珠玉のフェラーリが集結! 「コッパ・フィオラヴァンティ」の会場から
2016.03.22 画像・写真2016年3月13日、愛知県名古屋市に本社を置く陶磁器メーカー、ノリタケカンパニーリミテドの工場跡地に作られた複合施設であるノリタケの森で、「コッパ・フィオラヴァンティ」が開かれた。これは同じく名古屋市内にあるギャラリー、アウトガレリア・ルーチェで開催中の企画展「フェラーリを愛した男、伝説のデザイナー レオナルド・フィオラヴァンティ」に合わせて来日した、レオナルド・フィオラヴァンティ氏を審査委員長に迎えて実施されたコンコルソ・デレガンツァ(コンクール・デレガンス)である。
1938年生まれのフィオラヴァンティ氏は、63年にピニンファリーナに入社。以後88年に退社するまでに「ディーノ206GT」や「308GT」「288GTO」「365GT4 BB」「テスタロッサ」「F40」などのフェラーリをはじめとする多くの名車を手がけ、現在も自らの会社で現役デザイナーとして活動する、まさに“リビング・レジェンド”と呼ぶにふさわしい人物だ。
クラシックな赤レンガ造りの建物が残る、名車にふさわしいロケーションに集まった、コンコルソ・デレガンツァの参加車両は57台。内訳はクラスA(ディーノ206/246GT)が9台、クラスB(フェラーリ208/308/328GT)が22台、クラスC(フィオラヴァンティが手がけたクラスA、B以外のフェラーリ)が15台、クラスD(フェラーリ以外のフィオラヴァンティ在籍当時のピニンファリーナのデザイン車両)が8台、クラスS(賞典外の特別車両)が3台。それらをフィオラヴァンティ氏以下6名の審査委員が、エクステリア、インテリア、エンジン、オリジナリティー、そしてアフェクション(オーナーの愛情度)の5項目にわたって審査した。その会場から、参加車両を中心に紹介しよう。(文と写真=沼田 亨)
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1/25明治に建てられ、1975年まで稼働したという赤レンガ造りの元工場を背景に並んだ1978年「フェラーリ308GTS」(左端)と3台の「308GTB」。
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2/25新車以来のワンオーナーでフルオリジナル、走行1万km未満という1989年「フェラーリ328GTB」。レンズ類などにも経年劣化がほとんど見られず、新品と見まごうほどだった。
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3/251981年「フェラーリ308GTBエボルツィオーネ」。カタログモデルではないが、オーナーいわくメーカー製のスペシャルという個体。ノーマルと違い、大きなエアダムスカートが付いたボディーの鋼板が薄く車重はFRPボディーの初期型308GTBより軽量で、ホイールが標準の14インチともオプションの16インチとも異なる15インチになっている。エンジンはハイリフトカムやハイコンプピストンが入っていて、高回転域の回りかたが違うとのこと。前に置かれた子供用の308は、「フェラーリF12」の電動カーをベースにオーナー自ら改造したスペシャル。
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4/251982年「フェラーリ208GTBターボ」。かつての日本のように2リッター以上の自動車税が高額だったイタリア国内用に作られた、「308」の3リッターV8 DOHCエンジンを2リッターに縮小したモデルが「208GTB/208GTS」。それのパワー不足を補うためにターボ化した仕様がこちらで、最高出力は155psから220psに増強された。
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5/251976年「フェラーリ308GTB」。75年にデビューした308GTBの、初期のFRP製ボディーを持つモデル。リアのナンバープレートを装着する部分のパネルが、スチールボディーでは凹型にプレスされているのに対し、FRPボディーはフラットなままである。
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6/25偶然ながらこの列に並んだモデルの多くが受賞した。手前から1985年「フェラーリ288GTO」はCクラス優勝、89年「328GTB」はBクラス優勝、そして77年「308GTB」はベスト・オブ・ショー、73年「ディーノ246GT」はコーンズ賞をそれぞれ獲得。
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7/25前述したようにCクラスで優勝した1985年「フェラーリ288GTO」。「308GTB」に似せてはいるが、ほとんど別物の車体にランチアのグループC用2.8リッターV8 DOHCツインターボエンジンを搭載した、グループBホモロゲーションモデル。後端が反り返ったダックテールとサイドのスリットは往年の「250GTO」へのオマージュ。
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8/25特別賞であるアウトガレリア・ルーチェ賞を受けた1973年「フェラーリ365GT4 BB」。4.4リッター180度V12 DOHCエンジンを搭載した、12気筒フェラーリ初のミドシップモデル。この個体は、車台番号からするとBB(ベルリネッタ・ボクサー)の生産1号車だという。
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9/251972年「フェラーリ365GTC/4」。2+2ボディーに、同時代の2座ベルリネッタである「365GTB/4デイトナ」よりおとなしいチューンの4.4リッターV12 DOHCエンジンを積んだモデル。Cクラス2位を獲得。
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10/25前出の「365GTC/4」の後継モデルとなる1975年「フェラーリ365GT4」。エッジのきいた2ドアセダン風ボディーが印象的だが、76年に登場したマイナーチェンジ版の「400GT」にはフェラーリ初となるAT仕様も用意された。
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11/25クラスAで優勝した1972年「ディーノ246GTS」。審査時にフィオラヴァンティ氏から「(本来の姿とは異なる)北米仕様で、この色は私の意図したものではない」と評されただけに、受賞は意外だったとオーナー氏は語っていた。
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12/251969年「ディーノ206GT」。アルミボディーに2リッターV6 DOHCエンジンを搭載、生産台数152台といわれる希少車。「250GT」以降の量産型フェラーリでは、5ナンバー規格に収まる唯一のモデルである。
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13/251972年「フェラーリ365GTB/4デイトナ」。96年に「550マラネロ」が登場するまで、最後のFRフェラーリとなっていたモデル。デイトナの愛称は、67年のデイトナ24時間で2台の「330P4」と1台の「412P」が、横1列に並んで1-2-3フィニッシュをキメたことにちなむ。特別賞であるフェラーリ・ジャパン賞を獲得。
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14/25フィオラヴァンティ氏がピニンファリーナ在籍中に手がけた最後のモデルとなる1989年「フェラーリ348tb」と95年「348スパイダー」。
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15/251991年(左)と88年(右)の「フェラーリ・テスタロッサ」。84年にデビューした「BB」の後継モデルだが、7000台以上も作られ、当時のスーパーカーとしては異例のヒット作となった。
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16/25Dクラスで優勝した1967年「フィアット・ディーノ・スパイダー」。量産エンジンをベースとするF2用エンジン規定を満たすため、フェラーリが開発したV6を量産すべく生まれたモデル。「ディーノ206GT」用をデチューンしたDOHC 2リッターV6を搭載。
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17/25特別賞であるフィオラヴァンティ賞に輝いた1978年「ランチア・ガンマ・ベルリーナ」。フィオラヴァンティ氏が学生時代から提唱し、67年のトリノショーに出展されたコンセプトカーである「BMCエアロディナミカ」で具体化され、「シトロエンGS」や「CX」などにも影響を与えた空力ボディーをまとったアッパーミドル・サルーン。
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18/25これも特別賞であるガレリア・アミカ賞が授与された1973年「プジョー504カブリオレ」。かつてプジョーのプロダクションモデルはピニンファリーナがスタイリングを手がけており、実用サルーンをベースとするシャレたカブリオレとクーペもラインナップされていた。
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19/25オーナーの説明に耳を傾けながら、1976年「フェラーリ308GTB」を審査中のフィオラヴァンティ氏。御年78になるが、予定されていた2時間をオーバーする間、まったく休憩なしで審査に没頭。それ以外にも開会のあいさつから入賞者の表彰、次から次へとねだられるサインや記念撮影への対応と、朝10時前に来場してから16時過ぎの閉会まで、ほとんど動きっぱなし。その集中力と体力、そして周囲への心配りには脱帽。
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20/25審査中のフィオラヴァンティ氏。一台一台、細にわたってチェックし、そして数メートル離れた場所からも全体像を眺め、時に手で触って状態や質感を確かめていた。
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21/25特別賞であるコーンズ賞が授与された1973年「ディーノ246GT」。オーナーは70年代から80年代にかけ、20代の若さで「フェラーリ365GTC」と「365GTB/4デイトナ」そして「ランボルギーニ・ミウラSV」を乗り継いだ伝説を持つ、知る人ぞ知る女性。このディーノは亡きご主人がイタリアで新車を購入したもので、未再生である。
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22/252005年「フェラーリ・スーパーアメリカ」。ピニンファリーナを辞した後、フェラーリ、フィアットを経て独立したフィオラヴァンティ氏がデザインに関わった、最後のフェラーリのカタログモデル。格納式グラスルーフのシステムは氏の特許だそうだ。特別賞であるフェラーリ・ジャパン賞を獲得。
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23/25ベスト・オブ・ショーに輝いた1977年「フェラーリ308GTB」。ボロボロの状態から新車のような輝きを放つまでに仕上げた、オーナーの情熱が評価され受賞した。
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24/25表彰式が行われた施設内のレストランのシェフからフィオラヴァンティ氏に、会社のロゴをかたどったケーキがサプライズとしてプレゼントされた。それを受けてフィオラヴァンティ氏は、早速「指ですくってペロッとなめちゃおうかな~」とおちゃめなジェスチャー。写真中央は、通訳を務めた女性。
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25/253台の「フェラーリF40」、その前には「スーパーアメリカ」や「365GTB/4デイトナ」が縦列駐車(?)した、ぜいたくな図。