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キーワードは“愛”! 新型「マツダCX-5」はどのようなクルマに仕上がっているのか?

2025.11.14 デイリーコラム 内田 俊一
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2025年7月に概要が発表され、「ジャパンモビリティショー2025」にも実車が出展された新型「マツダCX-5」。今やマツダの世界戦略を担う存在となったミドルサイズのSUVの、3代目に込めた思いを開発責任者に聞いた。

愛が込められたクルマ

新型マツダCX-5の開発を主導した山口浩一郎さんは、このクルマを世に問うにあたっての思いを、「とにかく日々の生活で使い続けて、愛着を持って長く乗っていただきたい。それだけ」と語る。「それは、もしかしたらスポーツカーでもいいのかもしれないが、ライフスタイルの変化なども含めて、アフォーダブルに使い続けることができて、愛着を持てる。そういうクルマを目指した」という。

山口さんはこんなエピソードを披露してくれた。「昔、『RX-8』のボンネットの設計を担当したのだが、それが生産中止になった後に、あるユーザーさんからお手紙をいただいた。その方が子供の頃、お父さんがロータリーの『カペラ』に乗っていて、ボディーカラーはグリーンだった。それが大好きで、廃車するときに泣いてしまったと。その後大人になって、絶対にこれが欲しいとRX-8のグリーンを買ったそう。それから14年がたち、廃車したときにディーラーで『これまで守ってくれてありがとう』という気持ちになり、また泣いてしまったと書いてあった。まさに使い続けて愛着を持ってもらって、人生の一部になっている。この人の場合はたまたまRX-8だったが、今日のマツダで一番のボリュームゾーンにあるCX-5で、そういった“人生の一部になるようなクルマ”をつくりたいと思っている」。

つまり新型CX-5には、山口さんの考えるクルマへの愛着を喚起する要素、愛されるクルマとなるための要素が込められているのだ。

「ジャパンモビリティショー2025」の会場に展示された、新型「マツダCX-5」(欧州仕様)。
「ジャパンモビリティショー2025」の会場に展示された、新型「マツダCX-5」(欧州仕様)。拡大
新型「CX-5」のリアクオータービュー。外装の意匠は、従来型のイメージを色濃く受け継いでいる。
新型「CX-5」のリアクオータービュー。外装の意匠は、従来型のイメージを色濃く受け継いでいる。拡大
マツダ商品開発本部で主査を務める山口浩一郎さん。
マツダ商品開発本部で主査を務める山口浩一郎さん。拡大
マツダRX-8(2003-2013年)
マツダRX-8(2003-2013年)拡大
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ドライバーと親和する走り

では一番愛を感じさせてくれるのはどこだろう? 山口さんいわく、「カッコいいとか刺激があるとか、そういうところではなく、室内の居心地のよさ。もちろん使いやすさもあるが、乗ってホッとして、自分とマッチする。自分をクルマが理解してくれている。そういうところはポリシーとして突き詰めた」という。そうしたこだわりは走りにも込められており、「軽やかで安心感があって気持ちよく走る。切れのいいハンドリングとか、大馬力でトルクがあるとかいうよりも、気持ちよく走れるというキャラクターにものすごく注力した」とのことだ。

山口さんが、自身の手になるクルマの走りに自信を持つのには、バックグラウンドがある。もともと山口さんはボディー設計の担当だったところから、開発の副主査などを務めて現在に至る。つまり、自動車のボディーとはどうあるべきかを熟知した人なのだ。さらには筋金入りのクルマ好きで、マイカーは「RX-8と『RX-7カブリオレ』というロータリー2台持ち」とのこと。いっぽうで「SUVは所有したことがない」と笑う。「SUVはロールを嫌って足を固めるので、乗り心地が悪い」というのだ。もちろん、CX-5はそこを意識して開発しており、「今回はセダン乗りの方にも『これいいじゃん』と感じてもらえる動きのクルマができた。普通の方が普通に乗って、『なんでこんなに気持ちいいの?』となる、すっきりした走りに期待してほしい」と自信をみせた。

ワイド感を強調する、横基調のインストゥルメントパネルが目を引くインテリア。大画面のセンターディスプレイは上級グレードの装備となるようだ。
ワイド感を強調する、横基調のインストゥルメントパネルが目を引くインテリア。大画面のセンターディスプレイは上級グレードの装備となるようだ。拡大
新意匠の液晶メーターに、ステアリングホイールのスイッチパネル等、各インターフェイスは従来型から大きく変わっている。
新意匠の液晶メーターに、ステアリングホイールのスイッチパネル等、各インターフェイスは従来型から大きく変わっている。拡大
シートの設計やハンドル、ペダルの位置などが吟味された自然なドライビングポジションは、初代「CX-5」を起源とするSKYACTIV世代のマツダ車に共通する美点だ。
シートの設計やハンドル、ペダルの位置などが吟味された自然なドライビングポジションは、初代「CX-5」を起源とするSKYACTIV世代のマツダ車に共通する美点だ。拡大

「CX-60」とのすみ分けは?

CX-5を見ながら気になることがあった。それは「CX-60」とのすみ分けだ。山口さんは、「全長はCX-60よりも50mm短いにもかかわらず、リア席は50mm広い。CX-60の特徴は直6エンジンの設定と後輪駆動ベースのプラットフォームで、そこに空間とお金をかけている。そうしたものに価値を見いだすお客さまは、CX-60を。それよりもファミリーで使う、後席もよく使うというお客さまはCX-5を買っていただきたい」と説明する。

またコンセプトも大きく違う。「CX-60は加飾などに本物の素材を使っており、より上質かつ高級志向で、メッキなどがきらびやかな印象。いっぽうCX-5にメッキはあまりなく、そのぶんシンプルでクリーンながら、どこか居心地がよく操作がしやすいというイメージ。言い換えると取っ付きやすいという感じ」と述べた。

山口さんが言うような走りと機能性を本当に実現できているのなら、まさに家族のためのグランドツアラーといえるだろう。その高い志を「言う言う詐欺」と山口さんは自嘲していたが、クルマに込めた思いは相当に熱い。実車に触れられるのが、今から楽しみで仕方ない。

(文=内田俊一/写真=内田俊一、webCG/編集=堀田剛資)

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2022年に登場した「CX-60」。車格的には「CX-5」とオーバーラップしているが、プラットフォームやパワートレインの設定などは、大きく異なる。
2022年に登場した「CX-60」。車格的には「CX-5」とオーバーラップしているが、プラットフォームやパワートレインの設定などは、大きく異なる。拡大
後席は、従来型よりヒザまわりの前後長を64mm拡大。ドアも大きくなり、Cピラーをほとんど意識せずに乗降できるようになった。
後席は、従来型よりヒザまわりの前後長を64mm拡大。ドアも大きくなり、Cピラーをほとんど意識せずに乗降できるようになった。拡大
荷室は従来型より奥行きが45mm拡大。荷室高も30mmアップし、クラストップの寸法を実現したという。
荷室は従来型より奥行きが45mm拡大。荷室高も30mmアップし、クラストップの寸法を実現したという。拡大
マツダR&Dセンター横浜にて、新旧「CX-5」(写真右が新型、同左が従来型)。3代目は初代・2代目と同じく人気モデルとなれるのか? 要注目である。
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