これからの日産のデザインは「インテリア重視」
2005.04.28 自動車ニュースこれからの日産のデザインは「インテリア重視」
2005年4月、東京は表参道にあるスタジオ「クリエイティブボックス」にて、日産自動車が今後目指すデザインの方針に関する説明会&懇親会が開かれ、同社常務取締役の中村史郎氏がプレゼンテーションを行った。
■“SHIFT_interior”
最近の日産が特にデザインを重んじていることはご存知のとおり。クルマのデザインといえばエクステリアに目が行きがちだが、同社はインテリア重視の「SHIFT_interior」で行くという。
大筋は、「マーチ」や「キューブ」にはじまり、「ティアナ」あたりで本格化した「モダンリビング」。今後は、手で触れたときの感触や、乗って「イイなぁ……」と感じられる「感性品質」の向上を図り、乗った人が“もてなし感”“開放感”“くつろぎ感”を味わえる、心地よい空間づくりを目指すという。
「日本の自動車(?)文化は、古来、馬車ではなく牛車。ゆっくり心地よく移動するのが日本人固有の価値観」とは、中村史郎氏の弁だ。
日本人の感性を重視する「JAPANESE DNA」も、今後の日産デザインを表すキーワードのひとつ。「ティアナ」のインテリアにある、正目の木目調パネルは好例だ。中村氏はさらに、一部で人気のデザイン住宅、盆栽や日本庭園などを例にあげ、「日本人は、限られた空間にユニークでクリエイティブな空間を創出するのが得意。同様の手法は、クルマのデザインにもピッタリ」と続けた。
■日産ならではの「パーシブド・クオリティー部」とは
と、上記が日産インテリアデザインの概要だが、正直いって、デザインを文章や言葉で表現するのはムズカシイ。日産が目指す「感性品質」、乗って感じられる品質は、カタチある物と違って目で見ることができない体験だからなおさらである。
ということで、説明会の後の懇親会で、パーシブド・クオリティー部(という部門名)の福井純一主任に、感性品質とはなにか? それによってもたらされるものはなんなのか? お話をうかがった。
−−パーシブド・クオリティー部は、なにをする部門なんですか?
「見たり、触って感じられる品質を高める工夫や模索をする部門です。具体例を一部挙げると、ドアポケットのエッジに箱根細工のような模様を施したり、センターコンソールの照明を間接照明にして、柔らかい雰囲気を演出するなどの工夫ですね」
−−他の自動車メーカーにも、同様の部門はあるのでしょうか?
「品質管理などの部門はあると思いますが、まったく同じ部門はないんじゃないでしょうか」
−−最近の欧州メーカーに見られる、ダイナミックやスポーティなデザインと違って、「感性品質」の概念がちょっとわかりにくいのですが。
「そうですね(笑) たとえば、なにかを食べて美味しいと感じた、その“美味しい”感覚を説明できますか?」
−−うーん、塩味が濃いとか要素は説明できますけど、“美味しい”感覚を説明するのは……。
「難しい。言葉で表すのは難しいのですが、目指しているのは『いいなぁ』と感じていただけるような空間づくりです」
福井氏からはさらに、「理解しようとするのではなく、感じてください」という、デザイナーらしいアドバイスをいただいた。クルマに乗ると、独特の「もたらされる感覚」みたいなものはある。日産のクルマに乗って「イイ感覚」がするかどうか、とにかく試乗して感じてみるのが一番だろうから、今その機会があったらその点も留意してみたい。
(webCGオオサワ)
日産自動車:
http://www.nissan.co.jp/
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