アルファ・ロメオ・ジュリエッタ クアドリフォリオ ヴェルデ ローンチエディション(FF/6AT)/クライスラー300 SRT8+(FR/5AT)
そのアツさ、適温 2015.02.18 試乗記 歴史の異なる伊・米の5ブランドを束ねるFCA。その最新ラインナップの中から、個性的な4台をチョイス。冬季ドライブにおけるインプレッションを報告する。まずは、ホットな走りをうたう、アルファ・ロメオとクライスラーの2台から。新たな“オラオラ系” ―― アルファ・ロメオ・ジュリエッタ クアドリフォリオ ヴェルデ ローンチエディション
FCAと聞いて最初は「赤坂または足立区を本拠とする新たなサッカーチームか?」と思ってしまった筆者だが、言うまでもなくFCAとは「FIAT CHRYSLER AUTOMOBILES」のことだ。その日本法人たるFCAジャパンが主催する冬季フルライン試乗会は、「アルファ・ロメオ・ジュリエッタ」の最新限定車「クアドリフォリオ ヴェルデ ローンチエディション」という長い名前の一台を試乗することから始まった。
ご承知のとおりジュリエッタとしては最強の1.7リッターエンジンを搭載するクアドリフォリオ ヴェルデ(以下QV)は、一時期カタログから姿を消していた。しかしこのたび、22kgの軽量化と前期QV比で+5psの高出力化を果たした“「アルファ・ロメオ4C」とまったく同一のエンジン”を得て再登場したわけだ。また、これまで日本仕様のQVはトランスミッションが6MTだったのに対し、今回のQVはツインクラッチ式変速機であるTCTになっている。
そして今回試乗する「ローンチエディション」は世界限定500台、日本では50台のみとなる限定仕様で、その最大の特徴はジュリエッタとしては初のつや消し色である「マットマグネシウムグレー」を採用したこと。そのほか、前述のつや消し色と視覚的な相性の良い、ダークグレー仕上げの専用18インチアロイホイールを装着し、ちょいスポーティーな印象となるフロント/リアスポイラーおよびサイドスカートの「エアロパッケージ」も標準搭載。で、ついでにドアミラーとリアルーフスポイラーにはカーボン製のものを採用している。
要するに、イタリア人女性の名前と同じ車名を持つ、本来はおしとやか系というか色っぽい系のクルマであるはずのジュリエッタの、ややオラオラ系なバージョンがこのローンチエディションである……ということになるだろう。
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アルファの「演出の妙」
では早速アルファ・ロメオ・ジュリエッタ QV ローンチエディションで北へ向かおう。新生QVの中でみなさまが最も興味があるであろう「4Cと同じエンジン」とは、果たしていかなるものなのか? 各所を爆走(?)してみたうえでの結論を申し上げると、「これまでのQVとそんなに大きくは変わらない」と不肖筆者には感じられた。
考えてみればエクストラパワーを獲得したといっても235psが240psになったという話であり、335psとかになったわけではない。22kg軽量化されたという点を含め、筆者程度のアマチュアにとっては「誤差の範囲」なのだ。
もちろん、人によってはアマチュアであってもこの微妙な差を知覚することはできるのだろう。しかし少なくとも筆者にとっては、4Cと同じエンジン+TCTとなった新しいQVは、「いつものQV」であった。つまり、往年のアルファと比べるといろいろ言いたいこともあるが、昨今のエココンシャスな世の中にあっては健闘してる部類に入る、ということだ。それゆえ旧QVにお乗りの方が新QVに対して妙に卑屈になる必要はないし、またこれからQVを買おうと思っている人も、後顧の憂いなく「4Cと同じエンジン」を選べばよいと、そういうことである。
健闘といえば、新QVにははやりの「サウンドジェネレーター」が搭載され、結構スポーティーなエンジンサウンドを頑張って演出している。そのサウンドは当然だがアクセルワークなどと完全にシンクロするため、実は運転者はあまり意識することがない。自分の心理や行為とシンクロしているしているため、ある意味、「聞こえてこない」のだ。しかし助手席や後席では「コオオオーンッ」というなかなかの快音が心地よく耳に響く。「アルファオーナーとしての矜持(きょうじ)」のようなものをパッセンジャーにアピールするうえでは、なかなか有効な装置といえるだろう。
雪道でも怖くない ―― クライスラー300 SRT8+
今回のFCAジャパン冬季フルライン試乗会でwebCGチームが試乗したのは、往路の東京~軽井沢間で乗った前述のアルファ・ロメオ・ジュリエッタ QVのほかに「フィアット・パンダ4×4」と「ジープ・グランドチェロキー ラレード」もあるのだが、 それら四駆系は後半に回し、ここでは復路で試乗した「クライスラー300 SRT8+」について報告しよう。イタリアン・ホットハッチ対アメリカン・マッスルカーの異種格闘技戦である。
クライスラー300というクルマについてざっとおさらいをすると、現行型の登場は2012年12月。新生クライスラーのフラッグシップサルーンであり、通常モデルは可変バルブタイミング機構付きの3.6リッターV6 DOHCエンジンにバイワイヤ式8段ATという組み合わせ。それでもまずまずパンチの利いたモデルなわけだが、SRT8+は伝統の6.4リッター「HEMI」V8 OHVを搭載するいわゆるマッスルカーだ。
トランスミッションはひたすら男らしい5段ATで、最高出力は472ps。……それを、この雪の白馬で運転しろと? 松竹梅でいえばせいぜい竹レベルのドライバーでしかないわたしが? ……まぁよござんす。乗りかかった船というか乗りかかったマッスルカーだ、最悪の場合でも雪壁に軽くぶつけてFCAジャパンに土下座する程度で済むはずゆえ、乗ったろうじゃありませんか!
と、鼻息あらく出発したクライスラー300 SRT8+と竹ドライバーだったが、その圧雪路における運転は思いのほか楽勝で、竹ドライバーはなんの不安もなく、ほとんど鼻歌まじりで白馬の細き雪道を行くのだった。いやもちろん、ここでHEMIエンジンの「本気」を出してしまうとひどいことになるのだろうが、「急がつく動作はしない」という雪道の基本を愚直に守るだけで、このマッスルカーは簡単に雪道を制することができる。意外と……といっては失礼だが、300 SRT8+というのはかなり好バランスなクルマでもあるのかもしれない。
「居心地の良さ」が魅力
難所と思えた白馬のスノーセクションを経て、クライスラー300 SRT8+はいよいよターマックのハイスピードセクションに入る。まぁ簡単に言うと「高速道路を走りました」ということだ。
正直申し上げて筆者はマッスルカーには全然詳しくない。それゆえ、マッスルカーというのはひとたびアクセルを床まで踏みつければ、映画『マッドマックス』で悪役が乗っている何らかの暴走マシンのように、即座に鬼のような加速を開始するものと思っていた。まぁマッドマックスはアメリカではなくオーストラリアの映画なんですが。
それはさておき、実際のマッスルカーの加速はどうだったか?
……意外にも穏やかであった。いやもちろん、最終的にはマッドマックス的な鬼加速をSRT8+は披露する。しかし最新の欧州ハイパフォーマンスカーのように「全開にするやいなや」ではないのだ。ドライバーがアクセルを踏み込むと、SRT8+は以下のニュアンスで対応する。
「……本当に行くの? じゃ、ちょっと待ってね。え~と、う、う……うおおおおおおおおおりゃああああああ!」
これが、SRT8+である。もちろん実際の「ちょっと待ってね」はこれほど悠長なものではなく、ほんの1.5秒ぐらいのものだ。しかしその1.5秒が、筆者にはとてつもなく愛(いと)おしく感じられた。
「まぁそう焦りなさんなって」とクルマに諭されているような、生き馬の目を抜く外資系投資銀行から田舎のアットホームな信用金庫に転職したかのような、そんな居心地の良さというかアナログ的快感が得られたのだ。比較的高性能なヨーロッパ車にばかり乗っていた筆者が初めて「あ、アメ車の良さってコレなのかも?」と真剣に思えた瞬間だった。
ジュリエッタ QVとはまるで異なる種類の、しかし本質的にはさほど変わらぬドライビングプレジャーが、クライスラー300 SRT8+の中には確かに存在したのだ。
(後編につづく)
(文=伊達正行/写真=高橋信宏)
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テスト車のデータ
アルファ・ロメオ・ジュリエッタ クアドリフォリオ ヴェルデ ローンチエディション
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4350×1800×1460mm
ホイールベース:2635mm
車重:1440kg
駆動方式:FF
エンジン:1.7リッター直4 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:6段AT
最高出力:240ps(177kW)/5750rpm
最大トルク:34.7kgm(340Nm)/2000rpm
タイヤ:(前)225/40R18 92V/(後)225/40R18 92V(ピレリ・ウィンター ソットゼロ3)
燃費:10.8km/リッター
価格:459万円/テスト車=463万2120円
オプション装備:メーカーオプションなし ※以下、販売店オプション オリジナルETC車載器(1万2960円)/フロアマット(2万9160円)
テスト車の年式:2014年型
テスト開始時の走行距離:833km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター
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クライスラー300 SRT8+
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=5090×1905×1485mm
ホイールベース:3050mm
車重:2020kg
駆動方式:FR
エンジン:6.4リッターV8 OHV 16バルブ
トランスミッション:5段AT
最高出力:472ps(347kW)/6100rpm
最大トルク:64.3kgm(631Nm)/4150rpm
タイヤ:(前)245/45R20 103V/(後)245/45R20 103V(ピレリ・スコーピオン ウィンター)
燃費:5.9km/リッター(JC08モード)
価格:692万2800円/テスト車=696万5784円
オプション装備:メーカーオプションなし ※以下、販売店オプション ETC車載器(1万584円)/フロアマット(3万2400円)
テスト車の年式:2014年型
テスト開始時の走行距離:1万999km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター
参考燃費:--km/リッター

谷津 正行
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