次世代を見据えた“ベーシック”【ジュネーブショー04】
2004.03.05 自動車ニュース【ジュネーブショー2004】次世代を見据えた“ベーシック”
2004年3月4日から14日まで開かれる「第74回ジュネーブモーターショー」。まずはショー全体の印象を、現地に飛んだ自動車ジャーナリストの桃田健史がリポートする。
■重要度が増すジュネーブ
ここスイスには独特の空気が流れており、アルプスの山々が稜線を描く空は青く澄み切っている。ジュネーブショー会場内に入っても同じ。澄み切って、かつピーンとした適度な緊張感が漂う。
2004年で74回を数えるジュネーブショーだが、以前はあくまでも、ヨーロッパ地方のいちイベント、ディーラーショーのひとつに過ぎなかった。しかし近年、急速に発展してきている。その理由は、ヨーロッパで行われる主要なショー、独「フランクフルトショー」と仏「パリサロン」が隔年、しかも9月に開催されることにある。
ヨーロッパ車の新車ライフサイクルが短くなってきた昨今、1月に開かれる米「デトロイトショー」と、欧州の地理的中心にして3月に開かれるジュネーブショーは、年の前半にニューモデルをお披露目したい各メーカーにとって、重要度が増しているのだ。
■主役はオープンモデル
さて、今年のショー全体を見まわすと……どのメーカーも、主役はカブリオレやコンバーチブルなどのオープンモデルだ。「オペル・ティグラ」「シボレー・コーベット・コンバーチブル」「BMWミニ・カブリオレ」「ランボルギーニ・ムルシエラーゴ・バルケッタ」などなど、派生モデルが多く見られる。量産モデルの新型は、「メルセデスベンツSLK」と4ドアクーペ「CLS」「フォルクスワーゲン・キャディライフ」「スバル・レガシィ3.0RスペックB」「ランチア・ムーザ」「BMW5シリーズ ツーリング」(ワゴン)「アウディA6」などが登場した。
小変更では、「メルセデスベンツCクラス」と「ジャガーXK」などがフェイスリフト。また、地元スイスの星「リンスピード」は、奇妙な水陸両用車「スプラッシュ」を発表した。ウェブを中心に、事前にかなり大量の情報を発信していたため、空中展示(!?)されたスプラッシュは、会場で大きな人気を博している。
■国産コンパクトミニバンが人気
コンセプトカーにも話題が多い。伊トリノショーの休止を受けて、カロッツェリアたちがジュネーブに集結したのだ。そのなかで、いや、ショー全体でもっとも注目を集めたのが、イタルデザイン、ジウジアーロが手がけた「トヨタ・アレッサンドロボルタ」。パワーユニットはなんとハイブリッドである。今年1月のデトロイトショーで発表された「レクサスRX400h」などが搭載する、3.3リッターV6ユニットをミドシップ。あくまで“ケーススタディモデル”のようだが、トヨタのスーパースポーツを待ち望む欧州自動車関係者には、あまりに刺激が強すぎた!?
また、「マツダMXフレクサ」と「日産キャシュカイ」も人気だ。ともに、Cセグメントの小型ミニバンを狙う構想だが、ヨーロッパではいま「フォルクスワーゲン・トゥーラン」を筆頭に、このクラスの増殖が始まった。これまでは商用車に位置付けられたクルマだが、若者を中心に自家用化が進んでいる。3列目も大人2人が十分座れる6人乗りで、日本の5ナンバー車より若干、幅広く設定されるのが狙い目。VWが量産車として登場させた「キャディライフ」は、今後各社のベンチマークとなろう。
自動車業界の世界的再編も、現在はひと段落。次世代を見据えたベーシックな流れが、ヨーロッパで確実に起りはじめたことを、ジュネーブは肌で感じさせる。
(文と写真=桃田健史)
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