ホンダ・フィットにハイブリッド誕生
2010.10.08 自動車ニュース「ホンダ・フィット」のハイブリッド版登場
本田技研工業は2010年10月8日、新型のコンパクトハイブリッドカー「フィットハイブリッド」を発売した。
■売れっ子に“花”
「ホンダ・フィット」が2代目になって、ちょうど3年。シリーズ全体にマイナーチェンジが施され、同時にそのハイブリッドバージョン「フィットハイブリッド」が追加された。
名前のとおり、売れ筋のコンパクトカー「フィット」に、燃費が稼げるハイブリッドシステムを搭載したのが、商品としてのポイント。ホンダにとっては、「インサイト」「シビックハイブリッド」「CR-Z」に続く、4番目のハイブリッドカーとなる。
肝心の燃費性能は、10・15モード値で30.0km/リッターと、ベースのガソリンモデル(同24.5km/リッター)に比べ、2割ほどのアドバンテージ。「誰もが乗れる“みんなの”HYBRID」をコンセプトに、先に販売された「インサイト」より30万円も安い、159万円のスタート価格で市場にアピールする。
■広さは(ほぼ)そのまま
小さなハイブリッドカーという新たな境地を切り開く「フィットハイブリッド」。しかし、外観上「フィット」と異なるのは、専用デザインのグリルやホイール、メッキのガーニッシュくらいのもの。実際の寸法も、ベーシックな1.3リッターガソリンモデル「G」と変わらない。
インテリアも基本的なデザインに違いはないものの、走行状態に合わせて青から緑へと色を変える「アンビエントメーター」や、燃費データなどをドライバーに知らせるマルチインフォメーションディスプレイが備わり、特別なエコカーであることを主張する。
車内には、フィット・ファミリー自慢の広々とした居住空間が広がるが、荷室の床下に用意されていた収納スペース(40リッター)は、ハイブリッドカーの宿命としてバッテリーなどのメカニズムに占領された。床上についてもフロアが20mm高くなり、容量は10%ほど縮小した(341リッター)ものの、ワンタッチでチップアップ&ダイブダウンするリアシート、それにあわせてフルフラットになる空間は健在だ。
■見えない努力で30.0km/リッター
肝心のハイブリッドシステムは、「インサイト」と同じもの。すなわち、1.3リッターガソリンエンジン(88ps、12.3kgm)を電気モーター(14ps、8.0kgm)がアシストするタイプで、システム全体としては98ps、17.0kgmを発生する。
同時にマイナーチェンジしたガソリンモデルの「フィット」(99〜120ps、12.8〜14.8kgm)に比べ、パワーこそ控えめなものの、トルクでは大いに勝り、“モーター付き”らしい力強い走りを提供するという。
兄貴分の「インサイト」よりも、市街地走行などでのモーターアシストを大きくしたり、モーターのみの走行範囲を増やすなど、独自のセッティングも施された。
トランスミッションはCVT。前:マクファーソンストラット、リア:トーションビーム式のサスペンション形式も変わらないが、ハイブリッドシステムを積んだことによる前後重量配分の変化、さらに低転がり抵抗タイヤの採用を受けて、ダンパー、スプリングには専用のセッティングが施され、リアにスタビライザーが追加された。
また、全長が短く空力のうえで不利な「フィット」で燃費を伸ばすアイテムとして、エンジンルームとキャビンの真下には、シャシーを平らにすべくアンダーカバーが与えられた。ブレーキキャリパーも非制動時の回転抵抗が小さいものに変えるなどして、「インサイト」と同じ、30.0km/リッターの10.15モード燃費値を実現している。
(webCG 関)