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【スペック】全長×全幅×全高=4285×1755×1670mm/ホイールベース=2700mm/車重=1520kg/駆動方式=4WD/2リッター直4SOHC16バルブ(150ps/6200rpm、19.4kgm/4200rpm)/価格=291万9000円(20Xi)

ホンダ・クロスロード【試乗速報】

日本のための日本のクルマ 2007.02.28 試乗記 河村 康彦 ホンダ・クロスロード

2007年2月22日、ホンダの新型「クロスロード」がデビューした。3列シートに7人乗りの現代的コンパクトSUVに河村康彦が北海道で試乗。雪上会場からの報告。
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久びさの好印象

ホンダがリリースしたブランニューモデル「クロスロード」に、このところの日本車からは久しく得られなかった好印象を覚えた。そう感じた主要因は何か? それはこのモデルが“日本のために作られた久々の日本車”であるという事実だ。

こんなことを言えば、「そんなハズはない。日本のための日本車なんて、今でも山ほどあるではないか!」と総スカンを食ってしまいそうだ。が、ここで今一度振り返ってもらいたい。そんなタイトルに合致するモデルというのが、実はいまや軽自動車やミニバンばかりであることに気付くはずだ。

たしかに今の日本での売れセンは、こうしたカテゴリーのクルマたちだ。が、その一方で、ひとたびそうしたライン上から外れたクルマというのは、いつしか「海外市場での販売をメインに開発されたものが、まるでその片手間のように日本でも発売されている」という状況に陥ってしまっている。

もう今から20年近くも前の“バブル”と言われたあの頃の、何でもかんでも日本向けに特化させたモデルが次々と現れた状況も異常だったが、軽自動車やミニバン以外には「日本のための日本のクルマ」が存在しないという今の状況も尋常ではない。

いや、最新の「トヨタ・カローラ」は、海外市場とは決別した日本専用のモデル。という反論もあるだろう。でも、明らかに”団塊の世代”(だけ)をターゲットとした超保守的で何の新しい提案も感じられないああしたクルマづくりに、若いあなたは魅力を感じられるだろうか?

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使いやすいSUV

そんな“日本のための日本車氷河期”に現れたモデルだけに、「これは日本専用車」と自らアピールするクロスロードになおさら期待感が盛り上がる。

ちなみに、4285mmという全長は、「日本でのジャストサイズを狙って、初代の『ホンダCR-V』マイナス100mmをターゲットとした」というものだし、「全幅は3ナンバーサイズにすこし踏み込んだものの、最小回転半径は5.3mと、扱いやすい 『ホンダ・モビリオ』同等を意識した」という。

いざというシーンで短時間を過ごせる程度、というスタンスで採用の3列目のシートは「もはやサードシートがあるのは当たり前」という“今の人々”を意識しての採用でもあるという。
だからと言って、開発陣にとってはこのモデルがミニバンの亜流と受け取られてしまうのが最も心外である。そんなメッセージも込めて、フロントシートのデザインは、敢えてベンチではなくセパレート型にしたという開発秘話(?)も聞かれた。

日本のためのデザイン

そんなクロスロードを、北海道のテストコースで短時間ながら雪上試乗する機会が与えられた。

「ヒップポイントはCR-Vとほぼ同等」というやや高め位置にあるドライバーズシートへと乗り込むと、まず印象的なのが独特の視界の広がり感だ。前後、左右とどの方向へもスッキリと視界が開けているし、急角度で立ち上がったウィンドシールドから望める、まるでワイド画面TVを見るような前方視界が新鮮。

あっ、これは「ホンダ・オデッセイ」の反面教師だな、と思わせるのはAピラーが生み出す死角の小ささで、これならば右左折やコーナリング時に「見えずに恐い」思いをすることはないはず。
ボディ前端コーナーが”隅切り”されているので狭いスペースでの取りまわし性もたしかに良さそう、一方で平面絞りが小さくボディサイド面がストレートラインに近いので、これならば車庫入れの際に「まっすぐ入れたつもりなのに曲がっている」という恥ずかしいことになる可能性も少なそう。

このあたりも、やはり日本のためのデザインという印象が強い。“日本ベスト”で作れば、大きさもカタチも変わってくるものなのだ。

リアルタイム4WD

4WD仕様でおよそ1.5トンという重量に対し、2リッターエンジン(150ps、19.4kgm)+5段ATというパワーがもたらす動力性能は、こと雪の上では過不足のないものだった。

ワンウェイカムを用いて後輪へのトルク伝達レスポンスを高めた新リアルタイム4WDは、坂道発進をはじめ様々なシーンで、生活ヨンクとして納得の踏破力を示してくれる。
4WD仕様にはESC(ホンダ名”VSA”)が標準採用となり、その拡張機能として急坂発進時の後ずさりを防止してくれるヒル・スタートアシストも含まれるのは嬉しいポイント。

一方、そんなESCをFF仕様ではオプション選択もできないのは、この時代不可解な設定だ。まさか「日本向けで全車標準化はまだ時期尚早だろう」などとは思っていて欲しくないのだが……。

というわけで、久々にちょっと応援をしてみたくなったこのモデル。オンロードでの試乗会が楽しみな存在だ。

(文=河村康彦/写真=本田技研工業/2007年2月)

河村 康彦

河村 康彦

フリーランサー。大学で機械工学を学び、自動車関連出版社に新卒で入社。老舗の自動車専門誌編集部に在籍するも約3年でフリーランスへと転身し、気がつけばそろそろ40年というキャリアを迎える。日々アップデートされる自動車技術に関して深い造詣と興味を持つ。現在の愛車は2013年式「ポルシェ・ケイマンS」と2008年式「スマート・フォーツー」。2001年から16年以上もの間、ドイツでフォルクスワーゲン・ルポGTIを所有し、欧州での取材の足として10万km以上のマイレージを刻んだ。

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