式:2021年型
テスト開始時の走行距離:3751km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(1)/高速道路(8)/山岳路(1)
テスト距離:305.5km
使用燃料:27.3リッター(軽油)
参考燃費:11.2m/リッター(満タン法)/10.2km/リッター(車載燃費計計測値)

ジャガーEペースS D200
ジャガーEペースS D200拡大
「Eペース」の2021年モデルでは、2段のJ字型デイタイムランニングライトが特徴的な、新デザインのヘッドランプが採用された。
「Eペース」の2021年モデルでは、2段のJ字型デイタイムランニングライトが特徴的な、新デザインのヘッドランプが採用された。拡大
荷室は、ゴルフバッグやベビーカーを横置きに収納できるだけの幅(1311mm)が確保されている。5人乗車時の荷室奥行きは806mm。
荷室は、ゴルフバッグやベビーカーを横置きに収納できるだけの幅(1311mm)が確保されている。5人乗車時の荷室奥行きは806mm。拡大
荷室をフレキシブルに仕切ることで荷物を安定させられるバーやベルトも用意される。
荷室をフレキシブルに仕切ることで荷物を安定させられるバーやベルトも用意される。拡大
後席を倒し、荷室の容量を最大化させた状態。背もたれの部分には傾斜が残る。
後席を倒し、荷室の容量を最大化させた状態。背もたれの部分には傾斜が残る。拡大
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