大矢アキオの「レトロモビル2018」リポート
2018.02.15 画像・写真ヨーロッパを代表するヒストリックカーの見本市のひとつ「レトロモビル」が、パリで2018年2月7日から11日にかけて開催された。
レトロモビルは今年で43回目。ルノーは創業120年を記念すべく、数々の自社コレクションに加え、ほかの博物館が所蔵する創業期の「ティープA」「ティープB」を展示した。一方シトロエンは「2CV」の70周年と、それをベースにしたレジャーカー「メアリ」の“生誕から半世紀”を祝った。DSは歴代大統領専用車を3台展示した。
プジョーは「戦後の量産ベルリーヌ(セダン)」を特集した。そこに展示された一台、「プジョー504」は1969年の欧州カー・オブ・ザ・イヤー受賞車で、かつて日本でも販売され、フランス車ファンの間で静かなブームとなっていた。本国では1983年に生産終了したが、ナイジェリアではピックアップ版が、なんと2005年まで作られていたという。その堅牢(けんろう)さを武器にした、途上国市場での根強い支持。フランス車のもうひとつの顔に触れたのだった。
(文=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>/写真=大矢アキオ<Akio Lorenzo OYA>、大矢麻里<Mari OYA>)
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1/33創業120年を記念したルノーの特別展より。写真手前は「ルノー5エレクトリック」の第2世代(1974年)で、13台が製造された。車体の後部は8基のバッテリーが占めるため、シートは前2座のみである。
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2/331959年に発表された商用車「エスタフェット」は、同社初の前輪駆動車であった。展示車両は1963年型。ルノーの120年展より。
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3/33同じくルノーの120年展より。1965年、4人の女性ドライバーによってアルゼンチンからアラスカまで4万kmを走破した「ルノー4」。
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4/33ルノーの120年展に並んだ「ティープB」(1899年)。自動車史における、極めて初期のクローズドボディーの例である。
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5/33こちらは、1978年のルマン24時間レースに投入されたルノー・アルピーヌのマシンたち。写真手前は総合優勝した2号車。
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6/336.53mという長大なボディーをもつ「シトロエンDS21プレジデンシャル」。かつて、ドゴール、ポンピドゥーの両大統領が使用した。
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7/33シトロエンは「2CV」の誕生70周年を祝った。こちらは1939年の有名な試作車、コードネーム「TPV」。
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8/33デビュー50周年を迎えフィーチャーされた「プジョー504」。現役時代はアフリカや南米のラリーシーンでも活躍した。
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9/33雑誌『YOUNGTIMERS』の今年のテーマは「フレンチ・タッチ」。この「マトラ・バゲーラ」は、ファッションデザイナーのアンドレ・クレージュによる特別仕様(1975年)。
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10/33日本ブランドで唯一ブースを設営していたのはホンダ。レトロモビル2018において、創業70年を祝った。手前は「N360ホンダマチック」(1969年)。
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11/33特別展「アバルト物語」はスイス人コレクター、エンゲルベルト・メールのコレクションによるもの。写真の1958年「フィアット・アバルト500レコルド ピニンファリーナ」は、10日間で2万8000kmを走破しながら23の国際記録を樹立した。
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12/33特別展「アバルト物語」から、「アバルト2000スパイダー プロトタイプ」(1971年)。ヨーロッパ プロトタイプ選手権で、アルトゥーロ・メルツァリオが駆った。
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13/33レトロモビルの特別展「記録に挑戦したクルマたち」から、「シトロエン2CVバルボ」。1953年にモンレリーサーキットで24時間走行し、350cc以下のクラスで9つの世界記録を樹立した。平均速度は85.02km/hだった。
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14/33第2次大戦前および直後に活躍したフランス人ドライバー、ジャン-ピエール・ヴィミーユ(1908~1949年)の回顧展から。彼は晩年、ミドシップのロードゴーイングカー開発に執心した。このプロトタイプは本人がレースで事故死した翌年の1950年に公開された。
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15/33かつて「フィアット500」のデザインを手がけたロベルト・ジョリート(写真右)が率いるFCAヘリティッジは、認定ヒストリックカーの販売やオリジナル証明書の発行など、新しい活動計画を発表した。後方は「フィアット・アバルト2400クーペ アレマーノ」(1964年)。
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16/33「フィアット・ディーノ2400クーペ」(1972年)。V6エンジンは、傘下のフェラーリがフォーミュラ2のホモロゲーション獲得を達成できるよう製造したものだった。デザインはベルトーネ。
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17/331912年にフィアットのモーターオイル部門として誕生したのが「オーリオ・フィアット」。アンティーク缶の大型オブジェと筆者。
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18/33特別展「マクラーレン」。アラン・プロストやアイルトン・セナが駆った時代の「マクラーレン・ホンダMP4/4」(1988年)
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19/33会期中開催されたアールキュリエル社のオークション内覧会より。「マセラティA6 GCS/53スパイダー」(1954年)は、日本円にして約3億2500万円で落札された。
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20/33アールキュリエル社のオークション内覧会より。「フェラーリ250GTカブリオレ セリエ1ピニン ファリーナ」(1958年)は、最低落札価格に達せず売買不成立となった。
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21/33オークション内覧会で出会った、いずれも技術高校に通う17歳のクレモン君とマクサンス君。好きなクルマは「トヨタ・スープラ」「日産GT-R」とか。こういう時代だからこそ、大排気量車に萌(も)えるという。
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22/33ヴィンテージミニカーの専門店にて。ルノーの修理工場を表現した模型。
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23/33あるミニカーショップのアイキャッチとして展示されていた「マトラ・ジェット」。
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24/33「ルマン・クラシック」のオーガナイザーとして知られるペーター・オートのブースでは、毎年ポップコーンがふるまわれる。
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25/33ブラバスは近年、ヒストリックカー部門であるブラバス・クラシックの拡充を図っている。これは、同社がレストアした1967年「メルセデス・ベンツ600プルマン」。
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26/33フランスの革製品ブランド「シャパル」によるピット風ブース。1832年創業の同社は、第1次世界大戦時のフランス空軍にフライトジャケットを提供したことで知られる。
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27/33これも売り物。フェラーリがフィアットの傘下に入る前夜、1963年~1969年にスクデリアのサービスカーとして使用した「プジョー404ブレーク」。
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28/33「パナール・エ・ルヴァッソール・クラブ」は1956年「ディナ・ジュニアX87」を展示。地下のガレージで40年間眠っていたものを、クラブ会員たちがボディー修復に100時間、機械部分の再生に200時間をかけてよみがえらせた。
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29/331948年のパリサロンで発表された、コンセプトカー「パナール・ディナヴィア」(1948年)。
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30/33「パナール・ディナヴィア」(1948年)のダッシュボード。
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31/33これも珍品、ゼネラルモーターズ製の冷蔵庫。バッジには「MADE ONLY BY GENERAL MOTORS」の文字が。価格は日本円にして約35万7000円。
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32/33フランスの旅行代理店が展示したのは、1976年から使われていたという観光バス「ケースボーラー・セトラS110」。
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33/33「トヨタ・ランドクルーザー」をモチーフにした、子供用のペダルカー「TETWO(ティトゥー)」。アルミを200tプレスで成形している。発売は2018年11月、価格は日本円にしておよそ24万円になる予定。