ショーの主役は電気自動車【パリサロン2010】
2010.10.11 自動車ニュース【パリサロン2010】ショーの主役は電気自動車、だけど人気は……。
2010年9月30日からパリで開催されているヨーロッパ最大規模のモーターショー「モンディアル・ド・ロトモビル」(パリ・モーターショー)は、多数のワールドプレミア(世界初公開)が用意され、連日多くの人々でにぎわっている。スポーツカーやセダンのニューモデルも多いが、今回それ以上に目立ったのが電気自動車だった。
■“脱炭素”が街を変える
会場のパリ見本市会場はパリ市の南西部15区にある。かつてここへ公共交通機関を使って行くなら、メトロ12号線のポルト・ド・ベルサイユ駅で降りるか、タクシーやバスを利用したものだ。しかし前々回の2006年(パリ・モーターショーは隔年開催)、トラムの3号線が開通して選択肢がひとつ増えた。これにともない会場前の風景が変わり始めた。
そして前回2008年に訪れたときには、貸自転車の「ヴェリブ」が市内に広く整備されていた。さらに今回はトラムの2号線が延びてきていて、正門周辺は一瞬、別の場所かと勘違いするほど変化を遂げ、ますますにぎやかになっていた。パリは徐々にではあるが、クルマだけに依存せず着実に“脱炭素”を実践しているらしい。
ホールの外がそんな感じなら、中についても数回前と比べてずいぶん変わった。今回の主役は電気自動車だった。全発電量の約8割を原子力発電でまかない、その余剰電力を近隣諸国に輸出しているフランスは、ヨーロッパのどの国よりも電気自動車の普及に熱心。それが今回のショーを通じてよくわかった。
フランスのPSAプジョーシトロエンは「三菱i-MiEV」のOEM車「プジョー・イオン」と「シトロエンC-ZERO」を公開した。それに対してルノーは「フルーエンスZ.E.」「カングー エクスプレスZ.E.」「デジール」「トゥイジー」「ゾエ プレビュー」と、前面に押し出したクルマはいずれも電気自動車という力の入れようだ。そのいずれもが現実味を帯びて見えるのは、CO2の削減に向けた、上述のような着実なインフラ整備を見ているからだろう。
■SUVが人気、HVの注目度はいまひとつ
そんなモーターショーに対してパリの人々はどう反応するのだろうか? 今回は時間に余裕があって、ショーの一般日も会場に足を運ぶことができた。そこでなかなか面白い発見をすることができた。
地元フランスメーカーのブースが混んでいるのはプレスデイも一般日も同じ。またドイツメーカーの注目度が高いのも同じだが、一般日におけるアウディの混雑ぶりは想像を超えるものがあった。立錐(りっすい)の余地もないとはまさにこのこと。結局、一般日に2日通ったが、アウディはいつもものすごい混雑ぶりだった。
また意外に人気が高かったのがSUVである。メーカーの方に「こういうクルマは今、ヨーロッパでは人気がありまして……」なんて話を聞かされるたびに、内心「本当?」と疑っていたものだ。たしかにそのとおりという感触を得た。
たとえば「レクサスRX」や「フォルクスワーゲン・トゥアレグ」などには多くの人たちが群がっていて、みんななんとなくシートに座る順番を競っていたりする。こういうクルマの人気は日本ではひと段落した感じがあるので、ちょっと新鮮な感じだ。
さらにプレス受けが良かった「スマート」や「ミニ」の電動スクーターだが、これについては正直言って、一般日の反応はイマイチという印象を持った。もっとも、熱心に見ている人の中には、最後にスマートフォンのカメラでパチリと撮る人が少なくなかったので、“ガジェット”好きには確実に響いたもようだ。もしかすると、こういう形で日本でも原付の復権があるかもしれない。
もうひとつ、意外に注目度が低かったのが日本のハイブリッド車だ。今回は「レクサスCT200h」「ホンダ・ジャズハイブリッド」(日本名:フィットハイブリッド)「インフィニティM35h」(同:フーガハイブリッド)と、いずれも日本では前評判の高い大物がそろった。しかし、それに見合った注目度だったかというと、そうとは言えない。
ところ変われば話題も変わる。エコカーの注目度はその土地のインフラと税制に依存した属地主義的なものであることが今回よくわかった。
(文と写真=webCG 竹下)
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