MCCスマート・クーペ(6AT)【ブリーフテスト】
MCC スマート・クーペ(6AT) 2001.05.17 試乗記 ……130.0万円 総合評価……★★★スマイル供給機
全長2.6m、幅1.5mの2人乗りマイクロカー。省スペース、省エネルギー、低エミッション、そしてコミューターとしての共同所有など、新しいモビリティを模索する骨太のコンセプトをもつも、スマートを前にしたヒトの笑顔は赤子を見るときのそれ。小さなボディはカワイイ外観とはうらはらに、「トリディオンセイフティセル」と呼ばれる鋼鉄製の殻を内包、衝突時に可能な限りキャビンを守る。
2001年4月18日から、フロントサスペンションのスプリングを横置きリーフ(FRP製)からコイルに変更したモデルの販売が開始された。硬く、ヒョコヒョコしがちだった“板バネ”スマートと較べ、グッと普通のクルマっぽく(?)落ち着いた足まわりになった。キャスター角を増して直進性を向上させたのも効いているのだろう。ただし、1.8mという短いホイールベースゆえ、路面によってときに前後にボディが揺れる「ピッチング」が発生するのは、いかんともしがたい。
0.6リッター3気筒ターボの出力は750kgのボディには妥当なもの。街なかで流れにのるのは造作ない。泣き所はミートの遅い電子制御クラッチで、ギアを変える際の長めの惰性走行(空走)で、同乗者の首は大きく舟を漕ぐ。マニュアルモードに切り替えれば主体的にシフトできるため、すくなくともドライバーが感じる違和感を減ずることは可能だ。熟成いま一歩のドライブトレインにもニッコリできるアナタに。
|
【概要】 どんなクルマ?
(シリーズ概要)
1997年のフランクフルトショーでデビューした2座のマイクロカー。スマートを手がけるMCC(Micro Compact Car)社は、もとはスウォッチで知られるSMH社とメルセデスベンツの合弁会社だったが、デビュー当初の販売不振からSMH社が撤退、名実ともにスリーポインテッドスターの子会社となった。スマートのラインナップには、1999年にディーゼルエンジン、2000年にカブリオレモデルが加わった。
(グレード概要)
本国では、45、55、61psと3種類のチューンが用意される0.6リッターターボだが、日本に輸入されるのは、55psモデルのみ。左ハンドル、シーケンシャルシフトが可能な6段AT「ソフタッチ」の仕様となる。アクティブセイフティのため、トラクションコントロールおよび、アンダー&オーバーステアを抑制するアンチスピンデバイスESP(Electric Stability Program)を標準装備する。なお、マイナーチェンジに伴い、ステアリングホイールとシフトノブが革巻きとなった。
【車内&荷室空間】 乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
ポップで楽しいインパネまわり。半円形メーターナセル内のスピードメーター、シフトインジケーターは見やすくわかりやすい。インパネの端左右に備わる球形のエアコン吹き出し口は上下左右に動き、見た目だけでなく機能的にも優れる。オプション装備として、やはり「球」をモチーフにしたレブカウンター(1.56万円)、時計(同)が用意される。長さが90cmもある「フルグラスルーフ」(UVカットガラス使用)は開放感があってよいが、真夏は暑そう。
(前席)……★★★★
小ぶりだが、あたりが柔らかく、座り心地抜群のシート。ネット状のバックレストは背中に優しい。万が一の際に荷物などが飛んでくることを考慮して、背面は強化スチール製。運転席の背もたれは、ダイヤルを回してリクライニング可能だが、助手席は、「倒す」か「起こす」かのみ。エアコンユニットなどが納まるためか、運転席側よりトウボードが近い。左右のシートがずれて設置されるのは、衝突時に乗員同士がブツかるのを避けるためだという。
(荷室)……★★
スマートのハッチは、リアガラスのみ開けることも可。開いたロアテイルゲートには、100kgまでの荷物が置める(ただし、最大許容搭載荷重は50kgまで)。ラゲッジルームは、床面最大幅95cm、奥行き40cmと、ボディ相応の小さなもの。長尺物を積むときは、助手席バックレストを倒して。荷室片側の壁には、ラゲッジネット付きの小物入れ。キャビンと仕切るために、薄い樹脂の簡単なラゲッジルームカバーが標準で備わる。オプションに、パーティションネット(2.8万円)有り。
【ドライブフィール】 運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★
リアに搭載された598cc3気筒シングルカムターボは、わずか59kgの軽量オールアルミユニット。インタークーラーを備え、55psと8.2kgmを発生する。追い越しのためなどスロットルペダルを踏み込んだ時には一時的にターボのブースト圧を上げ、2500から4000rpmの回転域で、9.0kgmまでトルクを太らせる。
「ソフタッチ」と呼ばれるシーケンシャルモード付き電制クラッチ式6段ATは、トルクコンバーターをもたないため「パワーロスが少ない」のがウリ。とはいえ、「オートマチックモード」でのシフトは緩慢。ギアを変える際にクルマが空走するため、乗員へのショックは大きい。また、クリープがないから坂道発進では注意が必要だ。不用意にブレーキを離すと、後に下がる。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
フロントサスペンションのスプリングおよびジオメトリーの変更で、落ち着いた乗り味になったニュースマート。絶対的には硬めの乗り心地だ。ハンドリングは素直だが、エンジンが後にあることもあってか、接地感はいまひとつ。カーブの続くコースでペースを上げていくと、ちゃんと(?)RR車らしく、クルマのオシリが振り出しそうにムズムズする。パワーがないので、あくまで“予感”だけですが。
(撮影=難波ケンジ)
【テストデータ】
報告者:webCG青木禎之
テスト日:2001年5月7日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2001年型
テスト車の走行距離:3149km
タイヤ:(前)145/65R15 72T/(後)175/55R15 77T(いずれもブリヂストンB340)
オプション装備:--
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(2):高速道路(7):山岳路(1)
テスト距離:246.3km
使用燃料:6.3リッター
参考燃費:15.1km/リッター

青木 禎之
15年ほど勤めた出版社でリストラに遭い、2010年から強制的にフリーランスに。自ら企画し編集もこなすフォトグラファーとして、女性誌『GOLD』、モノ雑誌『Best Gear』、カメラ誌『デジキャパ!』などに寄稿していましたが、いずれも休刊。諸行無常の響きあり。主に「女性とクルマ」をテーマにした写真を手がけています。『webCG』ではライターとして、山野哲也さんの記事の取りまとめをさせていただいております。感謝。
-
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】 2026.7.18 ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。
-
ベントレー・ベンテイガ スピード(4WD/8AT)【試乗記】 2026.7.17 「ベントレー・ベンテイガ」に最上級グレードの「スピード」が登場。ブランドの在り方をストレートに伝える名称のトップパフォーマンスモデルだが、従来型との最大の違いはその心臓部にV8エンジンが積まれていることだ。およそ不満のあろうはずもないが、最新モデルの仕上がりをリポートする。
-
フェラーリ849テスタロッサ スパイダー(4WD/8AT)【海外試乗記】 2026.7.15 歴史ある車名が与えられた「フェラーリ849テスタロッサ」は、従来型から大幅な進化をとげた高性能スポーツカーだ。では、そのオープントップバージョンの走りはどうか? 日本での発売を前に、フェラーリ通として知られる西川 淳が試乗した。
-
ポルシェ・カイエン ターボ エレクトリック(4WD)【試乗記】 2026.7.15 ポルシェ最新の電動ハイパフォーマンスSUV「カイエン エレクトリック」。そのラインナップのなかでも、最高峰に位置するのが「カイエン ターボ エレクトリック」だ。最高出力1156PS、最大トルク1500N・mという、とてつもないパフォーマンスの一端に触れた。
-
プジョー308 GTハイブリッド(FF/6AT)【試乗記】 2026.7.14 マイナーチェンジで内外装がブラッシュアップされた「プジョー308 GTハイブリッド」に試乗。大胆なデザインのフロントフェイスに目を奪われるが、ステランティス自慢の1.2リッター直3マイルドハイブリッドを搭載する最新モデルの仕上がりと走りやいかに。
-
NEW
第340回:一にエンジン、二にカッコ
2026.7.20カーマニア人間国宝への道清水草一の話題の連載。マツダ渾身(こんしん)のラージ商品群を応援するカーマニアのひとりとして、「CX-60」と「CX-80」の動向は常に気になっている。3列シートSUV、CX-80の最新モデルにあらためて試乗して感じたこととは? -
NEW
日産は“再挑戦”でホンダは“終了” 新型「エルグランド」発売に見る、プレミアムミニバンの今
2026.7.20デイリーコラムトヨタが圧倒的なシェアを占める上級ミニバンの世界において、新型「エルグランド」で復権をねらう日産。しかし、なぜフルモデルチェンジは16年ぶりになったのか? ホンダはどうするのか? この市場の今を考察する。 -
NEW
ホンダ・インサイト(FWD)【試乗記】
2026.7.20試乗記3000台の限定で販売される新型「インサイト」は、クロスオーバー風のフォルムと、これまでのホンダ車にはなかった内外装のデザインテイストが新鮮だ。中国で生産され、日本独自の名前が与えられた新型電気自動車の走りと仕上がりを、ロングドライブで確かめた。 -
ポルシェ911カレラT(後編)
2026.7.19ミスター・スバル 辰己英治の目利きスバルとSTIでクルマの走りを鍛え、モータースポーツにも積極的に取り組んできた辰己英治さん。彼の目に、“スポーツカーの水準器”こと「ポルシェ911」はどのように映ったのだろう? 走りの楽しさを追求した「カレラT」グレードに乗っての印象を聞いた。 -
ホンダCB750ホーネット(6MT)【レビュー】
2026.7.18試乗記ホンダのスポーツネイキッド「CB750ホーネット」が、話題の「E-Clutch」を獲得。ライディングの幅を広げる自動クラッチシステムは、パンチの利いた2気筒のストリートファイターにどんな走りをもたらすのか? その仕上がりを確かめた。 -
人気沸騰「ランクル“FJ”」を手にするもうひとつの方法
2026.7.17サブスク「KINTO」で「ランドクルーザー“FJ”」に乗る<AD>2026年5月に発売されるやオーダーが集中し、受注停止となってしまった「ランドクルーザー“FJ”」。しかし、あきらめるのはまだ早い。“FJ”とのカーライフを実現できる、トヨタの新車サブスクリプションサービス「KINTO」という手段があるのだ。

































