アウディA8 4.2 クワトロ(6AT)【ブリーフテスト】
アウディA8 4.2 クワトロ(6AT) 2004.03.11 試乗記 ……1100.0万円 総合評価……★★★★★ フルモデルチェンジしたアウディのフラッグシップ「A8」。鹿児島県のプレス向け試乗会で乗った、自動車ジャーナリストの笹目二朗は、ハードウェアを「世界最高レベル」と評価しつつも、残念に思う。
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世界最上級のレベル
この車にアウディがつけた価格は990.0万円だが、ボクは1200.0万円でもいいと思う。すくなくとも「メルセデスベンツSクラス」より高価に設定することが、市場でA8の正当な評価を生むはずだ。
とかく、技術志向の会社は商売がヘタで、アイディアやエンジニアリングが優れていても、良心的な価格設定となりがちだ。大衆メーカーの実用車なら、ユーザーに優しいリーズナブルな価格もうなずけるが、A8はプレミアムブランドの高級車である。ユーザーの身になれば、せっかく高いお金を払いながら“メルセデスより安い”というコンプレックスを押しつけられることになる。
だからいつまでたっても、メーカーもユーザーもトップに登りつめることができない。クルマとしてのレベルが劣るならまだしも、フルアルミボディや熟成された4WDをもつA8は、量産型4ドアセダンのハードウェアとして、世界最上級のレベルにある。営業政策的な手法や心意気で、ブランドが負けているのはもったいない。
このクラスの顧客は安価なことにこだわらず、内容がともなえば、100万円や200万円高くても、喜んで支払うものだ。サービスやアフターケアなど、ソフトウェア面でライバルに負けているものがあれば、企業努力でそれらを凌駕するレベルに引き上げるのがスジである。クルマの中身に見合う、より高価な設定とすることが、上級車を成功させる秘訣だと思う。アウディジャパンはA8に対して、もっとプライドと自信をもつべきだ。
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
アウディ初のV8エンジン搭載モデル「アウディV8」の後継として、1994年にデビューしたフラッグシップ。「ASF」(アルミスペースフレーム)の骨格に、溶接とリベット留めでアルミのボディパネルを取り付ける、凝ったボディ構造を採用。軽量で高剛性、耐腐食性に優れ、リサイクル性も高いフルアルミボディを実現した。アウディが誇るラージサルーンである。
2代目となる新型は、2002年のパリサロンで発表された。トピックは、A8の金看板たるASFを、溶接手法やパーツ点数の削減により、ホワイトボディの重量を約50%軽減するとともに、捻れ剛性を60%高めるなど改良。加えて、エアサスペンションとエアスプリングを使う「アダプティブエアサスペンション」の搭載や、「MMI」(マルチメディアインターフェイス)と呼ばれる車両統合制御システムに、新しい操作ロジックを採り入れた。
「アダプティブエアサスペンション」は、速度や運転状況に応じて、ダンピングを自動調節する「オートマチック」モードに加え、高ダンピングの「ダイナミック」、乗り心地重視の「コンフォート」、クリアランスをとって荒れた路面に対応する「リフト」の4種類を設定。標準車高は120mm、速度やモードに応じて、95mmから145mmの間で調節する。
(グレード概要)
日本に導入されるA8は、4.2リッターV8+6段ティプトロニックSのクワトロ(=4WD)のみ。右ハンドルが基本、オプションで左ハンドルも選べる。
パワーユニットは基本的に先代を踏襲するが、一体成型のクランクケースブロック、可変インテークマニフォルドの採用などにより、アウトプットは25psと2.0kgm向上。335ps/6500rpmの最高出力と、43.8kgm/3500rpmの最大トルクを発生する。ティプトロニックSは、レバー操作でのシフトに加え、ステアリングホイール裏のパドルでもギアチェンジが可能だ。
当然のことながら装備は豪華で、新搭載の「MMI」や4ゾーン独立フルオートエアコン、BOSE製サラウンドサウンドシステム+CD&MDチェンジャーなどが標準で備わる。安全装備として、2ステージのフロント、サイド、サイドガードエアバッグを搭載。電子制御系は、EBD付きABS、EDS(エレクトリックディファレンシャルロック)、トラクションコントロールを含むESPなど、枚挙にいとまがない。
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【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★★
考えうる、ありとあらゆるものが揃っている。内装材などの仕上げも含め、高級車としての趣味性は一様ではないから難しいが、ウッドや革のバリエーションは、ほどよく上品な雰囲気を醸し出す。メーター類も陰気にならず、派手目な色彩などで明るく処理していて活動的だ。老人趣味におちいらない、若々しいイメージがアウディの高級車らしくて好感がもてる。
(前席)……★★★★★
シートは電動式で、あらゆる調整が可能。とくに、座面の前後長まで電動調整するのは圧巻だ。腿のアタリが調整できるため疲れにくいだけでなく、長さを伸ばしても座面に継ぎ目がない構造だから、埃も溜まらない。肩部分の調整まで備わるなど、いたれりつくせりである。基本的なサイズ、形状もよくて座り心地は良好。右ハンドル仕様でも、左足周辺のスペースは十分広く、ディファレンシャルギアの張出も微小だった。見切りもよく、ボンネットの見え具合、ミラーの位置など、視覚的なドライビングポジションも最上といえる。
(後席)……★★★★
長時間試すことはできなかったが、アウディのリアシートは伝統的に、バックレストの角度が絶妙だ。寝すぎておらず、自分で腰の位置を前後にずらす必要があまりない。Cピラーによって、リアウィンドウから顔がすこし隠れる具合も、サルーンとして良好である。丸いルーフは目前の空間的な余裕を感じさせ、圧迫感がなく、足元の空間も十分。オプションながら、電動ランバーサポートや、サイドブラインド(リアは標準装備)がつく。
(荷室)……★★★★
リアにディファレンシャルギアをもつ4WDではあるが、フロアは比較的低く、開口部100cm、奥行き120cmとかなり広い。ラゲッジネットの備えもありがたい。トランクの半ドア防止装置は標準、自動開閉機構はオプションで設定。自動開閉はトランク蓋のスイッチに加え、リモコンキーで操作できて便利だ。内張りや敷物のフィニッシュも上々、12Vソケットの備えも親切である。リッド内側に設けられたフックは、コンビニ買い物袋などをぶら下げるのに重宝するだろう。
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
大きな不満は、ZF製6段ATのギア比にある。他の搭載例と同じく、1速〜2速のギア比が離れすぎており、シフトアップ時の回転差が大きい。だから、2速にシフトアップした際のパンチがいまひとつ。2〜3速間も同様に、ワイドな設定だった。もっとクロースさせれば動力性能的に有利だから、現状の0-100km/h=6.3秒を超えられるし、市街地や下り坂のエンジンブレーキなど、利用範囲が増える。アウディには、「A3 3.2 クワトロ」などに搭載された、クラッチ板を2枚、交互に使うシーケンシャルトランスミッション「DSG」(ダイレクトシフトギアボックス)がある。スポーティでスムーズなそれが、早期に搭載されることを期待する。
5バルブの4.2リッターV8エンジンは、スムーズなうえトルクは十分。レスポンスもいいが、トップエンドはやや鈍りが感じられた。特徴的な金属サウンドは、まずまずスポーティ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★★
電子制御可変ダンピング機構をもつ、いわゆるアクティブサスペンションのなかで、アウディA8のアダプティブエアサスペンションは最良だ。特に、車高を標準より25mm高い、145mmのまま走れる(80km/h以下)「リフト」モードは、4WDとともに、冬季に威力を発揮するだろう。
ダンピングの高い「ダイナミック」モードは、車高100mmと低く、120km/h以上で30秒以上走ると、さらに5mm低くなる。ワインディングでの安定感は増すが、個人的には、柔らかめで常に120mmを保つ「コンフォート」モードでも、操縦安定性に不満はなかった。微低速時の平坦路における、エアサス独特のややビンビンした感触は、それほど気にならないレベル。高速走行におけるフラット感は高く、大入力時の耐ボトミング性も優秀である。
(写真=清水健太)
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【テストデータ】
報告者:笹目二朗
テスト日:2004年2月26日〜27日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2004年2月登録
テスト車の走行距離:--
タイヤ:(前)255/40R19 100Y(後)同じ(いずれも、ブリヂストン ポテンザRE040)
オプション装備:インテリアパッケージ(15.0万円)/コンフォートパッケージ(オートマチックトランクリッド、オペレーション+シートベンチレーション、電動サンブラインド、電動ランバーサポート、電動チルト式2Wayソーラーサンルーフ=45.0万円)/12スポークアルミホイール+255+40R19インチタイヤ(25.0万円)/アダプティブクルーズコントロール(25.0万円)
形態:ロードインプレッション
走行形態:市街地(2):高速道路(4):山岳路(4)
テスト距離:--
使用燃料:--
参考燃費:--

笹目 二朗
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