「ロードスター軽井沢ミーティング2025」の会場から
2025.06.02 画像・写真第33回となる「マツダ/ユーノス・ロードスター」のオーナーによるファンミーティング「軽井沢ミーティング」が、2025年5月25日に軽井沢プリンスホテルスキー場駐車場で開催された。
世界的にみても巨大なロードスターイベントには、1105台の歴代ロードスターと2632人の参加者が集結。最近は日本国内だけでなく、コロナ禍で減った海外からの参加者が徐々に回復しているのも朗報だろう。前日の雨から天候が心配されたが、さすがロードスターを愛する人たちの祭典とあって、早朝の曇り空はお昼前には陽光が差し込むまでに回復。なんと14年連続となる青空の下での開催となった。
会場には、2025年秋発売予定の「マツダ スピリット レーシング(MSR)ロードスター」と「MSRロードスター12R」を展示。ここだけのマル秘話も飛び出すトークショーには、かつて主査を務めた貴島孝雄さんと山本修弘さんという2人のマツダOBをはじめ、現行「ND」型の開発主査である齋藤茂樹さんや、同じくND型のチーフデザイナーである岩内義人さん、MSRのチーフデザイナーである諌山慎一さんなど、多くのロードスター関係者が参加した。
ロードスターファンが親睦を深めた、2025年のイベントの様子をお届けしよう。
(文と写真=大音安弘/編集=堀田剛資)
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1/40心配された空模様も、恒例の記念撮影のころにはすっかり青空に。中央を飾る「マツダ・ロードスター」は2025年秋に市販予定の「マツダ スピリット レーシング・ロードスター」だ。今回の軽井沢ミーティングには1105台のロードスターと2632人のオーナー/ファンが集結。その約33%が初参加であったという。(写真提供:軽井沢ミーティング実行委員会)
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2/40軽井沢駅前を会場へ向けて走る「マツダ・ロードスター」。イベント日の軽井沢は街なかにロードスターがあふれ、その光景も風物詩となっている。近年は参加台数の制限もあるため、電車組も増えている。
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3/40「マツダ・ロードスター」を愛する者同士、ハンドサインを送りあうのもお約束。これはイベント日だけの特別なことではなく、ロードスターオーナーならば日常的に経験することだそう。ロードスターに乗っていれば、誰もが仲間! そんなフレンドリーな雰囲気も、イベントが長く続いている理由のひとつだろう。
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4/40前日の雨により、朝8時の開場直後には、軽井沢プリンスホテルスキー場駐車場に水たまりが散見された。しかし天候は急速に回復。時間の経過とともに雲が晴れていったのは、「ロードスター」乗りの熱気のおかげかもしれない。
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5/40イベントは、「ロードスター」オーナーによって組織される軽井沢ミーティング実行委員会によって運営されており、イベントの準備から当日の駐車場の誘導までが彼らによって行われる。全員がボランティアなうえ、自身の参加費用も負担しているという。
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6/40メイン会場となるスキー場への誘導を行っているスタッフも、参加者と同じ「ロードスター」のオーナーで、そのなかにはマツダ関係者も含まれる。ファンの熱量があればこそ、平成、令和と年号を越えて続くイベントとなっているのだ。
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7/408時のゲートオープンとともに、駐車場への入場がスタート。駐車を終えると、さっそく自慢の愛車を熱心に磨き上げるオーナーたちが多数見受けられた。
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8/40開会式が始まる10時までは、オーナー同士の交流タイム。お互いの愛車を眺めたり、久しぶりの再会を喜んだり、それぞれが「ロードスター」とともにある時間を楽しむのだ。
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9/40第3駐車場となる「軽井沢プリンスショッピングプラザ」のP7駐車場の様子。「軽井沢ミーティング」への参加は事前申し込みのみで、飛び入り参加はNG。さらに愛車での参加は台数制限が設けられたため、当選者のみとなる。近隣に迷惑がかからないよう、配慮されているのだ。
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10/40プリンススキー場に隣接する第2駐車場も、瞬く間に「ロードスター」に埋め尽くされていく。1989年登場の初代「NA」型と、2015年登場の現行「ND」型には、実に26年もの時間差があるが、それでも同一車種とわかるのは、コンセプトにブレがない証拠ともいえるだろう。
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11/4010時からの開会式では、マツダを代表して現「ND」型の主査を務める齋藤茂樹さん(写真向かって右)があいさつ。この後に参加したトークショーでは、恒例となった齋藤節がさく裂し、マツダ関係者をひやひやさせながらもファンを楽しませてくれた。
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12/40東京と広島からはマツダの「ロードスター」関係者も参加。今回のマツダ側の参加者の一部を紹介すると、商品開発本部 主査の齋藤茂樹さん(現「ND」型主査)、デザイン本部 チーフデザイナーの岩内義人さん(現「ND」型チーフデザイナー)、デザイン本部 ブランドスタイル統括部 チーフデザイナーの諌山慎一さん(「マツダ スピリット レーシング・ロードスター」などのデザインを担当)、デザイン本部 主幹の中山 雅さん(元「ND」型チーフデザイナー/元「ND」型主査)、国内営業本部 国内商品マーケティング部 シニアエキスパートの田中秀昭さん(広報)である。
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13/40開会式の後は、恒例の子供たちによる熱きレース「ロードスターペダルカーレース」を開催。今や貴重な「NA」型ロードスターのペダルカーによる短距離レースには、8人の子供たちが参戦。最速の座を競った。
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14/40午前のトークショーでは、初代「NA」型の開発から携わり、「NB/NC」型の主査を務めた貴島孝雄さん(写真向かって左)と、その右腕であった山口宗則さん(同右)によるロードスター開発秘話が語られた。山口さんは、今は商品開発本部 シニアエキスパート ロードスターヘリテージマネージャーを務めており、今年も山口県から愛車の「クラシックレッド」の「ND」型で参加。貴島さんも最後に手がけたNC型を現在も愛用しており、今や走行距離は21万3000kmに達したという。
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15/40現行「ND」型の初代開発主査であり、ロードスターアンバサダーも務めた山本修弘さんは、2024年に出版した「マツダNDロードスター 開発責任者の記録」に込めた思いについて語った。450枚以上の写真や資料が記載された同著は、ND型の貴重な資料本にもなっており、ファンには必読の一冊といえよう。
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16/40現行「ND」型開発主査の斎藤さん(写真向かって左奥)と、同じく「ND」型チーフデザイナーの岩内義人さん(中央)によるトークセッション。齋藤主査は、2029年の40周年へ向けてすでに記念車のプロジェクトが動き出していることに加え、今後のボディーカラーに関する匂わせ情報をポロリ。黄色に関しては「ないかなー」と否定的な見方を示したいっぽうで、歴代モデルで人気の高い緑色がNDにないことについては、「(追加が)あるかもね」とも。ただ“平成”ではなく、“令和”の緑色とも付け加えた。
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17/40開場時には雲がかかっていた空も、昼前には太陽が顔を出すように。帽子がないと日差しがきついほどで、気がつけば筆者の顔も真っ赤に焼けていた。
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18/40パーツメーカーやプロショップがブースを並べる「ショッピングストリート」。多くの専門家が集うので、「ロードスター」の情報を収集するにも打ってつけの場となっている。
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19/40「ショッピングストリート」は2カ所に分かれて設置されており、計20を超えるブースが並んでいた。掘り出し物や特価品など、このイベントならではの商品もあるため、開会式終了後のオープン時には、レースよろしくスタートダッシュが重要となる。
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20/40こちらでは、マツダのデザイナーが手がけるロードスターオフィシャルグッズ「ロードスターCOLLECTION」の第3弾となるスニーカー「SP-MX5」が展示された。同じ広島のスニーカーブランド、スピングルとのコラボモデルで、レザー製の上質なもの。全4色のラインナップとなる。価格は2万6500円とやや高価だが、初回ロットの販売は超好調とのことだ。
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21/40「SP-MX5」の展示ブースでは、販売は行われなかったものの、試着することが可能。同日よりオンライン販売が開始されたため、会場からスマホでさっそく注文した人も多かったようだ。商品説明を行っていたスピングルの小畑 健さんによれば、特に「ホワイト/ブラック」のカラーが好評な印象だったそう。あなたなら、どの色を選ぶ?
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22/40会場にサプライズ展示された「マツダ スピリット レーシング・ロードスター12R」に、オーナーたちも興味津々。ファンサービスとして、じゃんけんで勝ち抜いた幸運な12組のみが着座することが許された。開会式後に行われた12Rの着座権獲得のじゃんけん大会も、大いに盛り上がっていた。
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23/40標準車といえる「マツダ スピリット レーシング・ロードスター」も展示。こちらについては誰でも着座がOKということもあり、周囲から人が途切れることはなかった。齋藤主査によると、試作車に使われている車体色「ポリメタルグレー」は、カタログモデルでは廃止されているが、同モデルの投入時に復活するとのこと。さらにマツダ スピリット レーシングの手になるエアロやマフラーなどのパーツも、一部を除いてすべて販売されることも明かされた。
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24/40初代「NA」型「ロードスター」をはじめとした、マツダ車のパーツの再生産やレストアサービスなどを手がけるクラシックマツダ担当の伏見 亮さん(写真向かって左)は、この場で新情報を公表。今後、さまざまな理由によって生産が終了となるパーツを、「最終調達リスト」として公式サイトで知らせていくことを伝えた。現在は「FD」型「RX-7」向けの3種類の部品が候補となっている。不定期に情報は公表されるので、月に1回はチェックしてもらえればとのこと。最終生産となる部品は、記載された締め切り日までに購入申し込みをすれば、入手可能とのことだ。今のところ、NA用の部品は含まれていない。
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25/40今回、クラシックマツダが展示したのは、初代「NA」型「ロードスター」と「FD」型「RX-7」の整備書。オーナーの整備知識をサポートするため、今後も情報公開や冊子の販売を検討していくという。整備書は一般的に入手が難しいものだけに、今後の展開に注目だ。
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26/40悪夢のコロナ禍も明け、インバウンドが拡大する日本。それは「軽井沢ミーティング」も同様で、再び海外ファンの参加がみられるようになった。オーナー同士の国際交流が再開したのも朗報だ。
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27/40参加車が集う駐車場を散策。こちらは2024年末に正式発表された、「ロードスター」の誕生35周年を記念する特別仕様車「35周年記念車」。今回の会場では、ソフトトップ、「RF」ともに複数台が見受けられた。最大の特徴は、マツダ独自の塗装技術「匠塗TAKUMINURI」による特別塗装色の第4弾「アーティザンレッドプレミアムメタリック」のボディーカラーだ。
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28/40数々の貴重な限定車と出会えるのも「軽井沢ミーティング」の醍醐味(だいごみ)。写真は、鮮やかな専用色「レーシングオレンジ」をまとった「30周年記念車」。ソフトトップと「RF」を合わせ、販売台数は世界限定3000台であった。日本では合わせて249台が販売されている(当初は150台の予定だった)。こちらの2台は、ともに純正のRAYS製鍛造ホイールが、同じRAYSのボルクレーシングに替えられていた。
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29/40こちらも珍しい3代目「NC」型の特別仕様車「BLACK TUNED(ブラックチューンド)」。「RHT」の「RS(MT)」と「VS(AT)」がベースで、「ブリリアントブラック」で塗装されたパワーリトラクタブルハードトップなどが特徴。ボディーカラーは、インパクトのある緑色の「スピリティッドグリーンメタリック」を専用色として採用。さらに専用色の「ベロシティレッドマイカ」と、カタログ設定色の「クリスタルホワイトパールマイカ」も選べたが、やはりこの、グリーンのインパクトがスゴい。
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30/40超貴重な“M2ロードスター”モデルも勢ぞろい。手前から「M2 1028」「M2 1002」「M2 1001」の3台が並ぶ。ちなみにM2の市販車は、この「ロードスター」の3車種と「オートザムAZ-1」ベースの「M2 1015」のみであった。
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31/40トークショーに参加する現行「ND」型主査の齋藤茂樹さん(写真中央)と、マツダ スピリット レーシングのデザイン担当である諌山慎一さん(同向かって左)。齋藤さんによれば、「マツダ スピリット レーシング・ロードスター」は「12R」だけでなく、カタログモデルの「RF」と同じ2リッターエンジンを積むモデルもオススメだという。モータースポーツシーンから生まれたクルマだが、開発ではロードスターの味わいである人馬一体を重視してつくり上げたとしており、「ロードスターファンを裏切らない乗り味で、日常走行でも楽しいモデル」だそうだ。
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32/40「マツダ スピリット レーシング・ロードスター12R」の特徴を解説する諌山慎一さん。仕様は1種類で、ボディーカラーは「エアログレイ」のみ。その狙いはスーパー耐久参戦車両との共通性を持たせるためであり、グレーは高い戦闘力を持つ戦闘機のイメージだそう。また、モチーフとなるスーパー耐久参戦車両のボディーカラーを、従来の白から今のグレーに変更したのは、進化や成長の意味を込めてのことだという。
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33/40現行「ND」型をデザインした元デザイン本部長 中山 雅さん(写真向かって右)による、スポーツカーデザイン講座。ランボルギーニの「ミウラ」と「カウンタック」、また「ポルシェ911」のデザインを引き合いに、なぜNDのスタイリングが生まれたのかを解説した。現場で、これらのスポーツカーの線画をすらすらと描き上げてしまうのだから、やはりカーデザイナーはすごい。
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34/402025年で60歳を迎えた中山 雅さん(写真向かって左)は、この6月でのマツダの退社を公表。軽井沢ミーティング実行委員会の委員長、高橋優一さん(同右)から、愛のある表彰状を授与された。マツダからは離れるが、今後も「軽井沢ミーティング」にはいちロードスターオーナーとして参加することを宣言。会場からは大きな拍手が送られた。今後は新しい仕事に取り組みたいとのことだが、予定は未定とのこと。これからの中山さんの活躍にも注目だ。
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35/40ここで参加台数を発表。初代となる「NA」型は243台が参加し、全体の22%を占めたという。歴代モデルでは2番目に多い数字だが、前回は262台が参加していたので、わずかに減少したことになる。
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36/402代目となる「NB」型は107台が参加し、全体の9.7%という結果に。歴代モデルでは3番目の数で、前回の100台から微増となった。
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37/403代目となる「NC」型は、全体の9.5%にあたる105台。歴代モデルでは最も数が少ないが、もともと販売台数が少なかった世代だけに、今後はよりレアな存在となりそう。ただ前回の参加台数は93台だったので、12台も増えた計算となる。
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38/40そんなわけで、歴代で最多の参加台数となったのは、4代目となる現行「ND」型。実に650台が参加し、全体の58.8%を占めた。その内訳だが、ソフトトップが508台、「RF」が142台となった。ソフトトップは前回が517台なので微減となるが、RFは117台から142台へと大幅に増えたことになる。写真はND型のデザインを手がけた中山 雅さんと、彼の愛車。
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39/40こちらの「アイコニックSP」のミニカーは、なんと中山 雅さんのお手製。リアルで美しい仕上がりにはビックリだ。さらにドアが開閉する仕様もつくりたいと語るなど、アイコニックSPに対する愛がスゴかった。
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40/4014時半の閉会式が終われば、参加者たちは愛車とともにそれぞれの帰路へ。現行「ND」型に乗る若者が、筆者のカメラに手を振ってくれた。再びみんなが軽井沢で会えるのは、また1年後だ。