BMW325iツーリング(FR/6AT)【ブリーフテスト】
BMW325iツーリング(FR/6AT) 2006.02.18 試乗記 ……608万5000円 総合評価……★★★★ 好評の「BMW 3シリーズセダン」に遅れること半年、ワゴンボディの「ツーリング」が追加された。2.5リッター直6エンジンを搭載する「325iツーリング」で、その走りと使い勝手をテストする。大人のスポーツワゴン
2005年のドイツ・フランクフルトモーターショーでは数々のワールドプレミアがメッセ会場を華やかに彩ったわけだが、個人的にはやや地味目の新型「BMW3シリーズツーリング」が気になっていた。3シリーズセダンの評価が高いことはいまさらここで説明する必要はないが、だからこそワゴンファンの私としては新型ツーリングのデキに期待していたのだ。その3シリーズの追加バリエーションが早くも日本上陸を果たし、試乗がかなった。
「乗り心地は硬めでエンジンは勇ましい」といった、誰にでもわかりやすいが長くつきあうには疲れてしまうスポーツワゴンを覚悟していたが、さにあらず。第一印象は控えめでも、快適さとドライバーの期待を裏切らない懐の深さを備えた大人のスポーツワゴンに仕上がっていたのである。
現行の3シリーズから一台選ぶとしたら、私は文句なくこの「325iツーリング」だ。★がひとつ欠けているのは、テスト車にアクティブステアリングが装着されていなかったからで、限りなく5つ★に近い4つ★。余談だが、今回の試乗で、325iツーリングが“私のほしいワゴン”の筆頭にジャンプアップしたことを付け加えておこう。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2005年4月に国内デビューした「3シリーズセダン」に遅れることおよそ半年、ワゴンボディの「3シリーズツーリング」がラインナップに追加された。搭載されるエンジンは1種で、ダブルVANOSやバルブトロニックなど、BMWの技術が惜しみなく詰め込まれた2.5リッター直6ユニット。装備充実の「ハイライン」や、スポーティな「M-sport」などのパッケージオプションが用意されるほかに、個々にオプションを選ぶことができる、カスタマイズドオーダープログラムもある。
(グレード概要)
テスト車はHDDナビとワイドモニター、iDriveコントローラーなどがセットになった「iDriveナビゲーションパッケージ」装着車。このほか、開口部の大きい電動パノラマガラスサンルーフをオプションで追加した。
トラクションコントロールのDTC、アンチスピンデバイスであるDSC、225/50R16サイズのランフラットタイヤなどは標準で採用される。
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★★
押しの強いフロントマスクとは対照的に、端正で上品なインパネまわりの意匠。シンプルなデザインの速度計と回転計、直感的に操作できる空調のスイッチなど、見やすさや使いやすさを重視した設計である。ダッシュボードやウッドパネルの質感は高く、長くつきあうにはうれしい仕上がりだ。テスト車にはオプションとして用意される電動パノラマガラスサンルーフが装着されていた。広大なグラスエリアを誇るこの装備はスライドやチルトも可能で、天候にかかわらず開放的な雰囲気を楽しむことができる。予算が許せば、ぜひおすすめしたい装備だ。
ルームミラー内蔵タイプのETC車載器は標準装着。センターコンソールのアームレスト下にデジタルオーディオプレーヤーなどが接続できるAUX IN端子が備わるのも気が利いている。
(前席)……★★★★
標準装着されるフロントシートは、表皮こそファブリックと安価に感じるが、スライド、リクライン、高さ調整などは電動で、運転席にはメモリー機能が備わる。チルト&テレスコピック調整付きステアリングと相まって、快適なドライビングポジションが得られる。
サイドサポートが控えめなシートは、座った瞬間はシートバックがやや平板に思えたが、ドライバーの背中や腰を面でサポートする快適な形状であることがすぐにわかった。
エンジンのスタートは、ステアリングコラム左のパネル上にあるスイッチを操作するが、はじめのうちは左手で操作することに戸惑ったものの、これは慣れの問題。右左折の合図を出す際、ウインカーレバーが機械的に固定されない方式も、しばらく運転していたら慣れてしまった。
(後席)……★★★
全長4525mm、ホイールベース2760mmとサイズに余裕があるだけに、後席のスペースは十分確保されている。フロントシート下のスペースがやや狭いものの、爪先はシート下に収まり、膝まわりにも余裕がある。
横方向のスペースも不満はなく、中央席でも大人が乗れる場所は確保されている。ただし、引き出すとアームレストとなる中央部のバックレストが硬く、長時間の乗車には適さない。
電動パノラマガラスサンルーフのおかげで視覚的な開放感は十分だが、反面、ヘッドルームはやや不足気味だ。
(荷室)……★★★★
まあボディサイズ相応、といったところのラゲッジスペース。後席を起こしたままの状態で奥行きは100cm弱。シートバックを倒せば約160cmのフラットな荷室が現れる。
広さはともかく、セダンよりも使い勝手がいいのがワゴンの魅力だ。テールゲートには単独で開閉できるウィンドウが備わり、小物の出し入れや狭い場所でのアクセスには便利だ。
フロアの手前部分は、ボードの下に2か所の収納スペースが隠れている。右側が深さ20cmほど、左側が7cmほどとこまごました物を隠しておくには重宝する。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
325iツーリングに搭載される2.5リッターストレート6は、325iセダン同様、最高出力160kW(218ps)、最大トルク250Nm(25.5kgm)のハイパワー版だ。
アクセルペダルを軽く踏んで発進すると、すぐに2速にシフトアップするためか、多少もたつく感じがあるのと、街中のノロノロ運転で回転計の針が1500rpm付近を行き交うときなど耳障りなノイズが聞こえてくるが、気になる点はそれくらい。2000rpmを超えてしまえばエンジンは極めてスムーズで、トルクも豊か。スロットルペダルに対するエンジンのレスポンスも優れている。
もちろんスムーズなだけのストレート6ではない。アクセルペダルを踏み込んでやれば3000rpm手前から俄然勢いづき、4000rpmを越えて控えめにエンジンサウンドを高めながらレブリミットの7100rpmめがけて気持ちよく吹け上がっていく。組み合わされるオートマチックを含め、その洗練されたマナーやサウンドは、まさに極上である。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
まずうれしいのがその乗り心地の良さ。このクルマには標準サイズの225/50R16タイヤが装着されているが、適切なサイズだけに、タウンスピードから高速までとても快適。ランフラットゆえの硬さやドタバタした印象もない。ハーシュネスの遮断も優秀で、高速や首都高速の目地段差を通過するような場合でも、うまくショックを抑え込んでいる。100km/h以下ならボディのフラット感も十分だ。
ハンドリングは軽快そのもの。前後重量バランスのよさも手伝って、適度なロールを伴いながらのコーナリングはまさにオン・ザ・レールの感覚である。
唯一残念なのが、据え切りや低速で重く、タウンスピードで中途半端に軽いステアリングの操舵力。オプションのアクティブステアリングを奢れば済む話かもしれないが、標準モデルでも満足できるフィーリングを実現してほしいものだ。
(写真=荒川正幸)
【テストデータ】
報告者:生方聡
テスト日:2005年12月21日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2005年型
テスト車の走行距離:1288km
タイヤ:(前)225/50R16(後)同じ(いずれも、ブリヂストンPOTENZA RE050I)
オプション装備:メタリックペイント=7万5000円/iDriveナビゲーションパッケージ=29万5000円/電動パノラマガラスサンルーフ=21万5000円
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3):高速道路(4):山岳路(3)
テスト距離:378.1km
使用燃料:37.6リッター
参考燃費:10.1km/リッター

生方 聡
モータージャーナリスト。1964年生まれ。大学卒業後、外資系IT企業に就職したが、クルマに携わる仕事に就く夢が諦めきれず、1992年から『CAR GRAPHIC』記者として、あたらしいキャリアをスタート。現在はフリーのライターとして試乗記やレースリポートなどを寄稿。愛車は「フォルクスワーゲンID.4」。
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