【F1 2023】第1戦バーレーンGP続報:フェルスタッペン&レッドブル好発進、アロンソ3位でアストンマーティン大躍進

2023.03.06 自動車ニュース bg
F1開幕戦バーレーンGPを制したレッドブルのマックス・フェルスタッペン(写真左から2番目)、2位でレースを終えたレッドブルのセルジオ・ペレス(同左端)、3位に入ったアストンマーティンのフェルナンド・アロンソ(同右端)。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
F1開幕戦バーレーンGPを制したレッドブルのマックス・フェルスタッペン(写真左から2番目)、2位でレースを終えたレッドブルのセルジオ・ペレス(同左端)、3位に入ったアストンマーティンのフェルナンド・アロンソ(同右端)。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

2023年3月5日(現地時間)、バーレーン・インターナショナル・サーキットで行われたF1世界選手権開幕戦バーレーンGP。1週間前のプレシーズンテストの結果が示唆したとおり、レッドブルとマックス・フェルスタッペンは連覇に向けて盤石の体制でオープニングレースを制し、ダークホースと目されたアストンマーティンのフェルナンド・アロンソは獅子奮迅の勢いでポディウムを勝ち取ったのだった。

昨季は勝率68%という圧倒的な強さで2連覇を達成したレッドブルのフェルスタッペン(写真)が、その勢いのまま2023年開幕戦で圧勝。カーナンバー1をつけ、3度目のタイトル獲得に向けて盤石の体制で臨む今シーズンの初戦は、週末の入りこそいまひとつだったものの、元F1ドライバーの父ヨス・フェルスタッペンの51回目の誕生日に行われた予選では通算21回目のポールポジションを獲得。レースでは、スタートでトップを守ると、自身36回目の勝利までまっしぐらに走り抜けた。彼にとってはバーレーンGPだけでなく、シーズンのオープニングレースでの初勝利となる。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
昨季は勝率68%という圧倒的な強さで2連覇を達成したレッドブルのフェルスタッペン(写真)が、その勢いのまま2023年開幕戦で圧勝。カーナンバー1をつけ、3度目のタイトル獲得に向けて盤石の体制で臨む今シーズンの初戦は、週末の入りこそいまひとつだったものの、元F1ドライバーの父ヨス・フェルスタッペンの51回目の誕生日に行われた予選では通算21回目のポールポジションを獲得。レースでは、スタートでトップを守ると、自身36回目の勝利までまっしぐらに走り抜けた。彼にとってはバーレーンGPだけでなく、シーズンのオープニングレースでの初勝利となる。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大
レッドブルで3年目を迎えるペレス(写真)。開幕戦では予選でフェルスタッペンから遅れること0.138秒で2番手につけ、チームにとってバーレーンで初、昨季最終戦から数えて2戦連続となるフロントロー独占に貢献。レースでは、スタートでフェラーリのシャルル・ルクレールに抜かれ3位に落ちるも、中盤に2位の座を奪還。レッドブルは、コンストラクターズチャンピオンシップ連覇に向けて申し分のない結果を残した。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
レッドブルで3年目を迎えるペレス(写真)。開幕戦では予選でフェルスタッペンから遅れること0.138秒で2番手につけ、チームにとってバーレーンで初、昨季最終戦から数えて2戦連続となるフロントロー独占に貢献。レースでは、スタートでフェラーリのシャルル・ルクレールに抜かれ3位に落ちるも、中盤に2位の座を奪還。レッドブルは、コンストラクターズチャンピオンシップ連覇に向けて申し分のない結果を残した。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大
プレシーズンテストでの好調さを開幕戦でもキープしたアストンマーティンは、今季加入のフェルナンド・アロンソ(写真)が値千金の3位表彰台を獲得。元2冠王者も驚く速さで2回のプラクティスでトップ、予選ではタイヤの制限から1アタックのみとなるも、ワークスのメルセデス勢を上回る5位と大健闘。レースではスタートで7位に落ちたが、抜群の速さとキレのいい走りでメルセデス、フェラーリを次々とオーバーテイクする大活躍を見せた。現役最年長41歳のアロンソは、GP出走50戦目のアストンマーティンに、チーム2度目の表彰台をプレゼント。僚友ランス・ストロールは、オフシーズン中の自転車事故で手首と足の親指を骨折するというけがを負いテストは欠席。なんとか間に合った開幕戦では痛み止めを服用しながらも予選8位、決勝では6位入賞と奇跡的なカムバックを果たした。(Photo=Aston Martin)
プレシーズンテストでの好調さを開幕戦でもキープしたアストンマーティンは、今季加入のフェルナンド・アロンソ(写真)が値千金の3位表彰台を獲得。元2冠王者も驚く速さで2回のプラクティスでトップ、予選ではタイヤの制限から1アタックのみとなるも、ワークスのメルセデス勢を上回る5位と大健闘。レースではスタートで7位に落ちたが、抜群の速さとキレのいい走りでメルセデス、フェラーリを次々とオーバーテイクする大活躍を見せた。現役最年長41歳のアロンソは、GP出走50戦目のアストンマーティンに、チーム2度目の表彰台をプレゼント。僚友ランス・ストロールは、オフシーズン中の自転車事故で手首と足の親指を骨折するというけがを負いテストは欠席。なんとか間に合った開幕戦では痛み止めを服用しながらも予選8位、決勝では6位入賞と奇跡的なカムバックを果たした。(Photo=Aston Martin)拡大

史上最多23戦シーズンの開幕

昨季40年ぶりに復活した「グラウンド・エフェクト・カー」も2年目を迎えた。2023年シーズンは、レギュレーションがほぼ変わらなかったということもあり、開幕前のテストがたった3日間に短縮され、ほとんど“ぶっつけ本番”でオープニングレースに突入することに。そうとなれば、劇的なイノベーションは期待できなくとも、いずれの陣営も2022年型マシンをベースに改善と熟成を進めたであろうことは想像に難くない。

2022年に22戦17勝で9年ぶりのコンストラクターズタイトル獲得、マックス・フェルスタッペンがシーズン最多記録の15勝をマークし2連覇した王者レッドブルは、今年もチャンピオン最有力候補だ。テスト初日にようやくお披露目された今季型「RB19」は、アグレッシブに絞り込んだデザインをまとい、さらなる高みを目指した意欲作。フェルスタッペンとセルジオ・ペレスのドライブで、ロングランから一発のアタックまで安定した速さを顕示し、タイトル防衛に向けて盤石の体制を整えてきた。

対して昨年惨敗したフェラーリは、マッティア・ビノットに替わる新しいボスに、アルファ・ロメオから引き抜いたフレデリック・バスールを据え、悲願の王座奪還をもくろむ。レッドブルに後れを取った直線スピードの向上を意識して開発されたといわれる新型「SF-23」。テストでは「ストレートでは速いがコーナーで苦戦」と伝えられ、その真価が問われるシーズンとなる。シャルル・ルクレールとカルロス・サインツJr.に、マラネロとイタリアの夢が託されている。

昨シーズンはグラウンド・エフェクト特有の上下動「ポーポシング/バウンシング」に苦しめられ、1勝しかできなかったメルセデスは、いわゆる“ゼロポッド”と呼ばれるコンパクトなサイドポッドを継承しつつ、カラーリングを黒に戻した「W14」で挽回を期す。2014年から続くターボハイブリッド時代の雄も、もはや挑戦者。ルイス・ハミルトン、そしてジョージ・ラッセルが打倒レッドブルに燃えているのは言うまでもないが、テストではバランスの悪さと格闘しており、レッドブル、フェラーリに差をつけられていた。

そのメルセデスを食わんとしているのがアストンマーティンだ。フェルナンド・アロンソの加入で中団グループから抜け出したい同チームは、レッドブルからヘッドハントしたダン・ファロウズをテクニカルディレクターに置き「AMR23」を開発。特にテスト中のレースペースは侮れないものがあり、3強の厚い壁に風穴を開けようとしている。

GPドライバー3年目となる角田裕毅にとっては、今季は挑戦の年だ。昨年9位と低迷したアルファタウリは、リードドライバーであり角田の兄貴分だったピエール・ガスリーがアルピーヌに移籍し、新人ニック・デ・ブリースを招いた。評判の良いチームメイトを前に、今度は角田がリーダーとしてチームをけん引しなければならないのは言うまでもない。

さらにベテランのニコ・ヒュルケンベルグがF1復帰するハースや、2026年からアウディとなるアルファ・ロメオ、テストではトラブルでつまずいたマクラーレンなどなど、各チームそれぞれが期待と不安を胸に、史上最多23戦の長旅へと出立していった。

フェラーリのカルロス・サインツJr.(写真)は、予選順位と同じ4位フィニッシュ。テストではロングランのペースに不安を残していたフェラーリは、シャルル・ルクレールが予選Q3を1回だけのアタックで済ませレースに向けてタイヤを温存し3番グリッド。そのかいあって、レーススタートでは見事2位の座を奪ったものの、レッドブルの速さにはかなわずに3位に後退。終盤の41周目にはエンジントラブルでリタイアを喫した。代わって3位に上がったサインツJr.も、アロンソの猛追にはなすすべもなかった。フレデリック・バスールを新代表に据えた2023年シーズン、スクーデリアの船出は決していいものではなかった。(Photo=Ferrari)
フェラーリのカルロス・サインツJr.(写真)は、予選順位と同じ4位フィニッシュ。テストではロングランのペースに不安を残していたフェラーリは、シャルル・ルクレールが予選Q3を1回だけのアタックで済ませレースに向けてタイヤを温存し3番グリッド。そのかいあって、レーススタートでは見事2位の座を奪ったものの、レッドブルの速さにはかなわずに3位に後退。終盤の41周目にはエンジントラブルでリタイアを喫した。代わって3位に上がったサインツJr.も、アロンソの猛追にはなすすべもなかった。フレデリック・バスールを新代表に据えた2023年シーズン、スクーデリアの船出は決していいものではなかった。(Photo=Ferrari)拡大

レッドブルが最前列独占、アロンソはメルセデス勢を上回る予選5位

テストと同じ場所で迎える開幕戦ということで、バーレーンでのレッドブル優勢には誰もが疑問を抱いていなかったが、いざレースウイークが始まると、チャンピオンチームに問題こそ見られなかったものの、アストンマーティンの好調さが際立ち、アロンソは2回目と3回目のプラクティスでトップタイムをたたき出したほどだった。

予選では、フェルスタッペンが通算21回目のポールポジションを獲得、ペレスが2位につけ、レッドブルがバーレーンで初めてフロントロー独占に成功。フェラーリが2列目に並び、1アタックのみでレースに向けてタイヤを温存したルクレールが3位、サインツJr.は4位だった。

アロンソは5位に食い込み、後ろにラッセル6位、ハミルトン7位とメルセデス勢を従えての大健闘。アストンマーティンは、オフシーズン中に負ったけがでテスト不参加となったランス・ストロールも8位につけた。9位はアルピーヌのエステバン・オコン、そして10位にはハースのヒュルケンベルグが入った。

メルセデスのルイス・ハミルトン(写真)は5位でゴール。昨季苦しんだポーポシング/バウンシング問題は解決したものの、マシンバランスやパフォーマンスに不安を残して2023年開幕戦を迎えたメルセデス勢。予選ではジョージ・ラッセル6位、ハミルトン7位とトップ10グリッドの中団に埋もれ、またレースでも表彰台は遠く、ラッセルも7位と不発だった。今季型「W14」は、“ゼロポッド”などマシンコンセプトを昨季から変えずにきたが、開幕戦を受けてチーム代表のトト・ウォルフは「その方向性を維持するかどうか検討すべきかもしれない」と迷いをみせていた。(Photo=Mercedes)
メルセデスのルイス・ハミルトン(写真)は5位でゴール。昨季苦しんだポーポシング/バウンシング問題は解決したものの、マシンバランスやパフォーマンスに不安を残して2023年開幕戦を迎えたメルセデス勢。予選ではジョージ・ラッセル6位、ハミルトン7位とトップ10グリッドの中団に埋もれ、またレースでも表彰台は遠く、ラッセルも7位と不発だった。今季型「W14」は、“ゼロポッド”などマシンコンセプトを昨季から変えずにきたが、開幕戦を受けてチーム代表のトト・ウォルフは「その方向性を維持するかどうか検討すべきかもしれない」と迷いをみせていた。(Photo=Mercedes)拡大

フェルスタッペン首位堅持、スタートでルクレールが2位へ

57周レースのスタートでトップをキープしたフェルスタッペンに続いたのは、このために新品のソフトタイヤをキープしていたルクレール。3位にペレスが落ち、4位サインツJr.、5位ハミルトン、6位ラッセル、7位アロンソというオーダーでオープニングラップが終わる。

アストンマーティンは、オープニングラップでストロールがアロンソに軽く追突してしまい、ストロールも9位に落ちる最悪のスタート。しかし、その後の華麗なる挽回劇と快進撃により、このレースは大いに盛り上がることになる。

抜群の蹴り出しで2位を仕留めたルクレールだったが、首位フェルスタッペンのペースには追いつけず、10周もするとレッドブルのリードは6秒以上に広がり、フェラーリの後ろで3位ペレスが付き合わされるかっこうとなった。

その後ろでは、メルセデス対アストンマーティンの攻防が繰り広げられていた。ペースの上がらない5位ハミルトンに抑えられていた6位ラッセルに、アロンソが襲いかかる。13周目にハミルトンがピットインすると、アロンソはラッセルを駆逐し、これで5位に戻った。

フロントランナーで最初にタイヤ交換に動いたのはフェラーリ。14周目にルクレール、サインツJr.を立て続けにピットに呼び、ソフトタイヤからハードへ換装。これを受けてトップのフェルスタッペンも翌周ソフトから再びソフトに履き替え、18周目にはペレスにも再びソフトが与えられた。

これで、1位フェルスタッペン、10秒後方に2位ルクレール、そこから3.9秒差で3位ペレス、7.7秒差で4位サインツJr.という順位に。レッドブルとフェラーリとでタイヤ選択が分かれるも、レッドブルにはタイヤの持ちとレースペースで明らかなアドバンテージがあり、26周目にペレスがルクレールをオーバーテイクした後は、1-2フィニッシュに向けてひた走るだけだった。

また第2グループでは、最初にタイヤ交換したハミルトンが5位、アロンソはその3秒後ろ、そしてラッセル7位という順位で第2スティントが始まると、アロンソは快調なラップで前のハミルトンとのギャップを削り取りながら、メルセデスに揺さぶりをかけるのだった。

昨季コンストラクターズ9位と低迷したアルファタウリは、今季もプレシーズンテストから苦しい戦いが続いている。GP3年目の角田裕毅(写真右)は、新たなパートナーに今季晴れてF1レギュラードライバーとなったニック・デ・ブリース(同左)を迎え、チームのリーダーとしての成長が期待されている。開幕戦はポイントこそ獲得できなかったものの、その期待に十分応えるような力走を披露。予選では、デ・ブリースが19位だったのに対し、角田はQ1で8位、Q2で14位と健闘。レースでも11位までポジションを上げ、ポイント圏の10位まであと1秒と迫ったところでタイムアップとなった。デ・ブリースは初戦を14位で終えている。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)
昨季コンストラクターズ9位と低迷したアルファタウリは、今季もプレシーズンテストから苦しい戦いが続いている。GP3年目の角田裕毅(写真右)は、新たなパートナーに今季晴れてF1レギュラードライバーとなったニック・デ・ブリース(同左)を迎え、チームのリーダーとしての成長が期待されている。開幕戦はポイントこそ獲得できなかったものの、その期待に十分応えるような力走を披露。予選では、デ・ブリースが19位だったのに対し、角田はQ1で8位、Q2で14位と健闘。レースでも11位までポジションを上げ、ポイント圏の10位まであと1秒と迫ったところでタイムアップとなった。デ・ブリースは初戦を14位で終えている。(Photo=Getty Images / Red Bull Content Pool)拡大

レッドブル1-2、アロンソがフェラーリも破り表彰台へ

31周目、メルセデスがハミルトンをピットに呼ぶと、32周目にはサインツJr.とラッセル、さらに34周目にはルクレール、翌周にはペレスとアロンソ、37周目にフェルスタッペンがそれぞれ2度目のタイヤ交換に踏み切り、みなハードタイヤでゴールを目指した。

1位フェルスタッペン、2位ペレス、3位ルクレール、4位サインツJr.、5位ハミルトン、6位アロンソ。トップ4は間隔が開いていたが、僅差のハミルトンとアロンソの5位争いは白熱し、丁々発止とやり合ったのちに39周目にアロンソが5位を奪った。

砂漠の暗夜にグリーンに光るアストンマーティンが、いっそう輝きを増す瞬間が訪れた。41周目、3位走行中のルクレールのマシンがエンジントラブルを起こし、ゆるゆるとペースを落としてコース脇にストップ、バーチャルセーフティーカーが出たのだ。

トップ4の一角が崩れたことで、現役最年長41歳のアロンソのやる気は燃え上がった。1秒前方の3位サインツJr.に猛烈なプレッシャーをかけ続け、46周目にフェラーリを力強く抜き去ると、ついに表彰台までのぼりつめたのだった。

ちょうど1年前の開幕戦で2台そろって信頼性に泣いたレッドブルが、今シーズンは文句なしの完勝で1-2フィニッシュ。一方で昨季1-2を飾ったフェラーリは、今年になってレースペースの遅さに加え、1台がメカニカルトラブルでリタイアするという対照的な結果に終わった。

開幕前に聞かれた、「2023年はフェルスタッペン&レッドブル一強のシーズンになるのではないか」という声が現実味を帯び始めた今季初戦。チャンピオンチームが好発進を決める一方で、アロンソの3位表彰台に沸くアストンマーティンの大躍進には期待してよさそうである。

当初発表されていた中国GPがなくなるも、23戦もの長期戦であることに変わりはない2023年シーズン。次の第2戦サウジアラビアGPは、3月19日に決勝が行われる。

(文=bg)

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