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「トヨタ・ハイラックス」と「三菱トライトン」 ずばり選ぶならどっちだ?

2024.06.19 デイリーコラム 工藤 貴宏
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トライトンに弱点あり

戦いの火ぶたは切られた。日本のピックアップトラック史上において類を見ない熱い戦いがはじまったのだ。

迎え撃つは「トヨタ・ハイラックス」。そして挑戦者は「三菱トライトン」。果たして勝利の女神はどちらにほほ笑むのか?

まず個人的な判断を先にお伝えしておくと、筆者ならトライトンを選びますって。なぜならカッコいいから。より力強いデザインだから。クルマだって恋愛だって、見た目は大事でしょ?

ハイラックスのデザインも悪くはないけれど、やっぱり相手が最新デザインのトライトンだと分が悪い。トライトンのほうが明らかにワイルドでエネルギッシュなのだ。

いま、せっかくピックアップトラックを手にするのなら、よりラギッドで押し出し感の強いほうが魅力的。だから筆者はトライトンに魅力を感じるというわけ。まあ、見た目は好みの問題だからどうでもいいんだけど。

でも、トライトンには大きなウイークポイントがあるわけで。それは価格。ハイラックスに対して高いのだ。

ハイラックスの価格帯は407万2000円から431万2000円(特別仕様車は除く)。対するトライトンの価格帯は498万0800円から540万1000円。全然違うじゃないか。

しかも、407万2000円のハイラックスは装備を絞ったグレードではなく実質的な上級グレード(かつて存在したベーシックグレード「X」は廃止された)。“もっと高いほう”は走りを磨いて内外装をドレスアップした“GRスポーツ”となる。

ちなみにハイラックスとトライトンでパワートレインの差があるかといえば、エンジンはどちらも2.4リッターディーゼルターボでイーブン。トランスミッションも6段ATで共通だ。ただし、スペックに関してはハイラックスが最高出力150PS、最大トルク400N・mなのに対し、トライトンは204PS、470N・mと力持ち。やるじゃんトライトン。

2024年2月15日に12年ぶりに日本で発売された「三菱トライトン」。「トヨタ・ハイラックス」に挑む。
2024年2月15日に12年ぶりに日本で発売された「三菱トライトン」。「トヨタ・ハイラックス」に挑む。拡大
エンジンは新開発の2.4リッターディーゼルターボ。最高出力204PS、最大トルク470N・mを発生する。
エンジンは新開発の2.4リッターディーゼルターボ。最高出力204PS、最大トルク470N・mを発生する。拡大
迎え撃つ構えの「ハイラックス」の現行モデルは2017年に13年ぶりに日本に登場。2020年のマイナーチェンジでフロントマスクがよりたくましくなった。
迎え撃つ構えの「ハイラックス」の現行モデルは2017年に13年ぶりに日本に登場。2020年のマイナーチェンジでフロントマスクがよりたくましくなった。拡大
「ハイラックス」も「トライトン」も強固なラダーフレームを持つピックアップトラックで、タイで生産されるところも同じ。全長5340mmほどのボディー全長(グレードによってまちまち)も大体同じだ。
「ハイラックス」も「トライトン」も強固なラダーフレームを持つピックアップトラックで、タイで生産されるところも同じ。全長5340mmほどのボディー全長(グレードによってまちまち)も大体同じだ。拡大
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90万円分の装備差はあるか?

そしてパワートレインといえば、4WDシステムはハイラックスがトラディショナルな機械式のパートタイム4WDなのに対し、トライトンは機械式パートタイムとフルタイム4WDを切り替えられる凝ったメカニズムを搭載。それがユーザーのカーライフに本当に必要かどうかはひとまず置いといて、コストがかかっているという意味では、トライトンに軍配と断言できる。

というわけでメカニズム的にはお金がかかっているトライトンだけど、やっぱり車両価格が高いのは否めない。となると気になるのは装備がどのくらい違うのかということ。407万2000円の「ハイラックスZ」と498万0800円の「トライトンGLS」を比べてみると(つまり安いほうのグレード同士)、まず走りに関してはリアデフロックをどちらも標準で装備するけれど、タイヤはハイラックスZが17インチに対してトライトンGLSはひと回り大きな18インチ。エンジンや4WDシステムも含めて、トライトンが優勢と判断していいだろう。

いっぽう快適装備を見ると、まず2ゾーン式のオートエアコンや非接触式キーはどちらも標準装備。ナビ機能付きのディスプレイオーディオだってどちらにも付いている。カメラ関係だって両車とも後方だけでなく前方と左右のカメラを加えた360度モニターを標準採用と、今どきのピックアップトラックは装備充実なのだ。

ただ、ディスプレイオーディオの画面はハイラックスが8インチなのに対して、トライトンは9インチ。トライトンにはリアサーキュレーターだって付いているし、コネクテッド機能もスマホで遠隔エンジンスタートまでできる(=乗り込む前にエアコンをONにできる)トライトンのほうが便利。そこまで充実するなんて、すごいなあトライトン。

明確にハイラックスのアドバンテージといえるのは、リアウィンドウに電動開閉機能が組み込まれていることくらいだろうか。トライトンにはないこの装備、春や秋のエアコンが必要ない季節に開け放って走ると風の流れが結構気持ちいい(トライトンはなぜ付けない?)。

結論としては、トライトンのほうが高いけれど装備は充実。まあ、そこに90万円分の差があるかといえば、それもまた微妙なんだけどね……。

トライトンの4WDシステムは機械式パートタイム式とフルタイム式の切り替えが可能。トランスファーの設定に応じて切り替えられるドライブモードセレクターも付いている。
トライトンの4WDシステムは機械式パートタイム式とフルタイム式の切り替えが可能。トランスファーの設定に応じて切り替えられるドライブモードセレクターも付いている。拡大
ソフトパッドを多用した「トライトン」のインテリアはピックアップトラックとは思えないほどに上質だ。
ソフトパッドを多用した「トライトン」のインテリアはピックアップトラックとは思えないほどに上質だ。拡大
「ハイラックス」の4WDシステムは昔ながらのパートタイム式。街なかを走る際には必然的に2Hを選ぶことになる。
「ハイラックス」の4WDシステムは昔ながらのパートタイム式。街なかを走る際には必然的に2Hを選ぶことになる。拡大
「ハイラックス」のダッシュボードは大きなエアコンのダイヤルなどがどこか懐かしい感じ。「トライトン」の発売を目前に控えた2023年9月の一部改良でディスプレイオーディオが全車に標準装備になった。
「ハイラックス」のダッシュボードは大きなエアコンのダイヤルなどがどこか懐かしい感じ。「トライトン」の発売を目前に控えた2023年9月の一部改良でディスプレイオーディオが全車に標準装備になった。拡大

トライトンが高価な理由

ここまで書くと、きっと察しのいい人はこう思うかもしれない。「どうしてトライトンはそんなに高いの? ハイラックスとはライバルでしょ?」と。その答えは明確だ。為替レートである。

ハイラックスもトライトンもタイで製造して日本へ届けられる“輸入車”だけど、今はタイバーツに対して円が安いのだ。ハイラックスの大幅改良モデルが登場した2021年10月は1バーツあたり3.3円ほどだった。しかしトライトンが登場した2024年12月は約4円。為替レートが2割近くも違うのだから、日本円での販売価格が大きく変わってくるのも無理はない。というか、ハイラックスの今の日本販売価格は相当無理をしていて、利益を削っているのではないだろうか。

そうそう、よく考えたらトライトンを選びたい理由がもうひとつあった。それは乗り味。ハイラックスに比べると乗り心地がよくて快適だし、ハンドリングだってトライトンのほうがモダンだ。ハイラックスに乗ると「トラックだなあ。なんだか懐かしい」と思うのに対し、トライトンだと「結構乗用車的だね」と思わずにはいられない。

というわけで、価格以外はトライトンの圧勝の「ピックアップトラック決戦2024春の陣」。そういえばピックアップトラックはリセールバリューがいいので、400万円オーバーとはいえ残価設定ローンを使うと意外に手が届きやすい毎月の支払額で所有できる。そして、トライトンは残価率をハイラックスよりも高く設定しているので、比べると毎月の支払額の価格差が“意外に少ない”ことも知っておいて損はないかも。

(文=工藤貴宏/写真=三菱自動車、トヨタ自動車/編集=藤沢 勝)

「トライトン」も「ハイラックス」も国内向けは5人乗りのダブルキャブのみの設定。前者の上位グレード「GSR」はレザーシートを装備する(「GLS」はファブリック)。
「トライトン」も「ハイラックス」も国内向けは5人乗りのダブルキャブのみの設定。前者の上位グレード「GSR」はレザーシートを装備する(「GLS」はファブリック)。拡大
「トライトン」のディスプレイオーディオは9インチ。ボディーがとにかく大きいだけに360度モニターは必須装備だ。
「トライトン」のディスプレイオーディオは9インチ。ボディーがとにかく大きいだけに360度モニターは必須装備だ。拡大
「ハイラックス」のシート表皮は“GRスポーツ”が合皮×スエード調素材で「Z」がファブリック。後席は「トライトン」のほうが自然に座れる形状だ。
「ハイラックス」のシート表皮は“GRスポーツ”が合皮×スエード調素材で「Z」がファブリック。後席は「トライトン」のほうが自然に座れる形状だ。拡大
ディスプレイオーディオの標準装備化と合わせて360度モニターも搭載された。
ディスプレイオーディオの標準装備化と合わせて360度モニターも搭載された。拡大
工藤 貴宏

工藤 貴宏

物心ついた頃からクルマ好きとなり、小学生の頃には自動車雑誌を読み始め、大学在学中に自動車雑誌編集部でアルバイトを開始。その後、バイト先の編集部に就職したのち編集プロダクションを経て、気が付けばフリーランスの自動車ライターに。別の言い方をすればプロのクルマ好きってとこでしょうか。現在の所有車両は「スズキ・ソリオ」「マツダCX-60」、そして「ホンダS660」。実用車からスポーツカーまで幅広く大好きです。

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