「ロードスター」のファンイベント「軽井沢ミーティング」の会場から
2021.10.29 画像・写真日本最大級の「マツダ・ロードスター」オーナーイベントである「軽井沢ミーティング」が2021年10月24日、長野県軽井沢町の軽井沢プリンスホテルスキー場駐車場で開催された。同イベントは、ロードスターオーナーでもある有志メンバーが主催するもの。初代ロードスター誕生の4年後から開かれており、今回で29回目となる。
日本各地からロードスターが集結する光景は、まさに“春先の”軽井沢における風物詩といったところ。しかしコロナ禍が続く今回は、参加者の安全を最優先とするため開催の有無を含め慎重に検討した結果、時期の変更や募集台数・コンテンツの縮小など最大限の対策を行うことで、昨年同様に10月の開催を実現させた。秋の軽井沢はすっかり朝晩の冷え込みが厳しくなったが、当日は風もなくまぶしい日差しが降り注ぐ快晴となり、着込んできた上着が不要なほどの暖かさとなった。これもオープンカーを愛する晴れ男・晴れ女たちのエネルギーのなせる業だろうか。
同イベントでの参加者たちの楽しみの一つが、イベントをサポートするマツダからのサプライズ。新たなロードスターのお披露目が恒例となっているのだが、それは今回も同様だった。なんと今冬発売予定となる改良型ロードスターに設定される特別仕様車「990S」が世界初披露されたのだ。この特別仕様車は、日本だけに用意される“素”のロードスター「S」グレードの「軽さ」という武器を最大限磨き上げるべく、特別装備を施したモデル。まさに軽さと小ささを重視しライトウェイトスポーツカーとしての原点回帰を図ったNDロードスターの、究極の姿といえそうだ。
コンテンツが絞られ、会場内には感染予防対策の消毒液が各所に設置されるなど、従来とは異なる面もあったが、会場全体のアットホームな雰囲気に変わりはない。参加者たちは互いの愛車を鑑賞し合ったり、久々の再会を懐かしんだりしていた。もちろん良い変化もあった。それは参加者に若い世代が増えてきていること。今や軽井沢ミーティングは、ちょっとしたデートスポットでもあるのだ。今後も、世代を超えてロードスターと同イベントが愛され続けることを期待したい。
それでは、ロードスターを愛する人たちが快晴の空の下、交流と再会を楽しんだイベントの様子をお届けしよう。
(文と写真=大音安弘/編集=藤沢 勝)
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1/21春先の軽井沢を思い起こさせる快晴の空の下で開催された「マツダ・ロードスター」オーナー有志によるイベント「軽井沢ミーティング」。29回にも及ぶ歴史は、まさにロードスターの歴史でもある。例年は日本のみならず海外からもオーナーが駆けつけるのだが、コロナ禍の今、国内のファンのみの交流となったことは寂しい限りだ。
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2/21会場となる軽井沢プリンスホテルスキー場を目指し、全国各地から「ロードスター」が続々と集結する姿は今年も健在だった。とはいえ、やはり参加台数が少ないため隊列は短め。それでもロードスターのドライバーとパッセンジャーは満面の笑みを浮かべていた。
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3/21全国各地の「ロードスター」のプロショップやパーツメーカーが出展する「ショッピングストリート」。ロードスター向けのお買い得品や特価品が並ぶのはもちろんだが、ロードスターのプロが一堂に集結するため、オーナーにとって貴重な愛車相談の場となっている。
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4/21コロナ禍の安全対策のために、恒例のちびっこペダルカーレースや集合写真などのコンテンツは中止とし、トークショーのみが開かれた。トークショーの音声は、場内放送に加えFM放送も行われたため、ステージに集まらなくとも楽しめるよう工夫されていた。
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5/21トークショーのゲストには、マツダの「ロードスター」開発メンバーが招かれた。NDロードスターの主査である斎藤茂樹さん(左)と長年ロードスター開発に携わる商品本部の山口宗則さん(右)を中心にトークを展開。展示された改良型ロードスターの情報の一部を特別に明かすなど、会場を大いに沸かせた。
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マツダ ロードスター の中古車
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6/21当日のサプライズゲストは、今冬登場予定の改良型「ロードスター」。展示車は、その目玉となる特別仕様車「990S」である。これは日本のみで販売されるプレーンな仕様の「S」グレードをベースに、軽さを特徴とする特別装備を施したもの。その名の「990」は、もちろん1tを切るという車重を意味する。
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7/21「990S」のリアスタイル。外観上の特徴の一つがネイビーブルーのソフトトップ。これまでさまざまなソフトトップカラーが期間限定仕様などで提供されてきたが、意外にもブルーは今回が初だという。
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8/21「990S」は軽さが特徴の「S」グレードがベースとなるだけに、重量増につながる追加装備はゼロ。ハンモックシートやマツダコネクトレスとなるセグメント液晶オーディオパネル、マニュアルエアコンもSグレードと同様だ。メカニズムではLSDも非装着となる。しかし、コーナリング時に内側後輪の浮き上がりを抑える新技術「車両姿勢安定化制御」を採用することで、心地よく滑らかな走りを実現しているという。
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9/21「990S」には、インテリアにも特別仕様のアイテムがある。それがブルーメタリックのエアコンルーバー。専用のアクセントカラーを取り入れることで、特別感を演出している。
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10/21インテリアでのもう一つの専用アイテムが、ブルーの「ROADSTER」ロゴ入りフロアマット。デザインはディーラーオプション品と同様だが、そちらは文字がホワイトとなる。細かい演出だが、オーナーにはうれしい心遣いだ。
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11/21バネ下の軽量化のために、なんとメーカーオプション品であるRAYS製鍛造16インチアルミホイールを標準化。1本あたり約800g、合計約3.2㎏の軽量化を実現している。タイヤについては標準装着品と同等だ。
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12/21足まわりのもう一つのセリングポイントが、フロントのブレンボ製対向4ポッドブレーキキャリパーだ。しかも、他グレードに装着されるのはレッドキャリパーにホワイトロゴだが、「990S」では、ブラックキャリパーにブルーロゴの専用品に変更されているのだ。
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13/21クラシックマツダにより復刻されたNA「ロードスター」のパーツ類の展示。これまでアッシーでしか供給がなかったブレーキキャリパーのピストンも単品購入可能となったとのこと。現在、レストアについてはNA6型のみの対応だが、部品に関してはNA8型のものも復刻品が登場しているという。
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14/21クラシックマツダを代表して会場入りしていたマツダの伏見 亮さん。2018年より取り組むNA「ロードスター」のレストア事業は、現在10台目の作業中。今も多くの希望者が列をなすため、少しでもユーザーをフォローできる取り組みを検討中だという。またNBについても部品の復刻が検討されていることを教えてくれた。
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15/212019年より「ロードスター」の開発主査を務める斎藤茂樹さんが、就任後、初めて手がけたオリジナル企画が今回の「990S」。長年ロードスターの車両実験を担当していたこともあって、走りへのこだわりも強い。だからこそ、NDロードスターの魅力が凝縮された「S」グレードのうま味を最大限に引き出すことにこだわったのだ。
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16/21マツダ 商品企画部の山口宗則さんは、長年「ロードスター」の開発に携わる人で、ファンや周りからは、「宗さん」の愛称で親しまれている。当日は、トークショーだけでなく朝から駐車場誘導係としても奮闘。今年も愛車であるクラシックレッドのNDで広島から駆けつけた。
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17/21原点となる初代モデル「ユーノス・ロードスター」(NA)は239台が参加。新車時からと思われる2ケタナンバー車も多く見られた。レストア事業に伴うパーツ供給体制も強化されているが、最終型でも今年で23年が経過していることもあって参加台数は減少傾向にあるものの、それでも全体で2番目に参加台数が多い。
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18/212代目となるNB「ロードスター」。この世代からマツダ・ロードスターを名乗る。参加台数は109台。歴代ロードスターのなかでは初代の人気の高さもあってか影が薄かったが、近年、再注目されている。マツダによれば、欠品部品も出ているため、今後クラシックマツダでのフォローに向けて準備が進められているようだ。
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19/213代目にあたるNC。歴代「ロードスター」のなかでは、最もパワフルで車内も広くオールマイティーな存在だ。参加台数は108台となった。先代モデルながら参加台数は少なめ。2シーターオープンカーとしての快適性も高いので、NB同様に再注目される可能性も高そうだ。
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20/21現行型である4代目のNDは、歴代モデルのなかで最多となる347台が参加。旧型「ロードスター」からの乗り換えに加え、新ユーザーの獲得にも成功しているようだ。写真は、2019年に発売された「30周年記念限定車」。専用色のレーシングオレンジが印象的な一台だ。同車は格納式ハードトップを持つ「ロードスターRF」にも設定された。
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21/21コロナ対策として台数の縮小を図ったこともあり、参加総数は803台となった。しかし、若者のクルマ離れが聞かれるなか、イベント参加者には20~30代の若者が増加中。クルマ好きの輪が次世代に受け継がれていることが感じられるのは、うれしい限りだ。