第6戦モナコGP、混乱のレースをハミルトンが制す【F1 08】
2008.05.25 自動車ニュース【F1 08】第6戦モナコGP、混乱のレースをハミルトンが制す
F1世界選手権第6戦モナコGP決勝が、2008年5月25日、モンテカルロ市街地コース(3.34km)を76周して行われた。
雨に翻弄された伝統の一戦、各車がスピンやクラッシュで脱落するなか、マクラーレン・メルセデスのルイス・ハミルトンが序盤のミスを挽回し優勝。チャンピオンシップでも首位に復活した。
モナコを得意とするマクラーレンは、コンストラクターズランキングでBMWザウバーを抜き2位に浮上した。
2位はBMWザウバーのロバート・クビサ。3位はフェラーリのフェリッペ・マッサだった。予選でフロントローを獲得したフェラーリにとって、モンテカルロは鬼門。キミ・ライコネンはコースオフや接触で9位完走がやっとだった。
4位はレッドブル・ルノーのマーク・ウェバー、5位STRフェラーリのセバスチャン・ベッテル、6位ホンダのルーベンス・バリケロ、7位ウィリアムズ・トヨタの中嶋一貴、8位マクラーレンのヘイキ・コバライネンらが入賞を果たした。
トヨタの2台は、クラッシュを繰り返しながらなんとか完走したティモ・グロックが12位、ヤルノ・トゥルーリは13位でゴールした。
■フェラーリの成否
第2戦から4連勝中のフェラーリが、モナコ、カナダの2連戦でも勝ち続けたとしたら、今年のチャンピオンシップは大方決まったようなものかもしれない。昨年の「F2007」が、ロングホイールベースによる小回りのきかなさや縁石越えの問題を抱えていたことを考えると、このふたつのコースはスクーデリアにとってリトマス試験紙のようなもので、マシン改良の成否が問われる場所である。
予選では、マッサが今年3度目のポールポジションを獲得し、ライコネンは2番手。3番グリッドにはハミルトン、4番グリッドにはコバライネンと、フェラーリはマクラーレンを従えて、追い抜きほぼ不可能のモンテカルロを戦うことになった。
しかし、その戦いに雨というスパイスが振りかけられると、様相は一変した。決勝日はウェット路面で全車レインタイヤ装着。スタート直後に雨粒は量を増し、各所でスピンや接触が相次いだ。
レース前にトラブルにあったのは、コバライネンとライコネン。コバライネンはダミーグリッド上でエンジンをストールしピットスタートを余儀なくされ、またライコネンはスタートでハミルトンにかわされたものの3位で周回を重ねるが、ダミーグリッド上でのタイヤ交換が遅れ、ドライブスルーペナルティを受けた。
その後ライコネンはコースオフなど精彩を欠くドライブを見せたが、終盤4位を力走していたエイドリアン・スーティル(フォースインディア・フェラーリ)に追突、弱小チームの若手ドライバーをリタイアに追い込んでしまったのはいただけなかった。
ライコネンは9位ノーポイントで、ポイントリーダーの座からも転げ落ちた。
■マクラーレンの作戦
序盤、トップを走るのはマッサで、クビサが追いかける展開。15周目、コースをはみ出したフェラーリの隙をつき、BMWがトップを奪った。その後クビサより長いスティントを走ったマッサは、再びクビサの前に出ることになるのだが、この2台の前には、なんとハミルトンがいた。
スタート直後に2位にジャンプアップしたハミルトンは雨強く降る5周目、タバコ屋コーナーでウォールにヒットし、痛めたタイヤを交換するためピットインしていた。万事休すか、という一瞬だったが大事にはいたらなく、幸い後続を引き離していたため5位でコース復帰できた。
そのハミルトンがレース中盤になって首位を奪取した。予選でフェラーリに先行を許し、レースでは早々に壁に接触してしまったが、その後のピットインでガソリン多めで長いスティントとする作戦に打って出た。そして雨が止み路面が乾き出すと、マッサ、クビサらを彼方に追いやり、そのスピードは他の追随を許さなかった。
レースは、2度のセーフティカーランと雨によるペースダウンにより、予定の78周を前に2時間ルールが適用され、デビュー2年目の23歳が66回目のモナコGPウィナーとなった。ミスはあったが他者より小さく、さらにリカバー作戦が奏功し結果につながった。
■ハミルトンがポイントリーダーに
6戦を終え、ハミルトンが38点で再びポイントリーダーに躍り出た。ライコネンは35点で2位、マッサがその1点後方、クビサは32点で4位につけている。
いっぽうコンストラクターズランキングは、69点をポケットに入れるフェラーリの首位は変わらないものの、マクラーレンが53点で2位に浮上。BMWは1点ビハインドで3位だ。
次戦はカナダGP。もうひとつの“マクラーレン・コース”に、フェラーリはどう立ち向かうか?決勝日は6月8日だ。
(文=bg)
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