クラシックカーイベント「谷保天満宮旧車祭」の会場から
2022.12.16 画像・写真2022年12月11日、東京都国立市の甲州街道沿いにある谷保天満宮およびその周辺で「谷保天満宮旧車祭」が開かれた。これは神社の境内をメイン会場とする、非常に珍しい旧車イベントである。谷保天満宮は903年(延喜3年)に菅原道真の三男、道武が父を祭ったことに始まる、東日本最古の天満宮という由緒のある神社だが、今では交通安全および学業に御利益のある神社としても知られている。
国立に本拠を置く自動車愛好家クラブであるオートモビルクラブジャパン(ACJ)が、この地で旧車祭を始めたのは2009年のこと。以来順調に発展してきたが、新型コロナ禍によって2020年、2021年は中止となったため、今回は3年ぶりの開催となった。エントリー車両は第一会場となる境内に133台、第二会場となる徒歩数分の駐車場に20台の計153台。一般募集は行わず、すべてのエントラントがACJ会員だったため、クラブミーティングでもあった。
参加車両は会場に展示された後、午後2時から近乗会(ちかのりかい)と呼ばれる周辺道路でのパレードを実施した後、流れ解散となった。好天に恵まれ、多くのギャラリーが訪れ大盛況だった会場および周辺から、リポーターの印象に残った車両を中心に紹介しよう。
(文と写真=沼田 亨)
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1/30参道入り口に設置されたバナー。
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2/30参道入り口脇の駐車場の奥にある参集殿前に展示された車両。中心で羽ばたいているのは1988年「ランボルギーニ・カウンタック5000QV」。
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3/30砂利敷きスペースに1992年「ブガッティEB110」と1939年「ロールス・ロイス・シルバーレイス」が並ぶという、めったに見られない光景。
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4/30本殿前に並んだ参加車両。
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5/30開会式に集合した参加者が交通安全祈願のご祈祷(きとう)を受けている図。
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6/30参加車両とオーナーは個別にもおはらいを受けた。
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7/30先におはらいを受けた1973年「日産フェアレディZ」(S30)と並んでいるのは、単なる「5」から始まる1961年以前の東京ナンバーを付けた1957年「ダットサン1000セダン」(210)。日産はこの210型から北米輸出を開始し、約10年後に登場したS30Zの成功により米国での地位を盤石としたのだった。
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8/301980年「マツダ・カペラ」。失礼ながら趣味性が低く、珍重されなかったが、車齡40年を超えた今では希少なサバイバーとして注目を集める……そんなクルマの代表例であろう。
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9/301965年「フォード・マスタング コンバーチブル」。オーナーが連れてきたモデルさんと。
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10/30参加車両が並んだ参道。ギャラリーが少なく見えるが、これはそうなる瞬間を待ち、ようやくとらえたショットである。
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11/301982年「日産フェアレディZ」。型式名S130こと2代目Zの2リッター仕様。
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12/301990年「日産セドリック シーマ」。忘れていたが、初代シーマ(Y31)には販売店別にセドリック シーマと「グロリア シーマ」が存在したのだ。とはいえ車名のエンブレムが異なるだけだが。
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13/301942年「ウイリスMB」。第2次大戦中に米軍の軍用車として誕生したジープの始祖。
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14/3020台が展示された、谷保駅近くのJA東京みどり 国立支店の駐車場に設けられた第二会場。
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15/30第二駐車場に並んだ1970年「スバル360ヤングSS」と1967年「フィアット500F」。ボディーサイズはほぼ同じだが、手前にあるぶんスバルのほうが大きく見える。
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16/30近乗会(パレード)に出発すべく、本殿から参道入り口に続く坂道を駆け登る車両。往年のフランス車(フランス仕様)ならではのイエローバルブの異形ヘッドライトをともして行くのは1970年「シトロエン・アミ8ブレーク」。
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17/30こちらもイエローバルブのライトを輝かせた1971年「シムカ1200Sクーペ」。ラジエーターはフロントにあるがリアエンジン車である。
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18/301952年「ダットサン・スポーツDC3」。日本で初めて車名に「スポーツ」を冠したモデルだが、設計はトラックと共通シャシーだった戦前のダットサンをほぼ踏襲している。
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19/301966年「モーリスMiniクーパーMk1」。1960年代のツーリングカーレースで、Mini使いとして名をはせたジョン・ローズが所有していた個体という。
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20/302ストロークエンジン特有の青白い煙を吐き出しながら登っていく1959年「メッサーシュミットKR200」。
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21/301972年「BMW 3.0CSL」。初代「6シリーズ」の前身となる「3.0CS」を軽量化したレース用ホモロゲーションモデル。
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22/301960年「アルファ・ロメオ2000スパイダー」。戦後アルファの第1作だった「1900」から発展した「2000ベルリーナ」をベースに、カロッツェリア・ツーリング製ボディーを架装したパーソナルカー。
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23/301966年「ランボルギーニ400GT」。ランボルギーニの処女作である「350GT」の改良発展型。「ミウラ」などと基本的に同じ4リッターV12 DOHCエンジンをフロントに積む。
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24/30谷保天満宮を出ていく1939年「ロールス・ロイス・シルバーレイス」。ボディーは御料車にも使われていたマルーンに近い溜色(ためいろ)と黒のツートーンで塗られている。続くのは1967年「ダットサン・サニー1000」。
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25/301969年「ルノー10」。ゴルディーニ仕様が有名な「ルノー8」の上級版として登場した、「4CV」以来のリアエンジンルノーの最終発展型。
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26/30このイベントではおなじみの1989年「パルス」。アメリカ製の二輪車(ただし左右の主翼状の下にそれぞれ補助輪が付いている)で、パワーユニットは「ホンダGL1500」用の1.5リッター水冷フラット6。登録は大型二輪で、運転時はヘルメット着用が義務づけられるとのこと。
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27/30JR谷保駅近くを行く1969年「ジャガーEタイプ2+2 Sr2」。カメラアングルのせいもあるが、ノーズの長さを再認識させられる図。
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28/30JR国立駅と谷保駅を結ぶ通称:大学通りを行く1992年「ブガッティEB110」。カーボンコンポジット製のシャシーに4基のターボを備え560PSを発生する3.5リッターV12 DOHCをミドシップした、デビュー時点ではド級のスーパーカー。
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29/30最終型の「BMW 2002」かと思ったら、珍しい1976年「BMW 1502」だった。初代「3シリーズ」(E21)のデビュー後に併売された、1.6リッター直4 SOHCエンジン搭載の廉価版。
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30/30だいぶ暗くなった大学通りで、黄色い1987年「フェラーリ328GTS」とすれ違った1981年「ランチア・モンテカルロ」。