プジョー208 GTライン(FF/8AT)/208アリュール(FF/8AT)/e-208 GTライン(FF)
あの頃のプジョーが帰ってきた 2019.11.06 試乗記 フルモデルチェンジした“プジョーブランドの柱”「208」に試乗。ガソリンエンジン車に加えて電気自動車もそろえる2代目は、最新コンパクトカーの中でも特に注目すべき、完成度の高さをみせてくれた。電化の時代を見据えた一台
PSAグループでは最も新しいアーキテクチャーとなるCMP(コモンモジュラープラットフォーム)は、先ごろ日本にも上陸した「DS 3クロスバック」への採用を皮切りに、今後の彼らのBセグメント以下のクラスを支えるキーテクノロジーだ。
その最大の特徴は、電動化への柔軟な対応。より端的に言えば、床面にたくさんのバッテリーを敷き詰めるEVへの転用を容易にしていることにある。一方で現行「308」以降、Cセグメント以上のアーキテクチャーとなるEMP2には、適量のバッテリーを搭載するPHVへの容易な転用が織り込まれている。すなわちPSAグループとしては現状、バッテリー性能や量産性を含めた、EVの環境貢献の境界線をCセグメント付近にみているとも受け取れる。そのもくろみは、個人的には至って冷静なものだと思う。
新しい208にはその多面性を生かしたEVが当初から用意された。「e-208」と名付けられたそれは、日本にも導入が予定されている。センタートンネル部とそれを挟んだ左右床面に搭載されるリチウムイオンバッテリーの容量は50kWh。駆動モーターはPCU(パワーコントロールユニット)やトランスファーを含めたパッケージとしてコンチネンタルグループから供給される。その最高出力は136PS、最大トルクは260N・mとなり、0-100km/h加速は8.1秒とBセグメント/Cセグメントのホットハッチ級の瞬発力を誇る。
加えて新型208は、ガソリンは1.2リッター3気筒をベースにした3種類のエンジンを用意した。ディーセルは1.5リッター4気筒と、いずれも308などでなじみのあるものだが、当面、日本市場では中間的存在となる100PS、205N・mのガソリン3気筒がアイシン・エィ・ダブリュ製8段ATとの組み合わせで上市予定となっているようだ。その0-100km/h加速は11.9秒と、動力性能は必要にして十分といえる。
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新鮮味のあるインテリア
ボディーサイズは全長×全幅×全高=4055×1745×1430mm。これは一部肥大化するBセグメントにあっては中間的なサイズで、「フォルクスワーゲン・ポロ」に近い。
先代に対して40mm車高が下げられたうえ、リアウィンドウの傾斜角も増していることもあって居住性は低下したように見えるが、後席に座っても空間に物理的な窮屈さはさほど感じない。それどころか心理的に開放感も覚えるのは、プレーンなサイドウィンドウの形状によるところも大きいのだろう。ただしe-208は搭載するバッテリーの影響で床面が若干持ち上がっており、前席下方への足入れ性がガソリンモデルに比べるとやや劣る。
内装のデザインは例によってプジョーの“i-Cockpit”思想に基づくもの。小径&異型ステアリングホイールの上方にメーターナセルを置いて視認性を確保する、そのインターフェイスは好き嫌いが分かれそうだ。
新型208ではその特性をさらに生かすべく、クラスター内の液晶メーターパネルに透明なパネルを組み合わせ、そこにヘッドアップディスプレイ的な投影情報を重ねることでADAS(先進運転支援システム)やカーナビなどとの連動状況を3D的に表示するギミックが加えられた。これが日本ではインフォテインメントとの連動やオプション設定等、どのような仕様になるかは不明だが、その表現力は新たなスタンダードとなり得るものだ。また、内装全体の質感においても新しい208のそれは卓越しており、Bセグメントの次なる指標となるだろう。
峠で光る足まわり
配車の関係で試乗に供された新型208が搭載していたのは、日本導入の100PSより一段階チューニングレベルの高い130PSの1.2リッターガソリンユニットだった。盛られたぶんの動力性能は差し引いて考えなければならないが、「音・振動の特性に大差はないはずだ」というエンジニア氏の説明を受けたうえで言うなら、エンジンに関して3気筒のネガはほぼゼロといえるほど抑え込まれている。
特に振動関係は低回転域からしっかりと整理されており、運転状況に応じて適切にギアを選んでいくアイシン・エィ・ダブリュの8段ATとの組み合わせでは、その快適性は4気筒と比べても遜色がない。130PSのユニットは 高回転域に至るまで息が詰まることなくスッと吹け上がりパワーも十分。この感触から推測するに、100PSユニットも実用に必要十分なパワーを備えていることは想定できそうだ。
サスペンションのセットアップは、気持ち引き締められている印象で、低速域では若干の硬さが気にかかる。昨今のシトロエンとは対照的に、ロールを抑えた軽快な乗り味を志向しているのは、PSAのブランディングの一環でもあるのだろう。そのぶん、ワインディングロードでのフットワークは標準的なしつらえとは思えないほどスポーティーで、タイトターンから高速コーナーまで抜群のロードホールディング性をもってグイグイと車体をインに向けてくれる。
そのパフォーマンスをきっちり生かすには17インチの「ミシュラン・パイロットスポーツ4」を履く「GTライン」の方が相性はいい。が、16インチの「プライマシー4」を履く「アリュール」の方が乗り心地においては全般にマイルドなフィードバックとなる。正直、どちらのグレードを選ぶかは非常に悩ましいところだ。
日本の道でも“e”はイケる
「量産試作の段階だから」と念を押されつつ、短時間ながら試すことができたe-208は、路面環境による乗り心地の差異はあれど、増えた重量を逆手に取って、フラット感をうんと高めたライドフィールを実現していたのが興味深い。
力感的には文句のあろうはずもないが、発進時から低速域ではトルクをうまく引き出しつつ、中速~高速域ではモーターパワーの頭打ちを露骨に感じさせないよう、伸びやかな加速をみせてくれるのが印象的だ。特に日本でも多用するであろう80km/h前後での力強さは2リッターターボ級の勢いを感じさせてくれた。その速さをいつでもアクセルひとつで引き出せるところにEVのうれしさがある。
新型208の日本導入は現状、2020年の秋口が予定されているという。「トヨタ・ヤリス」や「ホンダ・フィット」のモデルチェンジもあり……と、来年は日本のBセグメント市場がにぎやかになりそうだが、このクルマもショッピングリストの筆頭に載せておくべきものといえるだろう。
(文=渡辺敏史/写真=南陽一浩、プジョー/編集=関 顕也)
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テスト車のデータ
プジョー208 GTライン
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4055×1745×1430mm
ホイールベース:2540mm
車重:1165kg
駆動方式:FF
エンジン:1.2リッター直3 DOHC 12バルブ ターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:130PS(96kW)/5500rpm
最大トルク:230N・m(23.5kgf・m)/1750rpm
タイヤ:(前)205/45R17/(後)205/45R17(ミシュラン・パイロットスポーツ4)
燃費:--km/リッター
価格:--円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:2019年型
テスト開始時の走行距離:--km
走行状態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター
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プジョー208アリュール
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4055×1745×1430mm
ホイールベース:2540mm
車重:1165kg
駆動方式:FF
エンジン:1.2リッター直3 DOHC 12バルブ ターボ
トランスミッション:8段AT
最高出力:130PS(96kW)/5500rpm
最大トルク:230N・m(23.5kgf・m)/1750rpm
タイヤ:(前)195/55R16/(後)195/55R16(ミシュラン・プライマシー4)
燃費:--km/リッター
価格:--円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:2019年型
テスト開始時の走行距離:--km
走行状態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター
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プジョーe-208 GTライン
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4055×1745×1430mm
ホイールベース:2540mm
車重:1455kg
駆動方式:FF
モーター:永久磁石同期機
最高出力:136PS(100kW)/3673-1万rpm
最大トルク:260N・m(26.5kgf・m)/3673rpm
タイヤ:(前)205/45R17/(後)205/45R17(ミシュラン・パイロットスポーツ4)
一充電最大走行可能距離:340km(WLTPモード)/450km(NEDCモード)
交流電力量消費率:--Wh/km
価格:--円/テスト車=--円
オプション装備:--
テスト車の年式:2019年型
テスト開始時の走行距離:--km
走行状態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
消費電力量:--kWh
参考電力消費率:--km/kWh

渡辺 敏史
自動車評論家。中古車に新車、国産車に輸入車、チューニングカーから未来の乗り物まで、どんなボールも打ち返す縦横無尽の自動車ライター。二輪・四輪誌の編集に携わった後でフリーランスとして独立。海外の取材にも積極的で、今日も空港カレーに舌鼓を打ちつつ、世界中を飛び回る。
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