模型マニアの祭典「第60回 全日本模型ホビーショー」の会場から
2022.10.06 画像・写真2022年9月30日から10月2日の3日間、日本プラモデル工業協同組合主催の「第60回 全日本模型ホビーショー」が東京都江東区の東京ビッグサイトで開かれた。これは春の「静岡ホビーショー」と並ぶ模型ファンにはおなじみの秋の恒例イベントだが、静岡ホビーショーと同様に2020年、2021年は新型コロナ禍により中止となったため、今回は3年ぶりの開催となる。
出展社数は全72社と前回の81社より1割ほど減少し、モデルカー関連の出展も少々減ったような印象を受けた。とはいうものの、以前の絶対数が多かったからそう感じるだけで、見どころはたくさんあった。そんな会場から、リポーターの独断で選んだモデルを、新製品を中心に紹介しよう。
(文と写真=沼田 亨)
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1/40まずはプラモデルから。ここ数年来、国内メーカーではクルマのキットに最も積極的なハセガワからリリースされた1/24「日産スカイライン ハードトップ2000GT-X」(KGC110)。先に「ハードトップ2000GT-R」(KPGC110)が登場したときからバリエーションとしての追加は予想されていたが、期待を裏切らない出来栄えだ。
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2/40スタイリング上のアイデンティティーであるサーフィンラインもばっちり再現された、ハセガワの1/24「日産スカイライン ハードトップ2000GT-X」のリアビュー。半世紀前、1972年9月に通称“ケンメリ”こと4代目スカイラインがデビューした際のイメージモデルが、このブルーメタリックのハードトップ2000GT-Xだった。
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3/40これもハセガワからリリースされた1/24「いすゞ117クーペXE」。こちらも販売中の通称“ハンドメイド”こと初期型のバリエーションとして追加された、俗に“量産丸目”と呼ばれる中期型のトップグレード。
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4/40同じくハセガワの「ローバーMiniクーパー1.3i」。クラシックMini末期の1997年式という、一周回ってディープな選択。マニアックなモデラーは、これをベースにした「Mk1」仕様とか作るのでしょうな。
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5/40これもハセガワが会場発表した、グループCカーシリーズに加わる予定の「ミノルタ・トヨタ91C-V」の試作品。1991年の全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権(JSPC)参戦用にトヨタが開発した3.6リッターV8ツインターボエンジン搭載マシン。
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6/40ハセガワはバイクでも注目の新製品を出してきた。1/12「ヤマハRZ250」。そろそろ2ストロークエンジン搭載車の終焉(しゅうえん)がささやかれはじめた1980年に突如としてデビュー、80年代の空前のバイクブーム、レーサーレプリカブームの火付け役となった伝説の2ストロードスポーツ。ちなみにアオシマのブースにも同スケールの同モデルのモックアップ(試作品)が展示されており、「ガチンコ対決か!?」と色めき立ったが、こちらはキットではなく塗装済み完成品としてリリース予定とのことだった。
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7/40業界の盟主としてのメンツをかけて(?)、タミヤは新型「フェアレディZ」(RZ34)の1/24キットをリリース。シャープな仕上がりはさすがという印象。
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8/40タミヤの1/24「フェアレディZ」のシャシーとインテリア。
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9/40新型のリリースに合わせて、販売中の歴代モデル「フェアレディ240ZG」(初代S30)、「フェアレディZ 300ZXターボ」(4代目Z32)、「フェアレディZ」(6代目Z34)、「フェアレディZヘリテージエディション」(6代目Z34)のキットも展示されていた。残念ながらこれを機に2代目S130、3代目Z31、5代目Z33を含めた歴代すべてのキットを再版、というわけにはいかなかったようだ。
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10/40特撮テレビ人形劇『サンダーバード』が日本初放映された時代、今から55年をさかのぼる1967年に初版が発売された旧イマイのキットをベースにしたアオシマの「ペネロープ号」こと「FAB 1」。新たにペネロープ嬢とパーカー(運転手)のレジン製フィギュアを付属してリリースされるとのこと。
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11/40日本車を含むコンペティションマシンのキットを続々とリリースしているマカオのブランドであるBEEMAX/NUNU。プラッツのブースに展示された製品群は壮観だった。
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12/40完全新金型というBEEMAXの1/24「ポルシェ935ターボ1979ルマン24時間クラスウィナー」。こうしたプライベーターのマシンまでモデル化してくれるところが、マニアごころをくすぐるのだろう。
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13/40NUNUの新製品である1/24「アウディA4クワトロ1996 BTCCチャンピオン」。BMWやメルセデス、アルファ・ロメオなどに比べ、アウディのツーリングカーはキット化されにくいのではないかと思うが、BEEMAX/NUNUはやってくれる。
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14/40間もなく発売予定のBEEMAX初のビッグスケールキットとなる1/12「ロータス99Tホンダ1987モナコGPウィナー」。タバコのスポンサーロゴがモデルカーで使えなくなって久しいが、メインスポンサーのキャメルに対してサブスポンサーのひとつがデロンギだったことを筆者が認識したのは、恥ずかしながら数年前のことである。
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15/40「ロータス99T」に続いてBEEMAXが開発中という1/12「マクラーレン・ホンダMP4/4」。アラン・プロストとアイルトン・セナのジョイントNo.1体制で全16戦中15勝を挙げ、セナがF1ドライバーズタイトルを初戴冠した1988年シーズンのマシン。
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16/40プラッツのブースに展示されていた、完全新金型というD.モデルキッツの1/24「フォード・シエラ コスワース4×4 1991モンテカルロラリー」。D.モデルキッツとは聞き慣れない響きだが、2020年にポルトガルで生まれたラリー車を得意とする新たなブランドとのこと。
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17/40これもプラッツのブースに展示されていた、ストックカー/NASCARのスペシャリストであるアメリカのサルビノスJRモデルズの1/24「シボレー・カマロNASCAR 2022ネクストジェネレーション ヘンドリックモータースポーツ」。2022年から実施されたレギュレーションに合わせた最新マシンのキット。
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18/40クルマとは関係ないが、会場で見つけたおもしろキット。秋東精工の1/1「寿司プラモ」。左上から時計回りにマグロ、イクラ、パッケージ、そして1/1「餃子プラモ」。すしのシャリは364粒のパーツでリアルに再現したという。ちなみにぎょうざのプラモは完成すると餡(あん)が見えなくなってしまうが、見せるために皮をスケルトンにした仕様もある。
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19/40ここからは一般的にミニカーと呼ばれるダイキャストやレジン製の完成品。これは京商オリジナルの1/12「ランボルギーニ・ミウラSVR」の試作品。10年ほど前に市販されていた製品の各部に手を加えてリニューアル販売する予定とのこと。ショー用に磨き上げたというダイキャストの地肌がアルミたたき出しのようでカッコイイ。「これにクリアを吹いた状態でも市販できませんか?」と尋ねたところ、「経年変化などの点で難しいが、お客さまからもそういう要望はありそうですね」とのことだった。
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20/405月の静岡ホビーショーの時点ではモックアップだった京商オリジナルの1/18「スバル・インプレッサ555 1995モンテカルロ」。進行状況をファンに伝えるために展示された試作品。上にチラッと見える「トヨタ・セリカWRC」も同様。
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21/40京商のブースに展示されていたブラーゴ製1/24「ランボルギーニ・カウンタックLPI800-4」。車種選定のマニアック化とモデルの精密化が進む反面、価格の高騰化が避けられないモデルカー市場。そんななかにあって、この大きさ、この仕上がりのモデルが税込み3300円という手ごろな価格で手に入るのは、ちょっとした驚き。
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22/40京商の取扱商品には、もちろんこうしたハイエンドモデルも。GPレプリカ製の1/18「フェラーリ246 F1 1958フランスGPウィナー」(写真上)と「フェラーリ500 F2 1953アルゼンチンGPウィナー」(写真下)。いずれも税込み価格5万0080円。
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23/40メイクアップのオリジナルブランドであるIDEAの1/18「ランボルギーニ・カウンタックLP500」。静岡ホビーショーの時点ではモップアップで、これも参考出品だったが、ここまでくれば発売も遠くはないだろう。
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24/40同じくメイクアップの1/18「日産フェアレディZカスタマイズドプロト」。2022年の東京オートサロンに出展されたモデルの試作品。
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25/40これもメイクアップのオリジナルブランドであるアイドロンの1/18「Mine'sスカイラインGT-R VスペックN1 2021」。こうしたチューナーやドレスアップブランドとのコラボ商品も一般化しつつある。右下にチラッと見えるのは、スケール違い(1/43)の同仕様のモデル。
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26/40これからミニカーコレクションを始めようという人々をターゲットにしたとうたうブランド、ファースト43の1/43「スズキ・キャリイ バン」。ジウジアーロの手になるスタイリッシュな軽ワンボックスバン。
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27/40同じくファースト43の「ダットサン・ブルーバード1200デラックス」。1959年に誕生した型式名310こと初代ブルーバードの初期型。難しいのだろうが、アウトサイドミラーがゴツイのがちょっぴり残念。
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28/40エブロは今季のSUPER GTのGT500に参戦中の「日産フェアレディZ」、4チーム分の1/43モデルを参考出品。写真左上から時計回りに「モチュール オーテックZ」「クラフトスポーツ モチュールZ」「カルソニック インパルZ」「リアライズコーポレーション アドバンZ」で、2022年12月4日に3年ぶりに開催されるNISMOフェスティバルには「間に合わせます!」とのこと。
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29/40香港のブランドであるTINYのクラシック「Mini」のワゴン、バンと、ピックアップ。トミカ級の箱に合わせたノンスケールで、豊富なバリエーションがそろっていて楽しい。
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30/40トミカリミテッドヴィンテージNEOが初公開した1/64「日産GT-R50 byイタルデザイン テストカー」。価格、発売日未定。
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31/40これもトミカリミテッドヴィンテージNEOが初公開という、レストアされて話題となった伊藤かずえ仕様の1/64「日産シーマ」。
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32/40トミカリミテッドヴィンテージから、モックアップが展示された1/64「トヨペット・マスターライン ライトバン」(RS46V)。2代目「クラウン」の4ナンバーの商用バンだが、中期型の通称“角テール”仕様である。いずれ“涙テール”こと最初期型やその次の“丸テール”などもバリエーション展開されるのだろう。
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33/40トミカリミテッドヴィンテージの通称“あかんべサンバー”こと初代「スバル・サンバー ライトバン」のバリエーション。写真左が移動ホットドッグ屋台(フィギュア付き)、同右がブリヂストンの営業車。
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34/40トミカリミテッドヴィンテージNEOからリリースされた1/64「ホンダ・シティRモトコンポ付き」。
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35/40トミカリミテッドヴィンテージNEOから2023年2月発売予定の1/64「トヨタ・ランドクルーザー60 Gパッケージ」。
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36/40エスワンフォーが新たに展開するキャラクタービークルシリーズの第1弾となる1/12「フィアット500ルパン三世 カリオストロの城」。ダイキャスト製のフル開閉モデルで、各種アクセサリー付き。税込み価格4万4000円で来春発売予定。
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37/40クラシックモデルレプリカ(CMR)の1/12ダイキャスト製「ポルシェ917LH」。1971年ルマンに出走したガルフカラー(写真左)とマルティニカラー(同右)だが、どちらもリタイアしたマシンというところがポイント。ちなみに総合優勝はマルティニのカーナンバー22、2位はガルフの19だった。
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38/40プラッツと秋葉原にあるダンプや重機のモデル専門ショップであるKEN CRAFTのコラボによる1/50ダイキャスト製「日野プロフィアSH 4×2トラクタ 日本トレクス セミトレーラ セット」。実在する数種類の運送会社/船会社のバージョンがそろっている。
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39/40これもプラッツ(MONO)とKEN CRAFTのコラボによる1/50「サカイ(酒井重工業)R2-4マカダムローラ」。筆者のまったく知らない分野だが、「路面を固める力強さを金属ローラーで再現」といううたい文句に説得力を感じた。
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40/40会場風景。