第152回:フェラーリは買えば買うほど善い
2019.11.26 カーマニア人間国宝への道買い換えの理由はさまざま
赤い「フェラーリ328GTS」から、黒い328GTSへと、色違いの同じモデルに買い換えを敢行したばかりの私ですが、実は以前にも、ほぼ同じようなことをやっておりまする。
今を去ること約20年前。5年半愛し抜いた「フェラーリ348tb」から「512TR」への買い換えを決意した時、白いボディーカラーを希望したのですが、白はなかなか見つからず、結局待ち切れずに赤を買いました。
ところが半年後に白の出物があったため、色だけを目的に買い換えたことがあるのです。
ただその時は、最初から白が希望だった。一方2年半前は、赤い「328」という初恋の相手をゲットすることにボーボー燃えていたので、心持ちはまったく違う。
さらに言うと、11年前には、まず紺の「328GTB」を買い、わずか1カ月後に黒の328GTSに買い換えたこともありまする。この時は、日本仕様(紺)からヨーロッパ仕様(黒)への乗り換えが主な目的で、色にこだわったわけではないので、これまた事情が異なる。
「えっ、11年前に黒の328GTSに乗ってたの?」
そこに気付いた方は鋭い。実は数名の方に、「黒の328って、昔乗ってませんでした?」と突っ込まれました。
よくぞ覚えていてくださいました。確かに乗っておりましたよ! しかも、ものすごぉく気に入ってました! 愛称は“ヨーコ様”でした! なんとなく『港のヨーコヨコハマヨコスカ~』を連想させるおクルマだったので。ヨーコ様は内装色もワインレッドで、今回のスッポン丸と同じでした!
「328」を通算4台購入
つまり、私は生涯2度までも、別の色の328から黒の328への買い換えを実行したわけです。これは全人類的に見ても稀有(けう)でしょう。
ただ、11年前と現在とでは、私の心境がまるで違う。
ヨーコ様は、痛快なライトウェイトスポーツであることにほれ込んで買ったのです。購入時点すでにスピードラインの黒いマグネシウムホイールや、OMPのフルバケットシートが組み込まれており、サーキットを走る気マンマンな雰囲気でした。
エンジンの吹けは痛快そのもの。ゼロヨン(0-400m)計測では13.7秒を記録し、「ランエボX」に加速対決で勝ったこともあるっていうのは、以前も自慢しましたね。どうもスミマセン。
私はそのレーシィーな雰囲気にメロメロになり、さらにその方向性を深めるべく、スポーツサスペンションや軽量フライホイール&メタルクラッチを投入。よりバリバリのライトウェイトスポーツに仕上げたので御座いました。クラッチが相当シビアになっちゃって、車庫入れは毎回シビレたぜ。
しかし今回は違う。もうそんなバリバリ走る気はなく、チューニングする予定も皆無。ただ黒い328GTSにたまたま偶然コーナーストーンズで再会して、もう一度鼻血が出ただけ! 今度はどノーマルで、年齢相応にゆったりエレガントに流したいであります!
これで328を買うのは通算4台目になるので、それだけ聞くと「328マニアなの?」「バカなの!?」って思うでしょうが、それも断じて違う。
フェラーリは買ってナンボ
私はフェラーリ全般の崇拝者であり、生涯を通じてみれば、328に飛び抜けて深い思い入れがあるわけじゃない。
確かに今は「俺には328しかない!」「キミ以外誰も愛せないぜ!」と思ってるけど、その愛はたぶん永遠ではない。今までのフェラーリも、買ったときは毎回「一生乗る!」って決めてたけど、常に買い換えてきたので。
カーマニアの中には、特定のモデル以外愛せない、ものすごくいちずな人がいますよね。R32「GT-R」以外眼中にないとか、初代「MR2」だけ乗り継いでるとか。それも、前の愛車を事故で失ったから泣く泣く乗り換えただけだとか。
その気持ち、なんとなくだけどよくわかる。何かにいちずな愛をささげるのってすっごく気持ちいいし。
でも、私は悟ったのです。フェラーリは買ってナンボだ! と。できればいっぱい買うべきだ! と。買えば買うほど善いものだ! と。
だって、フェラーリって、あんまり乗らないでしょ。もちろん乗ろうと思えば乗れるけど、刺激が強すぎるので、自然とあんまり乗らなくなる。毎日フォアグラ食うヤツがあんまりいないみたいに。
それに、自分で整備できないでしょ。できる人は最高にうらやましいけど、私は何もできない。洗車しかできない。雨の日には乗らないから汚れないので、洗車すらめったにできない。
乗らないし、いじれないし、洗車もできないクルマなんだから、買うしかないじゃないですか! 買うこと以上にコーフンするイベントなんてないじゃないですか! だったらできるだけたくさん買った方がいいでしょ!? うおおおおおおおおおお!
(文=清水草一/写真=清水草一、池之平昌信、木村博道/編集=大沢 遼)

清水 草一
お笑いフェラーリ文学である『そのフェラーリください!』(三推社/講談社)、『フェラーリを買ふということ』(ネコ・パブリッシング)などにとどまらず、日本でただ一人の高速道路ジャーナリストとして『首都高はなぜ渋滞するのか!?』(三推社/講談社)、『高速道路の謎』(扶桑社新書)といった著書も持つ。慶大卒後、編集者を経てフリーライター。最大の趣味は自動車の購入で、現在まで通算47台、うち11台がフェラーリ。本人いわく「『タモリ倶楽部』に首都高研究家として呼ばれたのが人生の金字塔」とのこと。
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