【ダカール2007】前半終了、三菱vsフォルクスワーゲンの展開
2007.01.17 自動車ニュース【ダカール2007】前半終了、三菱vsフォルクスワーゲンの展開
2007年1月6日にポルトガルのリスボンでスタートした第29回ダカール・ラリー。8日からアフリカで本格的なステージか始まった。
■第3ステージ、いよいよアフリカのステージに突入
ナドール=エルラシディア 総走行距離648km(競技区間=SS 252km)
アフリカ最初のステージから3日間はモロッコが舞台。昨年同様、VW勢が飛び出し、前大会2位のジニール・ドゥ・ビリエが2時間46分12秒で総合2番手につけた。また25秒遅れで2位フィニッシュしたカルロス・サインツが総合首位に立った。
対する三菱の増岡浩は、右フロントを岩にヒットし、パワステなしで90kmほどの走行を強いられながらも7番手タイムをマーク。2つポジションを上げ総合6番手(11分17秒差)に。ステファン・ペテランセルが総合4位。初日に大きく出遅れた昨年の覇者、リュック・アルファンも総合8位とトップ10内に入ってきた。
■第4ステージ、“ダカールの暴れん坊”がSSトップに
エルラシディア=ワルザザット 総走行距離679km(競技区間=SS 405km)
難関の砂丘超えを含む405kmのロングステージを制したのは、オリジナルの二輪駆動バギーを駆るジャン=ルイ・シュレッサーで、2位以下に7分52秒もの大差をつけてゴールした。
99年、00年に2連覇を果たしたシュレッサーは、01年大会終了直前に、発走順を無視した上に、優勝を目前にしていた増岡を妨害して自滅させるという事件を起している54歳の悪役レーサー。「フォルクスワーゲンと三菱という大チームの前に出られたことを誇りに思うよ」とシャガレ声で得意げに語った。
昨年、ナビのミスで大クラッシュし、第4ステージでリタイアを余儀なくされた増岡は2度のパンクに見舞われながらも、総合5番手にポジションアップ。順調と思われたペテランセルは砂丘でスタックし、脱出の際にクラッチを破損。交換作業で25分ロスし総合9位へ順位を落とした。
■第5ステージ、VWの上位3位独占は変わらず
ワルザザット=タンタン 総走行距離768km(競技区間=SS 325km)
2度目の参戦となる元WRCチャンピオンのサインツが3時間36分39秒で今大会2度目のステージ優勝を獲得し、総合順位でも3日連続トップ。ペテランセルがSS2位と健闘しながらも、総合2番手はドゥビリエ、総合3番手は初日にトップをマークしたカルロス・スーザが続き、初日以来VWが上位を独占したままモロッコのステージを終えた。
■第6ステージ、不運続きの増岡
タンタン=ズエラット 総走行距離817km(競技区間=SS 394km)
増岡浩はクラッチトラブルで46分もロスし、SS23位で終えた。総合でも9番手と首位のサインツと1時間4分23秒もの差が開き、総合優勝の可能性は厳しい状況に。
フラットな砂地で高速ステージとなったモーリタニアの初日を制したのは、NASCARドライバーのロビー・ゴードン。VWや三菱より最高速が伸びるという「ハマー」の特性を活かしきって、2時間58分57秒でフィニッシュ、前日の36番手から19番手へ大きくジャンプアップした。
前日には、狭い1本道で前を走行するマシンを“プッシング”する荒業も。SS2位は前日の覇者シュレッサーがつけ総合6番手へ。
■第7ステージ、大会前半の最終ステージは砂嵐でSSが短縮
ズエラット=アタール 総走行距離580km(競技区間=SS 394km)
今大会前半の最終ステージは激しい砂嵐のため、予定より170km以上短い407km地点でSSが終了。ステージを制したのはVWのドゥビリエで、総合でも僚友のサインツを抜いてトップに浮上した。
初日からトップ3圏内にいたスーザ(VW)を悪夢が襲う。砂丘でスタックに襲われた際、タイヤにプレートを噛ませるためにコドライバーが下車。スーザは脱出に成功したが、ハードな路面を探すために砂丘の山を3つ越えることに。
ところが、砂嵐の影響で視界が悪く、コドライバーがマシンを探し出すのに1時間近くも迷うハプニング。トップから総合タイムで2時間40分も遅れ9番手に転落、「これで優勝は不可能になった」と唇を噛んだ。
かわって、ペテランセルが総合3番手に食い込み、アルファンも4番手に。三菱勢がじわじわと迫ってきたがトップとの差はまだ25分もある。
増岡も4つポジションを上げて5番手まで盛り返したが、トップからは1時間11分も遅れている。
「トップから1時間以上離されていますから、無謀なマキシマムアタックをかけて力づくで逆転優勝を狙おうというのは現実的ではありません。しかし、優勝の可能性を完全にあきらめる必要もありません」と、後半戦へ望みをかけた。
ダカールで4度優勝しているアリ・バタネンがVWから参戦していたが、炎上してリタイアした。
■日本人参戦者は全員前半戦をクリア
・三橋淳 クラス優勝を狙う
市販車無改造クラスで2連覇を達成しているTLC(チーム・ランドクルーザー・トヨタオートボデー)で2号車に乗る三橋淳は、僚友で昨年クラス優勝しているベテランのジャン=ジャック・ラテにかわり、クラストップで前半戦を終えた。また、バイオディーゼルで参戦する3号車の山田周生もクラス6番手、総合37番手とまずまず。
・池町佳生 プライベーターで大健闘
昨年、同チームから参戦しクラス2位、日本人最高位22位でフィニッシュした池町佳生は今年プライベーターとして三菱パジェロでトップカテゴリーに参戦。多少のトラブルに見舞われながらも、初日から徐々に順位を上げ総合28番手と健闘していた。
が、第7ステージでリアデフにトラブルが発生。砂丘で夜を明かしたが、アシスタンストラックを待って牽引してもらい、翌日の休息日にアタールのビバークになんとか到達した。トップから17時間30分、プラス、ペナルティ1時間ながら、「完走を目標」に後半戦へ挑む。
・篠塚建次郎 過去最悪のスタートを切った“シノケン”
昨年の“ラストラン”宣言から、タイヤ開発と文化としてのモータースポーツを広めることを目的に今年も参戦することになった篠塚建次郎(日産パスファインダー)は、初日に多々のトラブルに襲われてトップから5時間38分40秒遅れの最後尾167位でフィニッシュした。
「(SSの)40kmでパンクし、80kmではフロントのドライブシャフトが破損。リア駆動で走ったけど、残り10kmほどでリアデフも壊れてしまった。それでサポートカミオンを3時間も待って、フロントのシャフトだけ直してもらいFFで走行したんだ。初日からこんなに色々あるのは初めて。今年からはまったく順位を気にしないつもりだけど、さすがにねぇ〜。もうリタイアになるかと思ったよ」と、初日から青色吐息。
その後も連日のようにトラブル続きで「ドキドキしている」と嘆きながらも、総合134、135、102、92、88、71番手と着実に上昇。日本人としてダカール初優勝したシノケンの底力に注目だ。
・片山右京 トラブルに見舞われながらも健闘するエコ・マシン
天ぷら油を精製した100%バイオディーゼルで挑戦する片山右京(トヨタ・ランドクルーザー)もサスペンションや電装系など多々のトラブルに見舞われながらも前半を走り切った。また、ヨコハマタイヤが今回右京のために特別用意したタイヤが良好で、パンク知らず。初日の115から78番手までポジションを上げた。
・菅原義正&菅原照仁 常連の走りは今年も健在
カミオン部門の日野チームスガワラ(日野レンジャー)は、大会最多の25年連続出場を誇る菅原義正の1号車が10番手、二男の照仁がドライブする2号車が9番手と共に2台揃ってトップ10圏内に。「目標は排気量10リッター以下の優勝。総合でもなるべく上位に」とベテラン菅原義正が掲げる通り、同クラスをワンツー態勢で占める。
・桐島ローランド、バイク勢3人も健在!
初めてダカールに挑戦する写真家の桐島ローランドは、初日から電装系トラブルで厳しいスタートを強いられながらも奮闘。転倒やスタックとバイクも自身も傷だらけになりながら休息日のビブアークまで到達した。第7ステージが短縮されなかったら「リタイアしていたかも」と胸を撫で下ろした。
その他、亀田真靖と大橋輝之で初参戦しているライダー2人も、124番手、162番手で前半を乗り切った。
第7ステージが終了した時点で、モト72台、オート52台 カミオン19台がリタイアしている。
(文=YUYU COMMUNICATION)
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