F1ハンガリーGP、アロンソ、最年少ウィナーに!【F1 03】
2003.08.25 自動車ニュース【F1 03】F1ハンガリーGP、アロンソ、最年少ウィナーに!
F1世界選手権第13戦ハンガリーGP決勝が、2003年8月24日、ハンガリーのハンガロリンク・サーキット(4.384km)を70周して行われた。
自身2度目のポールポジションからスタートしたルノーのフェルナンド・アロンソが、他を圧倒的に引き離し初優勝。ポールシッター最年少記録を塗り変えた22歳のスペイン人は、30戦目の出走で、F1 GP最年少ウィナーのレコードをも更新した。スペイン人ドライバーの優勝は史上初めてのこと。
ルノーは、ワークスチームとしては1983年オーストリアGP(優勝者アラン・プロスト)以来20年ぶり、エンジンサプライヤーとしては1997年ルクセンブルグGP(同ウィリアムズのジャック・ヴィルヌーヴ)以来の勝利を手にした。
アロンソ/ルノーのレコードづくしの裏で、タイトル争いはさらに激化。ランキング3位のキミ・ライコネン(マクラーレン・メルセデス)が2位フィニッシュ、ランキング2位のファン・パブロ・モントーヤ(ウィリアムズBMW)が3位に入った。一方ポイントリーダーのミハエル・シューマッハー(フェラーリ)は何と8位で1点を追加しただけ。結果、残り3戦で、シューマッハー(72点)、モントーヤ(71点)、ライコネン(70点)が各1点差の攻防を繰り広げることとなった。
またコンストラクターズランキングでは、ウィリアムズBMW(129点)が、ついに王者フェラーリ(121点)を抜きトップに躍り出た。
その他、4位ラルフ・シューマッハー(ウィリアムズBMW)、5位デイヴィッド・クルタード(マクラーレン・メルセデス)、6位マーク・ウェバー(ジャガー)、7位ヤルノ・トゥルーリ(ルノー)が入賞した。
BARホンダは、ジェンソン・バトンが10位、ジャック・ヴィルヌーヴはリタイア。ホンダGP出走250戦目に好成績は残せなかった。トヨタは、スタートでエンストしたクリスチアーノ・ダ・マッタが11位完走、オリヴィエ・パニスはリタイアした。
■勝利へのプロローグ
“鉄のカーテン”を越え東側ハンガリーでF1が初めて開催されたのは1986年。以来コーナーの多いハンガロリンクは、GPカレンダー中モナコに次ぐ“抜きにくいサーキット”として知られるところとなった。
その汚名(?)をはらすべく、今シーズン、追い越しポイントを増やす目的でコースが改修された。メインストレートが延長され、また第12コーナー部分も直線部分が伸びた。
エンジンパワーよりもマシンのトータルパッケージがモノをいうハンガリーは、ルノー「RS23」にあったコースといえる。最高速では約10km/h劣るものの、コーナーを速くまわることができるマシンで、金曜予選はトゥルーリ、そして決勝グリッドを決める土曜のクオリファイではアロンソが最速タイムを叩き出した。アロンソにとっては、第2戦での最年少記録ポールに次ぐ予選1位である。
予選2位はラルフ・シューマッハー。だがグリッド偶数列(右側)は走行ラインではないため、コースの汚れが著しく、たとえフロントローでも不利なポジションだ。
ジャガーのウェバーが健闘し3位。以下、4位モントーヤ、5位ルーベンス・バリケロ(フェラーリ)、6位トゥルーリ、7位ライコネン、8位ミハエル・シューマッハーという順。モントーヤ、ライコネン、シューマッハーと、タイトルを争う上位3者が後方に沈み、タイトルに(事実上)関係ないドライバーが前方を占めた。これが、決勝に大きな影響を与えることとなった。
■歴史はつくられた
改修された1コーナーに真っ先に飛び込んだのはアロンソ。定評あるローンチコントロールを駆使しトップに立った。
ライン外側グリッドのドライバーは、やはりスタートが思わしくなかった。なかでもウィリアムズの2台は“超”スロースタートで、ラルフは2位から8位、モントーヤは4位から9位に落ちた。ラルフは2コーナーでスピンし大きく出遅れた。
一方好スタートだったのはグリッド3番手のウェバーで、2位にジャンプアップ。これがアロンソの勝利の礎となった。ウェバーが“フタ”となり、後続のバリケロ、ライコネン、トゥルーリ、クルタード、ミハエル・シューマッハー、モントーヤらを抑える格好。その間ファステストラップを連発したアロンソは、最初の4周で10秒(!)、10周で18秒(!!)ものマージンを築きあげ、以後の展開を楽なものとした。
後続集団から抜け出したのはライコネン。7番グリッドから一気に4位にアップし、バリケロを抜き3位となり、3回のうちの最初のピットストップでウェバーをパスし2位となった。それからは同じポジションのまま孤独な走行が最後まで続いた。
スタート大失敗のモントーヤは、最初のピットストップでミハエル・シューマッハーの前に出、前方のバリケロが突如マシンを壊し1コーナータイヤバリアでクラッシュしたのを受け5位に上がり、2回目のタイヤ交換・給油でトゥルーリとウェバーを追い越し3位の座を得た。途中、4位までのぼりつめたチームメイトのシューマッハーの前でスピンしたものの、大事には至らず。前戦ドイツGPのウィナーが表彰台の最後の一角に上った。
ライバルたちが挽回していく一方で、チャンピオン、シューマッハーは大苦戦。トゥルーリ、クルタードらに鼻面を押さえられたばかりか、リーダーのアロンソには周回遅れにされる始末。これで5戦連続一度もレースでトップに立たなかったことになり、フェラーリ移籍後のワースト記録に並んだ(前回は1996年ポルトガルGP〜1997年アルゼンチンGP)。
アロンソは、誰からも勝負を挑まれず、圧倒的な速さと落ち着きで勝利を手に入れた。これで、彼の有する“最年少記録”は、「最年少完走」(19歳217日/2001年オーストラリアGP)、「最年少表彰台」「最年少ポールシッター」「最年少レースリーダー」(21歳237日/2003年マレーシアGP)、「最年少ファステストラップ」(21歳320日/2003年カナダGP)、それに今回「最年少ウィナー」が加わったことになる。それまでもっとも若いF1勝者は、現マクラーレンチームの創始者、ニュージーランド人ブルース・マクラーレン(22歳103日/1959年US GP)だった。
歴史は、まだ22歳26日のスペイン人によって、また塗り変えられた。
■王者、大ピンチ!
2003年シーズンは13戦を終え、8人もの勝者が誕生した。これは、アラン・プロストがタイトルを獲得した1985年と同じ数で、もし残り3戦で新たに3人のウィナーが加われば、1982年の11人に並ぶ大混戦の年となる。
フェラーリ「2003-GA」の劣勢が明らかないま、史上初6度目のタイトル獲得を狙うシューマッハーは、非常にきびしい戦いを強いられることになるだろう。
次戦はイタリアGP。王者フェラーリは、母国の熱狂的なファン「ティフォシ」の目前で復活を果たせるか? 決勝日は9月14日だ。
■ドライバーズランキング(16戦中13戦終了/トップ10)
1位 ミハエル・シューマッハー 72点
2位 ファン・パブロ・モントーヤ 71点
3位 キミ・ライコネン 70点
4位 ラルフ・シューマッハー 58点
5位 フェルナンド・アロンソ 54点
6位 ルーベンス・バリケロ 49点
7位 デイヴィッド・クルタード 45点
8位 ヤルノ・トゥルーリ 24点
9位 マーク・ウェバー 15点
10位 ジェンソン・バトン 12点
■コンストラクターズランキング
1位 ウィリアムズ 129点
2位 フェラーリ 121点
3位 マクラーレン 115点
4位 ルノー 78点
5位 BAR 15点
5位 ジャガー 15点
7位 トヨタ 14点
8位 ジョーダン 11点
9位 ザウバー 9点
(webCG 有吉)
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