メルセデス・ベンツE350eスポーツ エディションスター(後編)

2024.06.27 谷口信輝の新車試乗 谷口 信輝 6代目への進化にあたり、機能性と快適性の徹底強化が図られた「メルセデス・ベンツEクラス」。そのPHEVをワインディングロードで試乗した印象を、レーシングドライバー谷口信輝が語る。
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水面を行く水鳥のごとし

「プラグインハイブリッドのパワートレインがエレガントな走りを生み出している」と谷口信輝が絶賛した「メルセデス・ベンツE350e」。ただし、エレガントな雰囲気を醸し出しているのは、パワートレインだけでなくシャシーも同様だという。この点について、もう少し詳しく谷口に説明してもらうことにしよう。
「正直言って、スポーツカー好きの僕からすると、このE350eは、バネ下とバネ上が別々というか、自分で運転しているというより“乗せられている感”がなきにしもあらずなんです。逆に、スポーツカーだったら、足まわりの上に直接腰掛けているみたいな感触を味わえますよね。でもこのEクラスは、足まわりの上にもうひとつなにかがあって、その上にドライバーが腰掛けているような感覚があります」

それだけ路面からの情報が遮断されているという意味か?
「というか、足まわり自体は路面に合わせて一生懸命、上下しているんですが、その上に座っている僕には、ほとんどそれが感じられないし、ボディーもほとんど揺れない。まるで、水面下で足を一生懸命動かしているのに、水面上では優雅に進んでいるように見える水鳥みたいな感じなんです」

こうなってくると、ドライバーの立場でいえば、ますますつかみどころのないクルマのように思えてくるのだが、その辺はどうなのだろうか?
「まあ、普通だったら、そうですよね。ドライバーがタイヤと行うキャッチボールに遅れが出てきたら、コーナリングを楽しめるはずもない。ところが、このEクラスは、全然そんなことがありません。むしろ、ものすごく安心感があるし、ペースを少しずつ上げていってもその安心感はまったく変わらない。きっと、ステアリング系の遅れがものすごく小さいんでしょうね。少なくとも、僕には遅れがあるとは感じられませんでした」

取材当日はあいにくの雨模様だったが、谷口の操るE350eがぬれた路面をしっかりと捉えている様子は、後席に腰掛ける私でもはっきりと感じ取ることができた。

「この辺は4WSも効いていると思うんですよね」と谷口。
「前輪だけ向きを変えても、後輪が真っすぐ前を向いたままでは、後輪があまり仕事をしていないことになって、前輪の負担ばかり増えてしまいます。でも、4WSだったら前後輪がバランスよくコーナリングの力を負担することができる。この辺が、滑りやすい路面でも安心してコーナリングできる大きな理由だと思います」

 
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