ホンダ車限定の旧車イベント「ホンダクラシックミーティング」の会場から
2022.02.02 画像・写真2022年1月30日、埼玉県越谷市のしらこばと公園で「ホンダクラシックミーティング」が開かれた。2020年に初開催され、2021年は予定されていたものの新型コロナ禍により中止となったため、今回が2年ぶり2回目の開催となる。このイベントは埼玉県さいたま市にあるホンダ車のエキスパート「ガレージサイコー」の主催によるもので、参加資格は1990年式までのホンダ四輪車である。当日集まったのは、1963年に登場したホンダ初の市販四輪車である軽トラックの「T360」から、1989年デビューの2代目「インテグラ」までの約50台。会場から、リポーターの印象に残ったモデルを中心に紹介しよう。
(文と写真=沼田 亨)
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1/30会場に並んだ、約50台のクラシックホンダ。
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2/301967年に登場したホンダ初の軽乗用車にして初の量産乗用車である「N360」。「速い、広い、安い」と三拍子そろった画期的なモデルで、軽乗用車としては最後発ながら市場の図式を一気に塗り替えた。この個体は“NI(エヌワン)”と俗称される初期型の基本モデルで、フォグランプは純正オプション。
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3/301968年「N360S」。“NI”の外装にボディー同色のフェンダーミラー、エアアウトレットカバー、専用ホイールキャップ、内装に革巻きステアリングホイールやタコメーターを含む2連メーターなどを与えてスポーティーに装ったモデル。この個体はバンパーを外し、輸出仕様(国内仕様のカタログ/広報写真にも使われている)のホイールキャップを装着している。
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4/30デラックス仕様の「N360M」をベースにしたレーシング仕様をストリート仕様に戻したという個体。新車以来とおぼしき「埼 8」ナンバー付きで、貴重な純正オプションのグリルカバー(冬季に空冷エンジンのオーバークールを防ぐ)を装着している。
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5/30前出のストリート仕様「N360M」のインテリア。スピードメーターとタコメーターを「N360S」用に交換して補助メーターを増設、ステアリングホイールも小径革巻きに交換。本来は「シトロエン2CV」や「ルノー4」のようにダッシュから生えているシフトレバーは、軽トラック「TN360」用パーツを流用するなどしてフロアシフト風に改められている。
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6/30ストリート仕様「N360M」のオーナーが所有していた、「N360」の全盛期にホンダの広報誌に掲載されていたというイラスト。当時は軽に車検がなかったこともあって、こうしたモディファイを施された通称“Nッコロ”が、少なからず街中を走り回っていたのだ。
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7/301963年に発売されたホンダ初の市販四輪車である「T360」。軽トラックながら、スポーツカーの「Sシリーズ」用と基本設計を共有する4キャブレター仕様の354cc直4 DOHCエンジンをミドシップする。当時のホンダには、それしか四輪車用エンジンがなかったのだ。居住性を考慮して、4段コラムMTのシフトレバーは右ハンドルながらステアリングコラム右側から生えている。
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8/301967年に登場した「TN360」。「T360」に代わる軽トラックで、「N360」用エンジンのシリンダーを水平近くまで倒した空冷4ストローク2気筒SOHCユニットをミドシップ。リアのドディオンアクスルなどの基本設計は、2021年に生産終了した最終型「アクティ」まで受け継がれた。本来、フロントにプレスされた「H」マークは白塗りされている。
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9/301970年、「N360」がマイナーチェンジで「N III 360」になるのに合わせて「TN360」も「TN III 360」となった。フロントグリルのデザインを変更し、写真の「スーパーデラックス」ではバンパーともどもクロームメッキ仕上げとなった。
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10/30「TN III 360」は1972年に再度フェイスリフトを受け、デュアルヘッドライトを備えた「TN-5」となった。そのエンジンを昭和50年排出ガス適合としたのがこの「TN-7」で、1975年に登場した。この後、軽規格の変更により550ccエンジンを積んだ新規格の初代「アクティ」が1977年にデビューする。
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11/307台も並んだ、「TN360」をベースに1970年に登場した貨物車登録の多用途車「バモスホンダ」。2座の「バモス2」、4座の「バモス4」、4座だがほろが座席部分のみのバモス4に対して荷台後部まで覆われる「バモス フルホロ」の3タイプが存在したが、会場ですべて見ることができた。
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12/30ちょっと脱線。左は「T360」がフロントフードを開けたところ。右は「バモス4」。顔つきが似てると思うのは私だけ?
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13/30「ホンダZハードトップGSS」。初代Zは「N III 360」をベースに軽初のスペシャルティーカーとして1970年に誕生。翌1971年にベースを水冷エンジン搭載の初代「ライフ」に変更し、さらに1972年にはBピラーを取り去ったハードトップとなった。これはその最終型となるハードトップの、5段MTを備えたトップグレード。アルミホイールはノンオリジナル。
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14/301971年に登場した初代「ライフ」。若年層向けの高性能指向だった「Nシリーズ」からファミリー向けのマイルドな方向に路線変更。水冷エンジンを搭載し、軽では初代「マツダ・キャロル」以来となる4ドアも設定された。新車以来とおぼしき「埼 88」ナンバー付きのこの個体は、内外装ともフルオリジナルに保たれた「4ドア ハイデラックス」。しかも珍しい3段AT仕様である。
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15/30ファミリー向けのおとなしい軽乗用車だった「ライフ」だが、ボンネットの下には新機軸が詰め込まれていた。静粛性と排ガス対策を見据えて水冷化された並列2気筒SOHCエンジンは、カム駆動に日本で初めてコッグドベルトを採用し、さらに一次振動を打ち消すバランサーを導入。駆動方式は「N360」以来のFFだが、これまた日本初となるジアコーザ式を採り入れていた。
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16/30初代「ライフ」のメカニカルコンポーネンツを流用して1972年に登場した「ライフ ステップバン」。商用車登録だが、軽トールワゴンのルーツ的なモデルである。フロントグリルは先に紹介した「TN360」から、フロントウインカーもやはり紹介した「N360」から流用。右フロントと左リア、左フロントと右リアのドアを基本的に共通パーツとするなど合理的な設計だった。本来、フロントグリルとバンパーは塗装仕上げである。
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17/30「ステップバン」のバリエーションである「ライフ ピックアップ」。ラット(サビ、ボロ)仕上げのボディーはウェザリング塗装と天然サビのハイブリッドとのこと。ただし手前の「モトコンポ」は樹脂ボディーなので100%ウェザリングである。
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18/30キレイに仕上げられた「S600」。カバー付きのヘッドライトはデビューした1964年型のみの仕様。この個体は1965年式だが初期型スタイルにしているとのこと。
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19/30こちらもオリジナルの姿に仕上げられた「S800」。高性能だがさすがに600ccでは力不足という北米市場の声に応えて1966年に登場した、ホンダ初の100マイルカー(最高速が約160km/h)。
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20/30イベントを主催したガレージサイコー代表の川島 剛さんが乗ってきた「シビック1200RS」。1974年から1年弱だけ作られた初代シビック唯一の高性能版。現在もホンダのスポーティーグレードに使われている「ロードセイリング」の略というRSを最初に名乗ったモデルである。
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21/301983年に登場した「シティ ターボII」。“ブルドッグ”の愛称で呼ばれた、ブリスターフェンダーなどで迫力を増したボディーに、空冷インタークーラー付きターボを備えた1.2リッター直4 SOHCエンジンを搭載。2台とも新車時の姿が保たれているが、ボディーカラーはこの2色にメタリックブルーを加えた計3色だった。
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22/301984年に14年ぶりとなる国産オープンカーとしてデビューした「シティ カブリオレ」。ピニンファリーナの手でオープン化されたボディーは、補強や「ターボII」に準じたワイド化などによって標準モデルより100kg以上も重量が増加。だがエンジンは自然吸気1.2リッターのシングルキャブ仕様のみだった。ボディーカラーは12色もそろっていた。
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23/301976年に「シビック」の兄貴分として、当初は3ドアハッチバックのみで登場した初代「アコード」。1980年式というこの個体は塗装まで新車時のままというワンオーナー車。走行距離は約9万5000kmと車齢40年超としては少なめとはいえ、内外装とも非常に美しい状態に保たれている。
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24/30「アコード」のインテリア。シート地に傷みがほとんど見られないのは驚異的。変速機はオーバードライブ付きの「ホンダマチック」(3段AT)。助手席ドアにスイッチが見える後付けのパワーウィンドウはディーラーオプション、オートルック製のペダルやフットレストは当時モノの汎用(はんよう)アクセサリーである。秋葉原で消耗パーツを購入してメンテナンスしたという純正カセットステレオも現役。
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25/30「アコード セダン2.0Si」。1985年に登場した3代目アコードのセダンのトップグレード。4輪ダブルウイッシュボーンサスペンションとリトラクタブルライトの採用によって、当時のホンダ車に共通する低いボンネットを実現していた。テールに貼られたエンブレムの「4W A.L.B」とは4輪ABSのこと。日本でABSを初めて導入したホンダは、ALB(アンチロックブレーキシステムの略)と呼んでいたのだ。
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26/301982年に登場した2代目「プレリュード」。リトラクタブルライトを採用し、日本車離れしたワイド&ローのスタイリッシュなフォルムで人気を博し、デートカーブームを創出した。この個体は1984年のマイナーチェンジ以降のモデル。
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27/301987年に2度目の世代交代を迎えた3代目「プレリュード」。大ヒットした先代をブラッシュアップし、いっそう低められたボンネットはミドシップの「フェラーリ328GTB」より低いと言われた。この2台はいずれも1988年登録のトップグレード「2.0Si」だが、黒いボディーカラーは特別仕様車と限定車のみだったとのこと。
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28/30新車からのワンオーナー車という写真27枚目右側の「プレリュード 2.0Si」は、1988年にマクラーレン・ホンダがドライバーズ&コンストラクターズのダブルタイトルを獲得したことを記念した限定車「F-1 グランプリ スペシャルエディション」。本革シートなどが特別に装備される。
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29/30写真27枚目左側の2代目「プレリュード 2.0Si」は、「プレステージ ブラック」という特別仕様車。標準のアルミホイールに代えて純正オプションのマグネシウムホイールを装着している。写真は上級グレードにオプション設定されていた、高速走行時には後輪が前輪と同方向、車庫入れなど低速時には後輪が前輪と逆方向にステアする機械式アクティブ4WS(4輪操舵)を作動させた状態。
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30/30ノーズブラを着けた2代目「インテグラ」の4ドアハードトップ。俳優のマイケル・J・フォックスをイメージキャラクターに起用し、「カッコインテグラ」というダジャレコピーを掲げて1989年に登場。かつて上皇陛下が愛用していたことでも知られるモデルだ。