社長が明言! 三菱自動車が2026年に発売する新型「クロスカントリーSUV」とは?
2026.02.04 デイリーコラムボクシーな姿のSUV
「最後にこれからの三菱自動車についてお話しさせてください。私たちはお客さまにワクワクしていただける、三菱自動車らしいとがったクルマを毎年連続して投入して参ります。今年2026年には本格的なオフロード性能を持つ新型クロスカントリーSUVを投入する計画です。このデリカ祭りの後もその熱狂が冷めることはありません。これからの三菱自動車にぜひご期待ください」
本年1月9日、東京オートサロン2026の三菱自動車のプレスカンファレンスで、同社の加藤隆雄社長がこう語り、スピーチの直後に流れた動画の最後に逆光でよく見えないボクシーなSUVの走る姿があった。すわ、これぞ「新型クロスカントリーSUV」、すなわち三菱SUVの大名跡「パジェロ」の5代目だ!?
とネットの自動車メディアはいまや新型パジェロ祭り状態である。ま、本稿もそうですけれど、業界を盛り上げようというわけですね。
ご存じ三菱パジェロは1982年に発売され、2021年まで生産されたオフロード4WDで、オフロードにおける高い走破性とオンロードでの快適性の両立を狙ったところに特徴があった。いわば「ランドローバー」に対する「レンジローバー」的な立ち位置で、それまでの「三菱ジープ」とか「トヨタ・ランドクルーザー」とかとは異なり、初代からしてラダーフレーム構造に、フロントのサスペンションはダブルウイッシュボーン+トーションバーの独立式を採用していた。
フルラインパジェロをそろえた三菱
その一方、「世界一過酷なラリー」のパリ-ダカールに発売翌年の1983年から挑み、1985年に日本車初の総合優勝を遂げて耐久性を証明した。ドライバーは前年に同じくパジェロで総合3位、市販車改造クラスで優勝したアンドリュー・コーワン。ちなみにこの年の総合優勝は4WDの「ポルシェ911プロトタイプ」で、パリダカは高速化しつつあった。総合優勝を目指す三菱はこの高速化に適応すべく、1985年にパジェロをプロトタイプクラスに転じた。ホイールベースを延長して前後重量配分を改善し、ボディーパネルはカーボンに変更して前年のモデルから200kg軽量化したのだ。エンジンは2.6リッターのガソリンターボで最高出力225PS、ファイナルギアの変更によって最高速185km/hを誇った。このプロトタイプパジェロで1-2フィニッシュという偉業を達成。パリダカには2009年まで26回参戦し、7大会連続を含む通算12回の総合優勝を果たしている。
というパリダカでの大活躍もあって、パジェロは国内でも爆発的な人気モデルとなった。それはもう、1994年に軽自動車の「パジェロミニ」が、翌1995年にはその1094cc版の「パジェロジュニア」が、そして1998年には「パジェロイオ」が送り出され、フルラインパジェロが店頭に並ぶほどだった。1990年代の三菱はパジェロバブルに沸き、ホンダを買収するうわさすら流れた。
その立役者のパジェロが5年ぶりに復活する!? 注目されるのはベースとなるモデルである。ピックアップトラックの「トライトン」か、それともアライアンスを組む日産のフラッグシップSUV「パトロール」か、ふたつの説がネットでささやかれている。どっちもある……というのが筆者の感想で、それというのも、動画に出てきた新型クロスオーバーSUVとおぼしき謎のクルマのスクエアなシルエットが、日産パトロールに似ているようでもあるし、フロントのフラットな顔はトライトンそっくり……にも見えるからだ。
パトロールかトライトンか
2027年上半期に日本市場に投入する。とジャパンモビリティショー2025で発表された日産パトロールは、2024年デビューのフルサイズSUVで、全長×全幅×全高=5205×2030×1945mm、ホイールベースは3070mmという巨漢である。エンジンは3.5リッターV6ツインターボで最高出力425PS、最大トルク700N・mを発生する。このパトロールがベースとなれば、5代目はとんでもなくでっかくて、高性能なパジェロになる。
サイズでいえば、三菱トライトンだって負けていない。全長×全幅×全高=5360×1930×1815mm、ホイールベースは3130mmもある。同じラダーフレームを使うにしても、ホイールベースは若干縮める必要があるかもしれない。とはいえ、100%三菱のラダーフレームに、100%三菱の2.4リッターディーゼルターボエンジン(最高出力204PS、最大トルク470N・m)こそ、パジェロにふさわしい。と考える三菱ファンもいらっしゃることだろう。2025年のアジアクロスカントリーラリーの総合優勝車をベースにしている。となれば、これも追い風になるのではあるまいか。
より冒険的なのはどちらか
う~む。どっちなんだろう? ヒントは冒頭に記した加藤社長のスピーチにある……ような気がする。加藤社長はこうも語っているのだ。
「昨年を振り返りますと、世界情勢はいっそう不透明さを増し(中略)、このような厳しい事業環境のなかで、よりとがった、特長のあるメーカーとして生き残っていくためには、当社の特長を生かした三菱自動車らしいユニークな商品が不可欠であり、そのような魅力ある商品があってこそパートナーとの協業の拡大、バリューチェーンの強化、新規事業への注力など、さまざまな施策を加速させていくことが可能となります」
三菱らしいユニークで魅力ある商品があって、パートナーとの競合の拡大が可能だ。ということで、つまり三菱らしい商品が先、と読みとることができる。でもって、三菱が元旦から始めている「冒険が、好きだ。冒険する人が、好きだ。」という企業広告である。新型パジェロのベースを日産パトロールにするのと、トライトンにするのとでは、どっちがより冒険的か? どっちがより三菱らしいユニークで魅力的な商品か? 答えは自明なのではあるまいか。
と書いておきながら、「デリカミニ」のように、「日産ルークス」と同じプラットフォームを使いつつ、三菱独自の魅力ある商品づくりは不可能ではない、とも思う。う~む。どっちなんだろう。あなたはどっち派ですか?
(文=今尾直樹/写真=三菱自動車、日産自動車/編集=藤沢 勝)
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今尾 直樹
1960年岐阜県生まれ。1983年秋、就職活動中にCG誌で、「新雑誌創刊につき編集部員募集」を知り、郵送では間に合わなかったため、締め切り日に水道橋にあった二玄社まで履歴書を持参する。筆記試験の会場は忘れたけれど、監督官のひとりが下野康史さんで、もうひとりの見知らぬひとが鈴木正文さんだった。合格通知が届いたのは11月23日勤労感謝の日。あれからはや幾年。少年老い易く学成り難し。つづく。
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