「土浦 昭和のくるま大集合 Vol.11」イベントリポート
2014.04.15 画像・写真2014年4月13日、茨城県土浦市にある「新治ショッピングセンター さん・あぴお」の駐車場で、旧車イベント「土浦 昭和のくるま大集合 Vol.11」が開かれた。タイトルに“昭和のくるま”とあるとおり、参加資格は1989年までに生産された国内外の四輪/三輪/二輪で、11回目を迎えた今回のエントリー車両は、6台の特別展示車両を含め200台以上。車両展示のほかに恒例となっているプログラムは、マウンテンコース、カントリーコースと2種類のコースが用意された、所要時間50分ほどのプチツーリング。昨年は強風の影響で中止となったが、今回は参加車両のおよそ半数が参加した。春のおだやかな日差しをいっぱいに浴びながら、日がな一日ドライブとクルマ談義を楽しんだイベントの様子を、写真でリポートする。
(文と写真=沼田 亨)

レッドカーペット上で紹介を受けた後にパレードにスタートする、特別展示車両の一台である1964年「プリンス・グロリア・デラックス」。東京オリンピックの際にJOC(日本オリンピック委員会)の公用車として提供されたヒストリーを持つ車両で、カタログにはないソリッドカラーのライトブルーで塗られている。
-
レッドカーペット上で紹介を受けた後にパレードにスタートする、特別展示車両の一台である1964年「プリンス・グロリア・デラックス」。東京オリンピックの際にJOC(日本オリンピック委員会)の公用車として提供されたヒストリーを持つ車両で、カタログにはないソリッドカラーのライトブルーで塗られている。
-
一般参加車両の中からも、選ばれた数台が紹介を受けた。これは1970年「日産フェアレディZ432R」。「スカイライン2000GT-R」から直6 DOHC 24バルブエンジンを移植された、形式名「S30」こと初代Zの発売当初のトップグレードであるZ432のレース用ライトウェイト仕様。ボディーの鋼板はノーマルが0.8mm厚であるのに対して0.6mm厚で、ボンネットはFRP製。フロントを除くウィンドウはアクリル製に換えられ、アクセサリーの類いは一切省かれている。
-
マウンテンコースへのツーリングに向かう、先頭から「品川5」のシングルナンバー付きの1967年「トヨタ2000GT」、2台の通称ヨタハチこと65年「トヨタ・スポーツ800」、そして73年「トヨタ・カローラ・レビン(TE27)」というトヨタのスポーツ&スポーティーカー。実はヨタハチとレビンの間にもう1台同色のヨタハチがいたのだが、隠れてしまっている。
-
きれいに等間隔で隊列を組んで走る型式名「SR311」こと3台の1968/69年「ダットサン・フェアレディ2000」と、72年「日産フェアレディ240Z-G」。この後さらにZ群が続いていたのだが、信号で途切れてしまった。
-
カントリーコースに向かう1970年「ダイハツ・コンパーノ・スパイダー」、72年「ジャガーDタイプ」(レプリカ)、そして2台の初代「日産フェアレディZ」。
-
エンジンが水冷化されて以降の2台の1973年「ホンダZ」に、83年初代「ホンダ・シティ」が続く。これまたZとシティの間に「ホンダS600クーペ」が走っていたのだが、隠れてしまった(Zのウィンドウ越しに赤いルーフがチラっと見える)。
-
1985年「トヨタ・カローラIISR」。今となっては珍しい、そして非常にコンディションのいい初代カローラII。大ヒットしたマツダの「FFファミリア」の対抗馬として、トヨタが82年に急きょリリースした2代目「ターセル/コルサ」の兄弟車。中身は初代ターセル/コルサからほぼ受け継いでおり、エンジン縦置きFFだった。
-
ランデブー走行する型式名「SA22C」こと初代「マツダ・サバンナRX-7」。グレードは2台ともターボを装着した後期型の1983年「ターボGT-X」。
-
美しく仕上げられた1962年「トヨペット・クラウン1900デラックス」。観音開きドアを持つ初代クラウンの最終型で、型式名「RS31」。1.9リッター直4 OHVエンジンを積む。
-
オリジナルの姿を保った1971年「日産グロリア」。プリンスが日産に吸収合併された後の67年に登場した、旧プリンス設計の3代目グロリアの最終型。
-
1960年「日野ルノーPA」。日野でライセンス生産していた「ルノー4CV」の、「京5」というシングルナンバーを付けた希少な個体。日野製ルノーというとナス紺や小豆色などの印象が強いが、サンドベージュは珍しい。おフランス風でいい感じざんす。
-
「埼5」のシングルナンバーの付いた、ワンオーナーの1967年「スバル1000」。水平対向エンジンによるFFを採用、今日へと続くスバルのクルマづくりの原点となるモデルだが、偶然後ろに年の離れた弟とでもいうべき2代目「インプレッサ」が走っている。
-
これも「茨5」のシングルナンバー付きの1967年「プリンス・スカイライン2000GT-A」。1.5リッター直4エンジンを積んだファミリーカーだった2代目スカイラインのノーズを延ばし、「グロリア」用の2リッター直6 SOHCエンジンを押し込んだ初代スカGの最終型。
-
とてもコンディションのいい1975年「メルセデス・ベンツ280」。俗に「タテ目コンパクト」と呼ばれる、68年に登場した、今日の「Eクラス」の元祖となるモデルの最終型の高級グレード。
-
リペイントされているが、オリジナルと同じ色目というバーガンディーのボディーが美しい1970年「ポルシェ911T」。2.2リッター時代のナロー・ポルシェである。
-
1964年「日野コンテッサ1300スタンダード」。残存するコンテッサ1300のなかでも珍しい、最初期型のスタンダード仕様。本来はシングルヘッドライトだったはずだが、現オーナーが入手した時にはすでにデュアルに換装済だったという。
-
新車以来の「8埼」ナンバー付きの1971年「スバルR-2」。空冷エンジンを積んだR-2の中期型だが、ポルシェでいうバハマイエロー、日産でいうサファリブラウンに近いボディーカラーはオリジナル色。
-
1975年「トヨペット・コロナ・マークIIGSS」。72年に登場した2代目マークIIの、2リッター直4 DOHCエンジンを積んだ最強モデル。どことなく、当時のモパー(クライスラー)のマッスルカーを縮小したような雰囲気を持つ。
-
1988年「日産サニー・カリフォルニア」。直線と平面基調のスタイリングに回帰し、「トラッド・サニー」を標榜した6代目サニーのワゴン。昭和最後のサニーであり、その歴史において最後の輝きを放ったモデルといえる。
-
1989年「日産シルビア・コンバーチブル」。デートカーとして、そして走りに適したFR車として、硬軟双方のファンから愛された型式名「S13」こと5代目シルビアの、オーテックジャパン製コンバーチブル。
-
1978年「スバル・レオーネ1600GL」。72年にまず2ドアクーペから登場した、スバル1000系の後継モデルとなる初代レオーネの最終型セダン。ちなみにレオーネのデビュー当初のキャッチフレーズは「野生の響き」で、昨年亡くなった歌手の尾崎紀世彦がイメージキャラクターを務めていた。
-
1986年「三菱ギャランΣハードトップ」。3代目にして最後となったΣのハードトップ。80年代の三菱車に共通することだが、リアフェンダーがタイヤにかぶったスタイリングは、どことなくルノーやシトロエンなどのフランス車に通じる雰囲気だ。
-
1987年「トヨタ・マークIIハードトップ2000GTツインターボ」。ハイソカーブームに乗ってバカ売れしたマークII史上最大のヒット作であり、昭和末期を代表する日本車の一台といえる「クリスタルピラーのマークII」のトップグレード。しかも純正アルミホイールを履いたフルオリジナル仕様。
-
1989年「日産ローレル・スピリット」。「セドリック」やローレルなど中・大型車が主力だった日産モーター店専売モデルとして、82年に誕生した「サニー」の姉妹車。これは2代目にして最後の世代で、通称トラッド・サニーこと6代目サニーの4ドアセダンをローレル風に装っている。
-
1987年「ボルボ780」。2.8リッター直6エンジンを積んだ、当時のボルボのフラッグシップだったセダンの「760」をベースに、ベルトーネが2ドアクーペボディーを架装したパーソナルカー。日本での新車価格は1000万円前後という高額なもので、バブル期とはいえさすがに少数しか売れなかったはず。
-
1976年「MGB」。1.8リッター直4 OHVという平凡なエンジンなのに、ボンネットを開けているのを不思議に思ってのぞきこんだら、なんとスーパーチャージャーが装着されていた。スーパーチャージャーは80年代の「トヨタ・クラウン」用で、改造作業は部品製作を含めすべてオーナー自身が行ったという。「けっこう速いよ。150psくらいは出てるんじゃない?」とのことだった。
-
「山形4」というシングルナンバーを付けた1957年「ダットサン123型トラック」。乗用車の「ダットサン110型」と共通のシャシーを持つ750kg積みのトラック。エンジンは戦前に設計されたサイドバルブの860ccで、最高出力は25psしかない。商用車マニアのオーナーいわく「とにかく非力で、最適な巡航速度は40km/h前後」とのこと。
-
「ダットサン123型トラック」の荷台にオーナーが積んできたバイクモーター(エンジン付き自転車)。手前が1954年「トヨモーターT9型」89ccで、その名のとおりトヨタ系列のメーカー「トヨモータース」の製品。奥が55年頃の「マルウチ号」で、エンジンは49cc。
-
写真5枚目で紹介した「ダイハツ・コンパーノ・スパイダー」にはテン製の8トラック・カーステレオが装着されており、ダッシュ下の棚には4本のカートリッジテープがあった。上左からピンクレディー、森 昌子、青江三奈、下がフィンガー5。デビュー直後にそこらの公園で撮られたような、安さ爆発のピンクレディーのパッケージ写真が泣かせる。いずれもテープが伸びてピッチは不安定なものの再生可能で、このアナログ感こそ、まさに昭和の響き!
-
200台以上の「昭和のくるま」が集まった会場全景。