日本最大級のクラシックモーターショー「第15回ノスタルジック2デイズ」の会場から
2024.02.21 画像・写真2024年2月17日、18日の2日間、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で、『ノスタルジックヒーロー』など旧車専門誌のプロデュースによる恒例のイベント「第15回ノスタルジック2デイズ」が開かれた。「日本最大級のクラシックモーターショー」とうたったこのイベントは、実車をはじめパーツやオートモビリア(クルマ趣味の小物)などのショップによる展示即売を中心とするものである。
通称“ハコスカ”や“ケンメリ”(3、4代目「日産スカイライン」)などの人気車種を中心に国産旧車の相場高騰は相変わらずのようだが、このイベントも着実に成長している。世間に広まる新型コロナの終息ムード(実際はそうではないのだが)も手伝ってか、今回の2日間の入場者数は昨年の3万6513人より約11%増の4万0514人を数え、過去最多を更新。出展社数や展示車両も少々ではあるが増えていた。
車両展示のほかにレジェンドドライバーやクルマ好きタレントのトークショー、音楽ライブなどのプログラムも盛りだくさんだった会場から、リポーターの印象に残った出展車両を中心に紹介しよう。
(文と写真=沼田 亨)
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1/33恒例の読者応募による「選ばれし10台」の入場シーン。オーナーがステアリングを握り会場内を自走で登場する、初日の幕開けとなるプログラム。これはトップバッターの1959年「BMW 600」。BMWがライセンス生産したイセッタの最終発展形で、二輪用をベースにした582ccの空冷フラットツインを積む。
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2/33これも「選ばれし10台」より、1972年「トヨタ・クラウン ハードトップ2600スーパーサルーン」。通称“クジラ”こと4代目クラウンのトップグレード。このようにオーナーはステージ上でインタビューを受ける。
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3/33今回のポスター、パンフレットの表紙などを飾ったイメージモデルの1969年「いすゞ117クーペ」。“ハンドメイド”と俗称される初期型のなかでも最初期のモデルという。
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4/33特別展示車両の1台である「トヨタ1600GTレーシング」(RT55)。1969年JAFグランプリの特殊ツーリングカーレースで高橋晴邦氏が駆り、デビュー戦となった「日産スカイライン2000GT-R」(PGC10)を抑えて先にゴールしたものの、走路妨害のペナルティーを科され2位に後退したマシンのレプリカ。
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5/33「選ばれし10台」の1台だった1980年「トヨタ・セリカ カムリ2000GT」。もともと「セリカ」とプラットフォームを共有していた2代目「カリーナ」をベースに、いわばセリカのサルーン版として登場した初代カムリのトップグレード。初代「ソアラ」用純正アルミホイールを履いている。
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6/33「トヨタ2000GT」を得意とするビンテージカー ヨシノが展示した、ピカピカに仕上げられたそのベアシャシー。「ロータス・エラン」に範をとったといわれるX型フレームをはじめとする構造がよく分かる。
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7/33旧車レストア事業を始動し、今回が初出展となる茨城トヨペットの「トヨペット・クラウン1900デラックス」(RS31)。観音開きドアを持つ初代クラウンの最終型。「茨 5」のシングルナンバーは見たところ劇中車の模造プレートのようだが、正真正銘の当時モノである。
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8/33ネッツトヨタ富山が展示した「トヨタ・クラウン2ドアハードトップ スーパーサルーン」。1979年に登場した6代目クラウンの2ドアハードトップ。この世代を最後に3代目から設定された2ドアハードトップはクラウンから消滅、その市場は「ソアラ」に引き継がれた。
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9/33初代「トヨタ・ソアラ」のワゴン? 実体は5代目GX70系「トヨタ・マークIIワゴン」に初代ソアラの顔面をスワップしたもの。ほぼ同時代のトヨタ車同士とあって違和感はなく、ソアラのエンブレムに気づかなければおそらくスルーしていた。
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10/33マニアックなプリンス/日産車を得意とするバラクーダがフルレストアした1957年「ダットサン・セダン」(113型)。市販車は紺や黒など地味な色が大半を占めたが、これは当時のカタログ掲載車のカラー。和歌山を意味する「和 5」のシングルナンバーはこれまたレプリカのようだがホンモノ。先のクラウンのものと比べると、当時は書体や取り付け方法が統一されていなかったことが分かる。
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11/33これもバラクーダが展示した「日産セドリック/グロリア ワゴン」(WP430)の英国仕様となる1984年「ダットサン280Cエステート」。フロントグリルはグロリア用で、ヘッドライトは国内仕様ではハードトップ用の角目2灯。エンジンも国内用には存在しない2バレルキャブ仕様のL28Sという。
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12/33日本そして世界でも唯一であろう「日産チェリー」のスペシャリストである広島の竹口自動車のデモカーである初代「チェリー2ドアX-1」。日産初のFF車である初代チェリーの高性能版というと「クーペX-1・R」を思い浮かべる人が多いだろうが、“和製ミニクーパー”の異名をとったのはこちら。サイドストライプは当時の純正オプションである。
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13/33「日産ニューシルビア1800LS」。本来、ロータリーエンジン搭載車として企画されたものの、第1次石油危機からロータリー計画が中止となり、通常のレシプロエンジン(1.8リッター直4 SOHC)を積んで1975年にデビューした2代目シルビア。当時の日産車に共通する曲線主体のデザインの集大成といった印象。
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14/33“本物GT-R”とうたってS20型エンジン搭載の“ハコスカ”や“ケンメリ”の「日産スカイライン2000GT-R」(PGC10、KPGC10、KPGC110)を並べたワイケーオート。価格はもちろん(?)応談である。
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15/33シバタイヤモータースポーツ(R31ハウス)は3台のスペシャルな「日産スカイライン スポーツクーペGTS」(R31)を展示。手前から「トミーカイラM20」(販売価格798万円)、「トミーカイラM30」(同898万円)、そしてグループAホモロゲーションモデルの「GTS-R」(848万円)。
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16/33珍しい「マツダ・ファミリア プレスト バン」。1970年にマイナーチェンジした2代目ファミリアのバン。1リッターないし1.3リッターの直4 SOHCエンジンを搭載、新車価格は50万円前後だったと思うが現在は220万円。
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17/331991年「三菱ギャランVR-4」。このギャラン、そして隣にチラリと見える「トヨタ・セリカGT-FOUR」のほか、このミハラ自動車のブースには「日産パルサーGTI-R」、「スバル・インプレッサWRX STI」、「三菱ランサー エボリューションII」といったWRCに参戦した日本車のベース車両(ノーマル車)が並べられていた。
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18/33珍車として有名な(?)「三菱デボネアV 3000ロイヤルAMG」。1989年に2代目デボネアに追加された3リッターV6 DOHCユニット搭載のトップグレードである「3000ロイヤル」をベースに、AMGデザインのエアロパーツとアルミホイールを装着した仕様。
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19/33毎回、希少かつコンディションのいい車両を持ってくるオートサークルが展示した1976年「ダイハツ・タフト グラン」。現行タフトは軽SUVだが、1973年に登場した初代は軽の「スズキ・ジムニー」と「三菱ジープ」や「トヨタ・ランドクルーザー」などの間の空白だった市場に向けた本格派オフロード4WDだった。タフトはダイハツ製1リッター直4 OHVを積んでいたが、1976年に追加されたこのタフト グランはトヨタ製1.6リッター直4 OHVエンジンを搭載。
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20/33日本工科大学校の学生がアートレーシングの協力を得て製作した「HORD PP40」。「ホンダ・ビート」のプラットフォームに「フォードGT40」風のボディーを架装している。
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21/33マツダが出展した2台のロータリーエンジン搭載のショーカー。手前は1970年の東京モーターショーに出展されたミドシップの「RX500」、奥は1965年の東京モーターショーに出展された「コスモ」。1967年に市販開始された「コスモスポーツ」のプロトタイプである。
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22/33「RX500」のパワーユニットは最高出力250PSまでスープアップされたレーシング仕様の「ファミリア ロータリークーペ」用10A型ロータリーエンジン。トランスミッションは唯一のロータリーエンジン搭載FF車だった「ルーチェ ロータリークーペ」用の4段MT。
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23/33ルーフとボディーが2トーンで塗り分けられたプロトタイプの「コスモ」。この前年、1964年の東京モーターショーでデビューした最初のプロトタイプはルーフおよびCピラーの形状が異なっていた。
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24/33タキーズが出展した、きれいに仕上げられた1965年「スズライト・キャリイ」。セミキャブオーバー型だった2代目キャリイである。新車価格は30万円前後だったが、現在は220万円。
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25/33「ダイハツ・フェローバギィ」。1968年の東京モーターショーに参考出品され、1970年に100台が限定販売されたモデル。ボンネット型軽トラックである「フェロー ピックアップ」のシャシーにFRP製ボディーを架装したもので、登録上はトラックとなる。新車価格は37万8000円だったが、現在の販売価格は10倍以上の390万円。
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26/33クラシックなロールス・ロイス/ベントレー専門のワクイミュージアムが展示した1979年「ロールス・ロイス・カマルグ」。「シルバーシャドウ」をベースとするシャシーにピニンファリーナデザインのボディーを架装した最高級パーソナルカー。2200万円という価格は絶対的には高価だが、程度がよければ「GT-R」じゃなくても1000万円超えの“ハコスカ”や“ケンメリ”がいる昨今では割安に感じる?
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27/33ミュートス プレステージが展示した1963年「フォード・コーティナ エステート」のウッディ仕様。1962年に英国フォードから登場した初代コーティナは、ハイパフォーマンスな2ドアサルーンの「コーティナ ロータス」で有名だが、本来は日本でいえば「ブルーバード」や「コロナ」のような実用的なサルーンである。
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28/33なんと「デ・トマソ・パンテーラ」をオフロード仕様に仕立てたラダーインターナショナルの「雷雷公社」(らいらいこうしゃ)。ユニークだがセンスよくまとめられ、独特の存在感を放っていた。
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29/33今回のサプライズ! ニスモが展示した初代「フェアレディZ」が搭載していたのは、同社が新たに開発したDOHC 24バルブヘッドを載せたL型6気筒!! バルブ挟み角は非公表だったが、かなりの狭角ツインカムである。
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30/33ニスモが参考出品した「L型6気筒DOHCヘッド搭載エンジン」。公表された主なスペックは、L28用ブロックを使って総排気量2949cc、圧縮比12.5、マルチポートインジェクション仕様で最高出力300PS以上、最大トルク30kgf・m以上。メーカー系らしく控えめな数値だが、今後の開発や市販化については「市場からの反響次第」とのことだった。
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31/33ケースに入れて飾られた「L型6気筒DOHCヘッド搭載エンジン」単体は、φ45のウェバーツインチョークキャブレターを3連装していた。「ユーザーの好みに応じて、キャブでもインジェクションでも対応できるように……」と考えているそうである。
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32/33こちらは1970年代からL型用ツインカム4バルブヘッドを開発しているOS技研の「L28TC24–B1Z」を搭載したハコスカ。
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33/33新たなチューンドシリンダーヘッドが開発されるなどSOHCのL型も進化を続けているが、そんな相変わらずのL型人気を反映した展示車両。6代目「日産ローレル」(C33)は本来ならL20の後継機であるRB20を積んでいるが、この個体はφ50のソレックスキャブ仕様のL28改3.1リッターに換装するという逆進化(?)を遂げている。