エコカーからスポーツカーまで、活気にあふれる中国メーカー【上海ショー09】
2009.04.27 自動車ニュース【上海ショー09】エコカーからスポーツカーまで、活気にあふれる中国メーカー
2009年4月20日、中国・上海市で開幕した上海モーターショー。一番活気のある中国メーカーは、日欧に負けないインパクトのあるクルマを多数展示した。森口将之のリポート。
■中国製のEVが目立つ
上海ショーでいちばん印象に残ったのは地元、中国のクルマだ。コピー車が目を楽しませた(?) というのもあるが、一方で真摯に開発されたモデルも多く、デザインやメカニズムは予想をはるかに超えるレベルに到達していた。
なにより驚かされたのは、EV(電気自動車)やハイブリッドカーなど、エコカーの充実だった。吉利(ギーリー)のEV「全球鷹IG(グローバルイーグルIG)」は、オレンジのボディにガルウィングドアとソーラーパネルを持ち、キャビンはセンターコクピットと左右の後席、中央の補助席からなる3+1のレイアウト。アーロンチェアを思わせるシートを含め、見た目からして魅力的だった。
まだコンセプトカーの段階だが、販売方法まで考えており、車体を1万元(約14万円)とし、性能の異なる数種類のモーターを自由に組み合わせる「BTO(Build To Order)方式」を導入するという。欧米や日本のエコカーにはない発想だ。
ちなみに吉利は、ロールス・ロイスのコピー車を出展した会社。こんな先進的なクルマも作れるのである。
EVは全部で5台ぐらいあっただろうか。EVオリジナルのデザインをまとった長城(グレートウォール)の「欧拉(オウラ)」のような作品があれば、奇瑞(チェリー)の「瑞麒M1(リーチM1)」のようにガソリン車が基本のクルマもあった。
ハイブリッドは既存車種の改良版がメインで、奇瑞は大小3台のモデルを並べて積極性をアピールしていた。
■日欧に負けないコンパクトカー
エコカー以外でも個性的なクルマは多かった。その代表が奇瑞のコンパクトカー「QQme」。ベースとなった「QQ」は「大宇マティス(デーウ・マティス)」そっくりの外観で物議をかもしたが、円弧を大胆に使ったこちらは、何にも似ていない。同じ奇瑞のクロスオーバー「瑞麒X1」、ホットハッチ風な江淮(JAC)の「悦悦(ユエユエ)」を含め、日欧のコンパクトカーを超える元気を感じた。セダンでは長城のミドルクラス「CHC011」が、斬新な個性を発散していた。
そしてもう1台、MG(名爵)にも触れておきたい。破綻した英国MGローバーが南京汽車に引き取られたことは記憶に新しいが、同社はMGブランドも取得しており、上海汽車グループに統合された現在も、スポーツカーの「TF」などを販売している。その流れを発展させる形で今回「MG6」を発表。これもまたスタイリッシュで、ヨーロッパで販売すれば、MG復活と歓迎されるのではないかと思ったほどだ。
■想像を絶する進歩
スポーツカーやGTカーも予想以上に多かった。いずれもコンセプト段階だが、吉利は流麗なフォルムの「帝豪GT(エンペラーグランドGT)」、ホンダの生産を行う広州本田汽車は、オリジナルの「理念」ブランドを立ち上げ、オープン2シーターをディスプレイ。エンジニアリング会社の上海同済同捷(TJI)は、ミドシップのハイブリッドスポーツを展示していた。数年後には日本を上回る数が市販されているかもしれない。
固定電話がいきわたる前にケータイが普及し、VHSが標準規格になる前にDVDが定着した。中国とはそういう場所である。進化のスピードは想像を絶するほど早い。われわれがコピー車を嘲笑しているうちに、彼らは欧米や日本を追い越してしまうのではないか。世界でもっともエネルギッシュといわれる都市らしい、パワーみなぎるモーターショーだった。
(文と写真=森口将之)
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