2026年6月に生産終了
北アルプスから富士山までを遠望できるビーナスラインはもちろん、大門峠を越えて上田に抜ける山道もまことにアルピーヌにふさわしいワインディングロードである。もうそろそろ本当に、長くはなかったモデルライフに幕を下ろすアルピーヌA110の試乗会の舞台に信州美ヶ原を選ぶなんて、アルピーヌ・ジャポンは分かってる。路肩にはオレンジ色のカラマツの落ち葉が厚く積もり、不用意にタイヤを乗せるとズズッと滑ることもあるが、ご存じ軽量コンパクトで、クルマの四隅まで自分の神経が伸びているように一体感のあるA110ではあまり怖がる必要はない。
そういえばツールドコルスにも似たようなステージがあった。かつてコルシカ島でオリジナルA110の「1600S」を借りてヒストリックラリーに出場した際に、夜のステージで栗の落ち葉に乗って真横を向いたことがあった。フラッドライトの光も届かない谷に向かって滑りながら、こりゃもうダメだと一瞬諦めたが、何とか立ち直った。軽くて俊敏、ミスをしてもどうにか取り返せるコントロール性は現代のA110にも受け継がれている。
こんなすてきなスポーツカーが生き延びられないなんて何とも難儀な世の中だが、嘆いても仕方ない。念のため、A110が終了するのは売れないからではなく、ご存じのとおり現行型では新規制に対応するのが難しいためだ。2024年末時点で累計販売2万3000台以上といわれるから、当初の計画を大きく上回っているのだ。この度正式に発表されたフィナーレのスケジュールは、2026年6月で現行A110は生産終了、それに先立つ3月で日本向けのアトリエ・アルピーヌ(カスタムプログラム)による受注を終了するというもの。ただし、割り当て生産枠がなくなった時点で受注終了となる。
今回は「アルピーヌA110」の試乗会に参加。秋深まった信州美ヶ原で「A110アニバーサリー」「A110 GTS」「A110 R70」を乗り比べた。
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「A110アニバーサリー」は新たなスタンダードグレードとして25台限定で導入された。最もソフトな足まわりの「アルピーヌシャシー」に最高出力252PSの1.8リッター4気筒ターボエンジンをミドシップする。
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ミドシップスポーツカーでありながら大きな我慢を強いられないのが「A110」の美点。この手のクルマとしてはキャビンは広々としており、乗り込むのもそれほど苦労しない。
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サベルト製のモノコックバケットシートを装備。見た目はスパルタンだが居心地はなかなかよろしい。
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