ホンダ・シビックX4(4AT)【ブリーフテスト】
ホンダ・シビックX4(4AT) 2001.01.16 試乗記 ……224.5万円 総合評価……★★格落ち
シビック一般の評判(悪くなかった)と、今回のシビックX4を乗っての印象の間のズレが大きい。で、おそらくその要因の重要な部分として「ヨンク」という問題がある。音や振動といい、あるいは乗り心地やクルマの動きの素直さといい、どうして途端にダメになってしまうのか?
FFモデルを試していない段階でそう断言するのもナンだが、しかしFFもこのヨンクと大同小異だったらそれはそれで大問題である。きっと違うはず。
このテのヨンクは、いわゆる「生活ヨンク」。要するに雪国仕様である。「だから必要なんです。仕方ない」といわれれば必ずしも全面的には否定できない。しかし、スバルやアウディのヨンクはこういうコトにはなっていない。FFと同じぐらいイイか、あるいは明らかにありがたみが増している。そしてもちろん、ヨンクとしての実質の利得もある。シビック4WD版のように、ヨンクであることのために多大なガマンを強いられるようなクルマにはなっていない。
考えてみれば、昔からわりとそうだった。国産でいうとスバル以外の生活ヨンクがFFと較べて明らかに格落ちなのは(直結ヨンクになる昔のファミリアは雪上で楽しかった)。出せば確実に売れるから、というレベルをはるかに超えたところでの「本気のヨンク仕様づくり」。それをやってこなかったのではないか。
そういうワケで、このクラスの生活ヨンクとしては現状スバル・インプレッサ以外に推奨銘柄はない。クルマ選びに迷いが生じる余地がほとんどないという意味ではいいことだ。
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2000年9月に登場した7代目シビック。ミニバン風に変身した5ドアハッチと、保守的な4ドアセダン「フェリオ」がまずデビュー。MM思想(マン・マキシマム、メカ・ミニマム)を継承したという「スマートコンパクト」が開発テーマ。1.5リッターVTEC「リーンバーン」ユニット(105ps)をメインに据え、1.5VTEC(115ps)、1.5SOHC(105ps)、1.7VTEC(130ps)と、4種類のエンジンをラインナップ。トランスミッションは、5ドアに4ATかCVT、フェリオにはさらに5MTが用意される。FFのほか、4WDもある。
(グレード概要)
シビック5ドアの4WDモデルには、1.5、1.7リッター、2種類のエンジンが用意される。1リッターは、リーンバーンではないVTECユニット。グレード名は、それぞれ「G4」「X4」。フロアにセンタートンネルが通るため、「フロント大型センターコンソールボックス」の設定はないが、そのほかの装備は、FFモデル「G」「X」と同じ。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
全体の造形はミニバン風。伝統的な乗用車との中間あたりを狙ったのはカローラと同じだ。実質の意味がどれだけあるかは疑問だが、今はこれが売れセン。主な違いは、デザインのセンスがカローラよりも多少、若々しいこと。シフター(日本仕様はオートマのみ)をダッシュボードに置いて足元空間を、いわゆる「ウォークスルー系」にしたこと。床下をプロペラシャフトが通るヨンクであるため、床面フラットなFFモデルと違って出っ張りはあるが、コストをかけたつくり分けであるから、それはそれでエラい。
(前席)……★★
着座姿勢の違和感が希薄、という点ではカローラより上。ただし、アシのせいもあるのか、クッションが異様にカタい印象あり。というか、お尻に対する優しさに欠ける。まるでスポンジが凍えてしまっているような。走り始めてすぐ痛くなった。その点ではカローラ未満。いずれにせよ、嬉しいものではない。
(後席)……★★
明らかにカローラに劣る。というとアレだが、実はカローラの後席は、そこだけ(?)やたらとちゃんとしている。具体的には、シビックの後席は座面の角度が前下がりすぎてモモの裏側のサポートが足りない。それに、座面はもうちょっと高くにあってもいい。これだけデカい空間があるのだから、後席はそれ単体でプレジャーの発生源になるようなモノになっていないといけないと思う。
(荷室)……★★★
床面最大幅130cm、奥行き80cmと、FFモデルと変わるところのないラゲッジスペース。写真のように、リアシートはダブルフォールディング式。分割可倒式のバックレストを倒すと、奥行き147cmの荷室が出現する。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
このシビックからの新設計ユニット、しかもホンダ製、ということで期待していたが、あまりよくなかった。駆動系からのも混じっているのか、音や振動でガサついた印象。動力特性はまあ普通。特にサエてるわけでもない。4WD化による重量増加のせいかと思いきや、車重そのものはゴルフの1.6リッターFFモデルとあまり変わらない。もちろん、駆動抵抗は確実に増えているわけだが。最後の代のシビックシャトル末期にあった悲しきRV化粧バージョン「ビーグル」に載っていた1.6リッター「ZC」ユニットをちょっと思い出した。オートマ(トルコン+遊星ギア列の4段)もまあ普通。HR-V用CVTの素晴らしさを知ってしまった後では好印象特になし。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
オトコらしく固めたというよりは、やはり凍えて縮こまったような乗り心地、およびクルマの動き。その他大勢の生活ヨンクに特有のフィーリングだ。かなりムリしてよくいえば、締まっており安心感がある。しかし、雪道のような低μ路でこういうセッティングは有利なのだろうか? むしろ柔らかく接地させたほうが急激な荷重変動が生じにくくていいと思うが……。それと、思わず今は1980年代かと思ってしまったゾンビな「ポテンザRE88」タイヤにオドロク。ゴムが風化しているかのようなガサガサな乗りアジは、正直いってゴカンベン願いたい。
(写真=河野敦樹)
【テストデータ】
報告者:森慶太
テスト日:2000年11月30日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2000年型
テスト車の走行距離:4206km
タイヤ:(前)195/60R15 88H/(後)同じ(いずれもブリヂストンPotenza RE88)
オプション装備:ナビゲーションシステム+アルミホイール+前席サイドエアバッグ+サンルーフ+ディスチャージヘッドライト
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(6):山岳路(1)
テスト距離:302.4km
使用燃料:32.1リッター
参考燃費:9.4km/リッター

森 慶太
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