中国市場ならではの好み
国や地域によってクルマに対する好みは実にさまざまである。イギリス・グッドウッドにあるロールス・ロイスの工場を取材した際、たまたまその日は生産ラインに乗るほとんどのモデルが「ファントム」で、そのうちの8割は外装が黒、内装が赤という組み合わせだった。「中国のお客さまからのオーダーが主です」とのこと。なんでも、黒はフォーマルの証し、赤は縁起のいい色として、ショーファードリブンとして用いられる機会の多いファントムの仕様として中国人には好まれる傾向にあるという。
中国市場では独特の感性でクルマが選ばれるようで、こんな話も聞いたことがある。某自動車メーカーが車内の臭いについて相当本腰を入れて研究していると。専用のパフュームで車内の空気に香りをつける手法はあるけれどそういうことではなく、“無臭”にするにはどうすればいいかについて真剣に議論をしているという。なぜなら中国人はどういうわけか車内の臭いにかなり敏感で、そのエクステリアデザインに見ほれてわざわざディーラーまで来たものの、ドアを開けた瞬間に香ってきた車内の臭いが駄目でサッサと帰ってしまうなんてことも少なくないそうだ。臭いの感じ方は千差万別なので、万人を満足させるには、限りなく無臭に近い状態にするほかないということらしい。
クルマの室内なんて、トリムやそれに使われる接着剤などの多様な臭いが混ざっているのが当たり前で、そこにNGを出されてしまうと、メーカーにとってはかなりやっかいな難問である。しかし中国市場の大きさを考慮すれば無視することはできない。そもそもこうした“中国案件”への対応はかなり以前から始まっていて、ドイツ車の“ロングホイールベース版”もそのひとつである。
標準ボディーの「523i」には「エクスクルーシブ」と「Mスポーツ」の2グレードがあるのに対し、「525Li」は2つを合わせた「エクスクルーシブMスポーツ」の1グレードのみの設定だ。
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ボディーの全長は標準の「5シリーズ セダン」よりも115mm長く、「7シリーズ」よりも215mm短い5175mm。専用装備のサテンアルミのウィンドウモールが長さを際立たせている。
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前後のドアを開けてみる。「7シリーズ」のような運転席からすべてのドアの開閉をコントロールできる機能は備わっていない。
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フロントには「Mスポーツバンパー」を装備。「523i Mスポーツ」にはないシルバー加飾が加わるのが「エクスクルーシブMスポーツ」ならではのポイントだ。
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