ポルシェ911タルガ4 GTS(4WD/8AT)

時代がポルシェに追いついた 2025.11.26 試乗記 サトータケシ 「ポルシェ911」に求められるのは速さだけではない。リアエンジンと水平対向6気筒エンジンが織りなす独特の運転感覚が、人々を引きつけてやまないのだ。ハイブリッド化された「GTS」は、この味わいの面も満たせているのだろうか。「タルガ4」で検証した。
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趣味のクルマならではの面白さ

タイプ992のポルシェ911の後期型、いわゆる992.2のGTSは、同車初のハイブリッドモデルだ。これまでGTSに触れる機会がなかったけれど、webCG編集部から「タルガ4 GTSに乗りませんか?」というメールが届いた。このメールを受け取ったときの気持ちは、一刻も早くハイブリッド911を知りたいというのが7割、残りの3割はがっかりしたくないな、という後ろ向きなものだった。

「最新の911が最善の911」というフレーズは、読者のみなさんも耳にタコができるくらい聞かされていることでしょう。耳にタコができるほど聞かされているということは、たくさんの人がこのフレーズを書いたり語ったりしているということで、自分もそのうちのひとりだ。

ただし、「最善」が必ずしも「一番好き」とイコールにならないところが趣味のクルマの面白いところ。例えば、「回したダイヤルが戻るときのじーこ、じーこというグルーブ感に味があるから、スマホより黒電話が好きなんだよね」という人はいない。いや、もしかしたらいるのかもしれないけれど、かなり少ないはずだ。いっぽう、「996? あぁ、“水物”ね……」という人は一定数存在する。

というようなことをつらつらと考えながら集合場所の某サービスエリアに到着すると、そこには「カーマインレッド」という、緑の中を走り抜けてく真っ赤なポルシェとは少し違う、落ち着いた雰囲気の赤をまとった911タルガ4 GTSが止められていた。

本日の主役はハイブリッドのパワートレインであるけれど、個人的に911のタルガボディーは嫌いじゃない。クーペや「カブリオレ」だとカッコよすぎるというか、キマりすぎるきらいがあるけれど、少し隙のあるタルガの“抜け感”があるたたずまいに、親しみが湧く。少し不格好なのがかわいい。

今回の試乗車は「ポルシェ911タルガ4 GTS」。新車登録された時点での価格は2615万円だったが、2025年11月時点では2747万円に改定されている。
今回の試乗車は「ポルシェ911タルガ4 GTS」。新車登録された時点での価格は2615万円だったが、2025年11月時点では2747万円に改定されている。拡大
基本的なことながら、前席の頭上のみが開くのが「タルガ」で、後席まで吹きさらしになるのが「カブリオレ」。「911」には2種類のオープントップがラインナップされる。
基本的なことながら、前席の頭上のみが開くのが「タルガ」で、後席まで吹きさらしになるのが「カブリオレ」。「911」には2種類のオープントップがラインナップされる。拡大
タルガトップをオープンにしているところ。リアセクションがガバッと持ち上がる大がかりな行程だが、その所作は極めてスムーズだ。
タルガトップをオープンにしているところ。リアセクションがガバッと持ち上がる大がかりな行程だが、その所作は極めてスムーズだ。拡大
フロントマスクはおなじみの「911」の眺めだが、992.2の「GTS」では開口部の両サイドがアクティブフラップになっている。
フロントマスクはおなじみの「911」の眺めだが、992.2の「GTS」では開口部の両サイドがアクティブフラップになっている。拡大