第939回:さりげなさすぎる「フィアット124」は偉大だった

2025.12.04 マッキナ あらモーダ! 大矢 アキオ
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「フィアット124」というモデル

2025年もあとひと月で終わりを迎える。ロシアとウクライナの和平はいまだ合意に至っていない。そうしたなか、ときおり現地映像に映り込む古い3ボックス車がある。「ジグリ」だ。

ジグリは、旧ソビエト社会主義共和国連邦で生産された乗用車である。そのベースはイタリアの「フィアット124」だ。今回は、このモデルについて振り返ってみたい。

124は1966年に発表された。そのルーツは、第2次世界大戦前の初代「1100」シリーズにまでさかのぼる。直列4気筒OHVエンジン+リジッドアクスルの後輪駆動とともに、そのエクステリアデザインはあまりに堅実だ。ゆえにコレクションの対象とはなりにくいようで、同じフィアットでも1957年登場の「ヌォーヴァ500」(2代目「500」)のクラブは星の数ほどあるのに、124の愛好会を探すのはやや時間を要する。イタリアの土産物店における陳列棚でヌォーヴァ500を模したグッズは簡単に見つかるが、124をかたどったものは少なくとも筆者は見たことがないのも、その地味さを代弁している。

今回は「フィアット124」のお話を。これは124をベースに旧ソビエトのトリヤッチで生産された初期型「ジグリ」。トリノのフィアット歴史センターに展示されている。
今回は「フィアット124」のお話を。これは124をベースに旧ソビエトのトリヤッチで生産された初期型「ジグリ」。トリノのフィアット歴史センターに展示されている。拡大
「フィアット124」のイタリア版は、1966年から1974年まで生産された。
「フィアット124」のイタリア版は、1966年から1974年まで生産された。拡大
「124」はファミリーカーとして、さまざまな国に輸出された。4灯式ヘッドライトが装着されたこのスペシャル仕様は、ドイツのハイルブロンのナンバープレートを付けている。
「124」はファミリーカーとして、さまざまな国に輸出された。4灯式ヘッドライトが装着されたこのスペシャル仕様は、ドイツのハイルブロンのナンバープレートを付けている。拡大