クルマ好きなら毎日みてる webCG 新車情報・新型情報・カーグラフィック

高齢者による事故が激減する!?
最近話題の「サポカー」ってどんなもの?

2017.09.20 デイリーコラム 高山 正寛
【webCG】クルマを高く手軽に売りたいですか? 車一括査定サービスのおすすめランキングを紹介!

サポカー=サポートカー?

最近、メディアを中心に見聞きする機会が増えてきた「サポカー」。その語感から「サポートカー」とか、(多分)そういう言葉の略称だろうと思っている人が多いのではないだろうか。かく言う筆者も初めてこの言葉に触れた時の印象はそんな感じだった……。見たり聞いたりした人が、こういう印象を抱いたのであれば、そのネーミングに関しては、まずは成功と考えてもいいのではないだろうか。

別に政府の肩を持つわけではないが、こういう制度や愛称の類いは普及のためにも聞いてすぐイメージできることが重要。ゆえに経済産業省や国土交通省などが何度も会議を重ねて策定したわけだ。

話を戻すとサポカーは「安全運転サポート車」つまり「セーフティー・サポートカー」を短くしたもので「自動ブレーキ」や「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」などの先進安全技術を搭載した車両の普及啓発を行うために付けられた愛称ということになる。

そもそもこの取り組みが行われることになった大きな理由はやはり“高齢化”である。人口減少とともに年齢構成における高齢者の比率が増えていくことはわかりきっている一方で、それによる社会保障費や介護負担の増大なども懸念されている。そしてクルマの世界にもこの高齢化が大きな影を落としている。それが高齢者による交通死亡事故の増加である。

関係各省が発表したデータによれば、75歳以上の運転免許保有者は年々増加しており、平成27年度には約477万人、平成30年度末には532万人に達するという予測が出ている。その一方で昨今、話題になっているブレーキペダルとアクセルペダルの踏み間違い、さらにハンドルの操作不能、これらをまとめて「操作不適」と呼ぶが、75歳以上の高齢者による死亡事故の要因はこれが一番多いのである。

つまり“増え続ける高齢ドライバー”と“事故の要因が操作不適”。これらを減らすためにも先進安全装備の普及啓発が重要。これがサポカーの大きな狙いのひとつなのである。

トヨタが7月に発売した新型「カムリ」は、歩行者にも対応した自動ブレーキやレーンキーピングアシスト、オートハイビームを備えており「サポカーSワイド」に分類される。
トヨタが7月に発売した新型「カムリ」は、歩行者にも対応した自動ブレーキやレーンキーピングアシスト、オートハイビームを備えており「サポカーSワイド」に分類される。拡大

高齢者に推奨されるサポカーS

少し前置きが長くなったが、それだけ事態は深刻ということだ。サポカーによる啓発活動は、高齢者も含めたドライバーに先進安全装備に対して興味を持ってもらい、どの程度安全性が向上するのかも理解してもらう目的がある。

セーフティー・サポートカーは、すべてのドライバー向けの「サポカー」と高齢ドライバーに推奨される「サポカーS」に大別される。まずサポカーとは自動ブレーキが搭載された車両のこと。交通事故の防止や被害軽減の効果が期待できる。

そしてこれに高齢者向けの安全運転をサポートする機能をプラスしたものがサポカーSということになる。

ただ、ここからが少し複雑だ。このサポカーSはその搭載機能によって3つに分けられる。

まず「ベーシック」は作動速度が30km/h以下に限られる、低速自動ブレーキ(対車両)が搭載されているもの。

次に「ベーシック+(プラス)」はベーシックよりも強力な、30km/hの枠を超えた自動ブレーキ(対車両)が搭載されているもの。

そして「ワイド」は車両だけでなく、対歩行者でも作動する自動ブレーキ、車線逸脱警報(車線維持支援機能も可)、先進ライト(自動切り替え前照灯、自動防げん型前照灯、配光可変型前照灯など)を搭載した車両のことをいう。

そして3つ全てに共通して搭載されるのが「ペダル踏み間違い加速抑制装置(マニュアル車は除く)」である。

マツダが2017年12月に発売予定の新型車「CX-8」も、すべてのグレードが「サポカーSワイド」に該当する。
マツダが2017年12月に発売予定の新型車「CX-8」も、すべてのグレードが「サポカーSワイド」に該当する。拡大

使う側の理解も必要

すでに今回このサポカーをひと目で理解できるようにロゴの作成、自動車関連団体や企業への協力依頼、自動車ディーラーなどでの体験機会を拡大するなどして普及活動は始まっているが、注意しなければいけないのが、これは性能評価を目的としたものではないということ。

自動車メーカーは2020年までにほぼすべての新車(乗用車)に、前述した「自動ブレーキ」および「ペダル踏み間違い加速抑制装置」を標準装備またはオプション設定する方向で動いている(装着率の目標は9割以上)。

これ自体は素晴らしいことだが、結局のところどんな優れた機能でも使う側の人間が理解しなければ意味がない。

特にサポカーSに搭載される先進機能は、各自動車メーカーによって名称も異なるし、機能にも微妙な差がある。どれが優れているとかではなく、こういう表現の部分でもある程度は統一すべきではないかと感じている。

事実、先行して搭載が拡大している車両安定デバイス(横滑り防止装置)も「ESP」「VSC」「VSA」など、メーカーやサプライヤーを含め細かな機能差はあるが、名称の統一はできていない。

ゆえに今回のサポカーのロゴはひと目でわかるという点ではいいと思うが「付いているから大丈夫だよね」と言う人が筆者の周りでも意外なほど多い。それも高齢者なのである。確かに制度の趣旨からすればそれでいいのかもしれないが、使う側の装置への理解が深ければ、より安全に利用できるのではないだろうか。

「自動ブレーキだから止まるんだよね」なんてうのはまだマシ? で、アダプティブクルーズコントロール(ACC)のことを「自動運転なんだよ」と言う人の話を聞くと意地でもしっかり説明したくなるし、実際に正しい知識を説明するようにしている。

技術に関しては日進月歩である以上、今後新機能や目的に応じてサポカーの対象範囲が拡大したり、装置が進化したりしていくことは間違いない。

余談だが、サポカーという名称が決まる前段階で、他の候補としては「ミマモルカー」や「セーフカー」「スマカー」などもあったそうだ。それらと比較すると、筆者としてもサポカーは気に入っている。

(文=高山正寛/編集=藤沢 勝)

「ダイハツ・ムーヴキャンバス」の自動ブレーキのイメージ画像。ムーヴキャンバスは、自動ブレーキや車線逸脱警報などからなる先進安全装備「スマートアシストIII」を多くのグレードで標準装備としている。
「ダイハツ・ムーヴキャンバス」の自動ブレーキのイメージ画像。ムーヴキャンバスは、自動ブレーキや車線逸脱警報などからなる先進安全装備「スマートアシストIII」を多くのグレードで標準装備としている。拡大
デイリーコラムの新着記事
デイリーコラムの記事をもっとみる
新着記事
新着記事をもっとみる
車買取・中古車査定 - 価格.com

メルマガでしか読めないコラムや更新情報、次週の予告などを受け取る。

ご登録いただいた情報は、メールマガジン配信のほか、『webCG』のサービス向上やプロモーション活動などに使い、その他の利用は行いません。

ご登録ありがとうございました。

webCGの最新記事の通知を受け取りませんか?

詳しくはこちら

表示されたお知らせの「許可」または「はい」ボタンを押してください。