徹底比較! 新型三菱パジェロ VS. トヨタ・ランドクルーザー
2026.09.11 デイリーコラム直接のライバルはいない?
「室内の広さはクラストップレベル!」。新型「三菱パジェロ」(参照)の商品企画責任者を務める板垣邦俊氏は、メディア向け説明会において、パジェロのパッケージングについてそう説明した。「トップ」ではなく「トップレベル」なのね……。という筆者の心の声はともかく、問題は「クラスってどのクラス?」ということだ。例えばトヨタの「ランドクルーザー」でいえば「“250”なのか? それとも“300”か? もしくは(ないとは思うけど)“70”とか“FJ”?」ということである。どれをライバルに想定するかによって、「クラストップレベル」の意味合いは結構違ってくる。
というわけで、筆者は顔なじみの広報スタッフに「ランドクルーザーで例えればどのクラスなんですかね?」と尋ねてみた。すると「“250”でもあり、“300”でもある」となんだかモヤがかかったような返事。どうも「ガチなライバル」といえる存在はないようなのだ。
筆者の印象は「車体の大きさは“250”とも“300”とも同程度で(そもそも両車はボディーサイズがさほど変わらない)、パワートレインは“250”寄り。インテリアのつくり込みは“300”寄り」といったところ。“250”がフルモデルチェンジする前の「プラド」の時代だったらちょうどよかったかもしれないけれど、“250”への世代交代と同時に立ち位置が変わったので、新型パジェロの方向性とはズレてしまったというところだろう。
というわけで今回のコラムでは、現時点で明らかになっているスペックをベースに、新型パジェロをライバルと比べてみたい。「クルマは乗ってナンボ。実際に動かさないと優劣なんてつけられない」というのが筆者の持論だが、新型パジェロはまだ運転できる状況にないので、それはまたあらためての機会にということで。
パワートレインは“250”に、車内の質感は“300”に相当
まず車体サイズを見ると、全長は4920mmで“250”より5mm、“300”に対して30~65mm短い。1925mmの全幅は“250”に対して15~55mm、“300”と比べると55~65mm狭くなっている。すなわち車体は「少しだけ小さい」のだ。新型のスリムな全幅は、林道走行などでの取り回しのしやすさに効いてくるだろう。
室内はどうか。あくまでスペック上の比較となるが、新型パジェロの室内寸法は室内長×室内幅×室内高=2775×1575×1235mm。“250”の3列シートモデル(現在受注停止中)は2685×1600×1190mmで、“300”の3列モデルは2755×1640×1190mm。たしかに新型パジェロは室内長が長く(室内幅は狭いけど)、これならクラストップ“レベル”といっていいかもしれない。
パワートレインに関してひとことで言えば、「“250”と同水準、“300”には届かない」だ。国内向けの“250”にはガソリンエンジンとディーゼルエンジン(現在受注停止中)があるが、よりパワフルなのは後者。排気量2.8リッターの4気筒で最高出力204PS、最大トルクは500N・mとなっている。対してディーゼルエンジン一択となるパジェロは、排気量2.4リッターの4気筒で、最高出力204PS、最大トルク480N・mだ。まぁほぼ互角と言っていいだろう。
一方“300”になると、ガソリンもディーゼルも6気筒で、出力的にもガソリン415PS、ディーゼル307PSと圧倒的な余裕があり、完全に格上。ここはどうパジェロがあがいても勝てそうにない。トランスミッションもパジェロと“250”が8段ATなのに対し、“300”は10段ATだ。
一方で、“250”よりも“300”に近いのがインテリアのつくり込みだ。“250”は質実剛健でかなりさっぱりとした仕立て。一方で新型パジェロの(上級グレードにおける)それはソフトパッドを広範囲に張っており、ランクル“300”を超えるほどの上質感。そこに関しては「“300”がライバル」と言い切れる。
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オフロード関連のスペックに見る特徴
最後に、本格オフローダーとして大切な悪路走破性はどうか? まず最低地上高(パジェロの数値はすべて20インチタイヤ装着車のもの)は230mmで、“250”や“300”よりも5mm高い。アプローチアングルは“300”の32°(「ZX」グレードのみ24°)には届かないものの、“250”の30°よりは大きい30.4°。デパーチャーアングルも“300”の26°、“250”の23°に対してパジェロは25.8°と“中間”になっている。一方、ランドクルーザーに届いていないのがランプブレークオーバーアングルで、“300”の26°、“250”の23°に対して22.6°だ。
悪路走行デバイスは、走行モード切り替え機能はどのモデルも搭載。ただ現行世代のランドクルーザーに用意される、スタビライザーの効きを変化させる機能(“250”は締結解除で“300”は効きが可変する)の類は、今のところパジェロの資料では確認できない。
一方で、(ブレーキ制御により)左右の駆動トルクまで制御するS-AWCを組み込むなど、オンロードからオフロードまで幅広くハンドリングを高める電子デバイスを搭載しているのはパジェロのアドバンテージ。ハンドリングを語るような領域では、その効果を実感できるはずだ。また、それ自体に意味があるかどうかは分からないけれど、常時4WDの“250”や“300”に対して、2WDと4WDの切り替えができるのも違いだ。
というわけで、新型パジェロの強みはどこにあるか? まずは“250”よりもインテリアが上質かつ室内長が確保されていること。そしてガチなオフローダーとして見ても、スペック上は“250”に比肩するところにあると言っていいだろう。
価格は明らかになっていないから予想に過ぎないけれど、「ボトムグレードは“250”のディーゼルと同等で、上級グレードは“250”の上級グレードを超えるけど“300”の上位グレードには届かないくらい」ではないだろうか。あくまで筆者の予想だけど。
(文=工藤貴宏/写真=トヨタ自動車、三菱自動車、webCG/編集=堀田剛資)
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工藤 貴宏
物心ついた頃からクルマ好きとなり、小学生の頃には自動車雑誌を読み始め、大学在学中に自動車雑誌編集部でアルバイトを開始。その後、バイト先の編集部に就職したのち編集プロダクションを経て、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。別の言い方をすればプロのクルマ好きってとこでしょうか。現在の所有車両は「スズキ・ソリオ」「マツダCX-60」、そして「ホンダS660」。実用車からスポーツカーまで幅広く大好きです。
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