三菱トライトン(4WD/4AT)【ブリーフテスト】
三菱トライトン(4WD/4AT) 2007.05.08 試乗記 ……302万8830円総合評価……★★★★
日本国内向けに販売される唯一のピックアップトラック「三菱トライトン」。その実力はいかに? 笹目二朗が試乗した。
一種の“ファンカー”
このクルマはボンネット型ダブル・ピックアップ・トラックとして、項目別に評価するだけなら並である。しかしこの手のクルマを100%、日本で機能的に使い切る職業の人はそう多くはないだろう。使い途はあとで考えるとして、とりあえず5人の大人が乗れる全長5mの大きなクルマが294万円で買えるとしたら、普通の乗用車とはまた違った意味で楽しめるクルマだ。
これは一種のファンカーである。外観のデザインも楽しそうだし、押し出しも堂々としており大きくて立派。人を荷台に乗せては走れないが、大型犬を繋いでおけそうだし、ヒトと違ったクルマに乗りたい人にとっては大いなる選択肢のひとつである。
高い視点による見晴らしはいいし、3.5リッターのエンジンと4WDはパワフルな走りを約束する。乗り心地は確かにトラック的ではあるが、耐えられないほど硬いわけではない。フンワリした動きに酔いやすい人もいるから、むしろ直接的な動きをヨシとするオトシヨリや幼児にとっては、トライトンのそれを好む例もあるだろう。寛容な若者達にとってはまったく問題ないレベルだ。
オフロードバイクやマリンスポーツ用の乗り物などを荷台に積むのは常識的だが、そうした汚れ物を室内にもちこんでホコリと共に走るワンボックス・タイプよりも、はっきり内外を分けた荷物運びには最適な1台。用もないのに1人で転がすのも、考え方によっては贅沢な乗り方かもしれない。そのうちに何かに役立つチャンスもあろう……。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「トライトン」は、三菱の世界戦略車として開発されたピックアップトラック。2005年8月にタイでデビューし、同年12月には欧州向け輸出がスタートした。次いでオーストラリア、中近東、中南米、アジア諸国など世界約140カ国で展開される。
直接燃料噴射式コモンレールシステムを採用した新開発ディーゼルエンジンによる力強い走り、斬新な内外装デザイン、乗用車並みの快適な乗り心地などをセリングポイントに、約1年で5万7000台以上が生産された。
日本ではガソリン仕様のモデルが、2006年9月21日に発売された。価格は294.0万円。
(グレード概要)
日本仕様のトライトンはモノグレード。
3.5リッターV6ガソリンエンジンと4段ATの組み合わせで、4ドアのダブルキャブ(5人乗り)、4WDという内容である。「マリンスポーツやウィンタースポーツなど、アウトドアスポーツを好むお客様を中心に」(プレスリリース)訴求する。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★
計器類や空調関係のブルーの盤面は特に見やすいわけではないが、並のクルマと違うRV的なクルマを思わせ楽しい雰囲気。エンジン回転計まで備わり上々。トラック的なスパルタンさはなく、仕上げの粗さはあるものの乗用車とさして変わらない装備や内装のレベルにある。樹脂類の表皮も簡単に水拭きできていい。テスト車にナビは装着されていなかったが、設置場所はいい位置が確保されている。
(前席)……★★★
ステップを使って登る高い位置の運転席への乗降性はまずまず。高い視線による眺めは上々。ノーズ先端のアンダー/サイドミラーもちゃんと見える。シートは座面後傾角が浅い腰かけタイプで、サイズも大き過ぎず頻繁な乗り降りが想定されている。4WDのH/L切り替えやATセレクターなど2本のレバーの操作性も良好。ルーフも高くミラーによる後方視界も良い。
(後席)……★★
空間的には同クラスのセダン並の広さが確保されている。眼の前に広がる部分だけならむしろ広いかもしれない。3名乗車は余裕。シートサイズは小ぶりで平板。座面後傾角は前席同様に浅く短距離用。ヘッドレスト直後にあるリアガラスは開閉式で換気に有効。乗り心地はトラックの典型で、突き上げは大きいし騒音も大きめ。
(荷室)……★★★
無造作に放りこんでも傷を気にしなくていいように、樹脂性のパネルが貼られている。面積的に結構大きな床であり、オフロード用の自転車とかマリンスポーツ用の機材などを積む用途には適している。アウトドア派は木陰で昼寝などするのにもここを使うのだろうか、想像すると気持ちよさそう。使わなくとも可能性を保有するだけで楽しい空間。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
3.5リッタ−V6はタフでパワフル。1840kgの比較的軽い自重には十分。遮音は並。4ATのギア比はワイドながら、発進/低速、加速、巡航と目的に応じた仕事を着実にこなす。
4WDは100km/h以下なら2Hと4Hを走行中でも切り替え可能ながら、センターデフはないのでブレーキング現象は出る。2駆で走る意味はほとんどないのだから、本来ならセンターデフを備えてフルタイム化する方が便利で安心。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★
前席は予想以上に快適。路面からの突き上げ少なくタイヤ踏面がソフトな当たりで車体の動きはソリッド感あり。ただし後席はまさにトラックのそれ、もまれる感覚。荷台に重いものを積めば改善されると思う。
スローなギア比によりグルグル回すハンドルは忙しい。切り込む方向はまだいいが戻しは加速が伴うと遅れ気味だから意識が必要。
(写真=峰昌宏)
【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2007年4月10日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2006年型
テスト車の走行距離:10969km
タイヤ:(前)245/70R16(後)同じ(いずれも、ブリヂストン DUELER H/T 840)
オプション装備:フロアマット(3万2760円)/ケンウッド製CDデッキ(5万6070円)
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(1):高速道路(8):山岳路(1)
テスト距離:311.2km
使用燃料:42.01リッター
参考燃費:7.4km/リッター

笹目 二朗
-
モト・グッツィV7スポルト(6MT)【レビュー】 2026.3.18 イタリアの名門、モト・グッツィのマシンのなかでも、特に歴史を感じさせるのがロードスポーツの「V7」だ。ファンに支持される味わい深さはそのままに、よりスポーティーにも楽しめるようになった最新型の実力を、上級グレード「V7スポルト」に試乗して確かめた。
-
トヨタRAV4 Z(4WD/CVT)/RAV4アドベンチャー(4WD/CVT)【試乗記】 2026.3.17 「トヨタRAV4」が6代目へと進化。パワートレインやシャシーの進化を図ったほか、新たな開発環境を採用してクルマづくりのあり方から変えようとした意欲作である。ハイブリッドの「Z」と「アドベンチャー」を試す。
-
アストンマーティン・ヴァンキッシュ ヴォランテ(FR/8AT)【試乗記】 2026.3.14 英国の名門、アストンマーティンの旗艦車種「ヴァンキッシュ」に、待望の「ヴォランテ」が登場。5.2リッターV12エンジンを搭載した最上級コンバーチブルは、妥協のないパフォーマンスと爽快なオープンエアのドライブ体験を、完璧に両立した一台となっていた。
-
プジョーE-3008 GTアルカンターラパッケージ(FWD)【試乗記】 2026.3.11 「プジョー3008」の電気自動車版、その名も「E-3008」が日本に上陸。新しいプラットフォームに未来感あふれるボディーをかぶせた意欲作だが、その乗り味はこれまでのプジョーとは明らかに違う。ステランティスのような大所帯で個性を発揮するのは大変だ。
-
ジープ・アベンジャー アップランド4xeハイブリッド スタイルパック装着車(4WD/6AT)【試乗記】 2026.3.10 「ジープ・アベンジャー」のラインナップに、待望の「4xeハイブリッド」が登場。既存の電気自動車バージョンから、パワートレインもリアの足まわりも置き換えられたハイブリッド四駆の新顔は、悪路でもジープの名に恥じないタフネスを披露してくれた。
-
NEW
軽商用BEVの切り札「ダイハツe-アトレー」に試乗! 街の小さな働き者のBEVシフトを考える
2026.3.20デイリーコラム軽商用車界の大御所ダイハツから、いよいよ電気自動車(BEV)の「e-ハイゼット カーゴ/e-アトレー」が登場! スズキやトヨタにも供給される軽商用BEVの切り札は、どれほどの実力を秘めているのか? “働く軽”に慣れ親しんだ編集部員が、その可能性に触れた。 -
NEW
アルファ・ロメオ・ジュニア イブリダ プレミアム(FF/6AT)
2026.3.20JAIA輸入車試乗会2026アルファ・ロメオのエントリーモデルと位置づけられる、コンパクトSUV「ジュニア」。ステランティスには、主要メカニズムを共有する兄弟車がいくつも存在するが、このクルマならではの持ち味とは? 試乗したwebCGスタッフのリポート。 -
NEW
第288回:自称詩人は中古車で自由を表現する? 『自然は君に何を語るのか』
2026.3.20読んでますカー、観てますカー「月刊ホン・サンス」第5弾は『自然は君に何を語るのか』。恋人の両親に初めて会う自称詩人は、気まずい空気の中で次第に感情を抑制できなくなっていく。「キア・プライド」が小道具としていい味! -
NEW
日産リーフB7 G(FWD)【試乗記】
2026.3.20試乗記民生用電気自動車のパイオニアである「日産リーフ」が3代目へとフルモデルチェンジ。シャシーや電池、モーターなどすべての要素を刷新し、もはやスペック上は何の不安もない水準にまで進化している。360km余りのドライブで実際のところを確かめた。 -
あの多田哲哉の自動車放談――マツダ・ロードスターSレザーパッケージVセレクション編
2026.3.19webCG Moviesトヨタで「86」や「スープラ」といったスポーツカーを開発してきた多田哲哉さんが、日本を代表するスポーツカーのひとつである「マツダ・ロードスター」に試乗し、クルマづくりについて語ります。 -
ホンダがまさかの巨額赤字に転落 米国生産車の日本導入への影響は?
2026.3.19デイリーコラム本田技研工業の「Honda 0サルーン」を含む、電気自動車3車種の開発・販売中止に関連する巨額赤字転落という衝撃的なトピックに埋もれてしまった感のある米国生産車2モデルの日本導入計画。その導入予定車両の特徴と、同計画の今後を分析する。





























